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2024/12/29

和漢三才圖會卷第八十七 山果類 文冠花

 

Bunkanka

 

ぶんくはんくは 崖木𤓰

 

文冠花

 

 

農政全書云文冠花髙𠀋許葉似榆樹葉而狹小開花彷

彿似藤花而色白穗長四五寸結實狀似枳殻而三瓣中

有子二十餘顆如皀⻆子子中瓤如栗子味微淡又似米

麪味甘可食

 

   *

 

ぶんくはんくは 崖木𤓰《がいぼくくわ》

 

文冠花

 

 

「農政全書」に云はく、『文冠花、髙さ、𠀋許《ばかり》。葉、榆(にれ)の樹の葉に似《に》て、狹《せば》く、小《ちさ》く、花を開≪けば≫、彷彿《はうふつ》と、藤の花に似《に》て、色、白く、穗の長さ、四、五寸。實を結≪ぶ≫狀《かたち》、枳殻《きこく/からたち》に似て、三瓣《さんべん》の中《なか》、子《み》、有り。二十餘顆《くわ》、「皀--子(さいかちのみ)」のごとし。子《み》の中《なか》、瓤《わた》、栗≪の≫子《み》≪の其れの≫ごと;く、味、微《やや》、淡(うす)く、又、米《こめ》の麪《めん》に似て、味、甘《あまく》、食ふべし。』≪と≫。

 

[やぶちゃん注:「文冠花」は、一属一種の、

双子葉植物綱ムクロジ(無患子)目ムクロジ科ブンカンカ(文果)亜科ブンカンカ属ブンカンカXanthoceras sorbifolium(音写「キサントセラス・ソルビフォリウム」)

の別名である。「維基百科」の「文冠果」によれば(注記号はカットした)。『本種は高さ二~五メートル、高さ八メートルに達する大きな落葉低木または小高木種である。幹や枝の樹皮は赤褐色である。葉の配列は互生の羽状で長さ十二~三十センチメートル、各葉には長さ約三~六センチメートルの鋸歯状の葉が九~十七枚、含まれる。花は直径 二~三センチメートルで、五 枚の花弁があり、春の半ばに長さ十~二十センチメートルの直立した花穂が咲く。果実は、直径約五~六センチメートル の革のような殻に覆われた楕円形の蒴果で、成熟すると、三つの部分に裂け、中に六~十八個の種子が放出される。これらの種子は黒色で直径約一・五センチメートルで、トチノキ属』(ムクロジ科トチノキ属 Aesculus )『の果実にやや似ている』。『全草の葉、花、種子は食用であり、種子を圧搾して油を採取することもできる』。本種は『主に中華人民共和国北部の江蘇省、安徽省北部と河南省南部に分布し、北は山東省・山西省・河北省・内モンゴル自治区・陝西省・甘粛省まで分布しており、青海省寧夏回族自治区・遼寧省、吉林省等の省及びその地域、また、朝鮮半島でも見られる。ロシアでも栽培されており、 十九世紀に清朝から導入されたと推定されている』。同属は『「黄色い角」と訳され』、『この科の最も基本的な属類であると考えられており、種小名は、ナナカマド』(バラ目バラ科ナナカマド属ナナカマド Sorbus commixta )『の葉に似た葉を呈する』といった内容が記されてある。英文の同種のウィキは、記載が五倍近くあるので、見られたいが、そこには、同種『は歴史が長く、分布域も広いが、知る人はほとんどおらず、二〇〇〇年には、インターネット上にも全く情報が見つからなかった』とある、世界的に知られていない種であったことが記されてある。

「農政全書」は先行する「山茶科」を見られたい。「漢籍リポジトリ」の(卷五十六)の「荒政」の、ガイド・ナンバー[056-19b]に、以下のように出る(一部表記を改めた。太字傍線は私が後注のために附した)。

   *

文冠花 生鄭州南荒野間陜西人呼爲崖木𤓰樹髙丈許葉似榆樹葉而狹小又似山茱萸葉亦細短開花彷彿似藤花而色白穗長四五寸結實狀似枳殻而三瓣中有子二十餘顆如肥皂角子子中瓤如栗子味微淡又似米麫味甘可食其花味甜其葉味苦

  救飢 採花煠熟油鹽調食或採葉煠熟水浸淘

     去苦味亦用油鹽調食及摘實取子煑熟

     食

 玄扈先生曰嘗過子本嘉果花甚多可食

   *

「榆(にれ)」双子葉類植物綱バラ目(或いはイラクサ目)ニレ科ニレ属 Ulmus。先行する「卷第八十三 喬木類 榆」を参照されたい。

「藤」中国語の「藤」は、単子葉植物綱ヤシ(椰子)目ヤシ科トウ(籐)連 Calameaeに属する種群の内、蔓性の茎を伸ばす植物の総称で、十三属約六百種あり、本邦では、「ロタン」や「ラタン」とも呼ぶ。則ち、本邦の「藤」ではない。我々の言う「藤(ふじ)」は、日本固有種で、マメ目マメ科マメ亜科フジ連フジ属フジ Wisteria floribunda を指すので、注意が必要である。

「枳殻《きこく/からたち》」日中ともに、双子葉類植物綱ムクロジ目ミカン科カラタチ属カラタチ Citrus trifoliata でよい。先行する「卷第八十四 灌木類 枳殻」を参照されたい。

「皀--子(さいかちのみ)」既に指示した通り、良安の勝手な引用不全であり、致命的ミスである。ここは、

「肥皂角子」(ひさうかう:現代仮名遣:ひそうきょう)

でなくてはならない。これは、

マメ目マメ科ジャケツイバラ(蛇結茨)亜科 Caesalpinioideaeギムノクラドゥス(中文名:肥皂莢)属 Gymnocladus 肥皂莢(中文名)Gymnocladus chinensis

である(正式和名はないと思われる。詳しくは、先行する「卷第八十三 喬木類 肥皂莢」を参照されたい。その前項の「卷第八十三 喬木類 皂莢」も参照必須!)。

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