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2024/12/27

和漢三才圖會卷第八十七 山果類 木𤓰

 

Boke

 

ぼけ   楙【音茂】

      【和名毛介】

木𤓰

    【木𤓰之轉音也

     再轉今称保介】

もけ

クワアヽ

[やぶちゃん字注:「𤓰」は「瓜」の異体字。]

 

本綱木𤓰可種可接可以枝壓其樹枝狀如柰其葉光而

厚春末開花深紅色其實大者如小𤓰小者如拳上黃似

着粉有鼻其鼻者乃花脫𠙚非臍蒂也性脆可𮔉漬之爲

果津潤味不木【木李能類木𤓰伹看蒂間別有重蒂如乳者爲木𤓰無者爲木李】

[やぶちゃん注:以下の二行は、原本では、一字下げの頭の部分は、大きな「」(丸括弧)で繋がっているが、上手く出来ないので、以上に代えた。]

 ┏木桃【樝子】圓小於木𤓰味木而酢濇性堅

 ┗木李【榠樝】似木𤓰而無鼻大於木桃味濇性堅

木𤓰【酸溫】 入手足太陰血分氣脫能收氣滯能和最治霍

 亂吐利轉筋脚氣如轉筋時伹呼其名及書土作木𤓰

 字皆癒此理亦不可解也轉筋則由濕熱寒濕之邪襲

 傷脾胃所致故必起於足腓腓及宗筋皆属陽明【忌鐵噐】

△按世稱木𤓰者不合本草註乃是木桃而非木𤓰自武

 州及江州多出之藥肆以𭀚木𤓰【木𤓰木桃】二物雖功用相

 近宜辨用之近頃有唐木𤓰者人愛其花植庭前乃此

 眞木瓜也葉花實皆如所謂于本草然惟不見其大木

 者疑往昔本朝唯有木桃而無木瓜乎

 

   *

 

ぼけ   楙【音「茂《ボウ》」。】

      【和名、「毛介《もけ》」。】

木𤓰

    【「木𤓰《ぼくくわ》」の轉音なり。

     再轉して、今、「保介《ぼけ》」と称す。】

もけ

クワアヽ

[やぶちゃん字注:「𤓰」は「瓜」の異体字。「茂」の音は漢音で「ボウ」。我々がよく用いる「モ」は、「ム」とも発音し、これらは呉音である。「再轉」は「再度、転訛すること」を言う。

 

「本綱」に曰はく、『木𤓰《ぼくくわ》、種≪う≫べし、接ぐべし、枝を以つて、≪地に≫壓(さ)すべし。其の樹枝、狀《かたち》、柰《だい》[やぶちゃん注:リンゴ属セイヨウリンゴ Malus domestica 「維基百科」の同種「蘋果」の記載に、『中國土生蘋果屬植物在古代又稱「柰」』『或「林檎」』とあり、直後に「本草綱目」を引いている。当該ウィキによれば、『中央アジア原産であると考えられているが、紀元前から栽培されるようにな』ったとある。]のごとく、其の葉、光《ひかり》て、厚く、春の末に、花を開く。深紅色。其の實、大なる者、小𤓰《ちさきうり》のごとく、小き者、拳(こぶし)のごとし。上、黃にして、粉《こ》を着(つ)けたる≪に≫似《にて》、鼻、有り。其の「鼻」とは、乃《すなは》ち、花の脫(を[やぶちゃん注:ママ。])ちたる𠙚≪にして≫、臍-蒂《へた》には非ざるなり。性、脆《もろ》く、𮔉《みつ》に、之れを漬(つ)けて、果《くわ》[やぶちゃん注:ここは「菓子」の意。]と爲《なす》べし。津-潤《しるけ》[やぶちゃん注:汁気。東洋文庫訳のルビを採用した。]≪有りて≫、味、木《しがしが》ならず[やぶちゃん注:すぐ後で、良安は「シガシガ」(原文では後半は踊り字「〱」)と振る。この語、全く見かけない語であるが、小学館「日本国語大辞典」に、「しかしがさま」を見出しし、「然然様・云云様」とし、『その通りの状態』とする。或いは、これか? 「見た目から思った『いかにも食べにくそうな、酸っぱかったり、ガリガリしている』と言った印象とは、これ、相反して、すっきりしており」の意ではなかろうか?]【「木李《ぼくり》」は、能く木𤓰《ぼけ》に類《るゐ》す[やぶちゃん注:似ている。]。伹《ただし》、蒂《へた》の間《あひだ》を看るに、別に、重《かさ》≪なれる≫蒂の、乳《ちち》のごとくなる者、有≪るを≫「木𤓰」と爲《な》し、無き者、「木李」と爲す。】。』≪と≫。

[やぶちゃん注:「木李《ぼくり》」これは、中国産の和名がない「梨(ナシ)」の一種である、サクラ亜科ナシ属 Pyrus xerophila (音写「パイロス・クセロフィリア」)である。これは、「棠梨」で私が考証しているので、見られたい。

 以下、ブラウザの不具合を考えて、改行し、頭のそれも「┃」で伸ばした。]

 ┏『「木桃《ぼくたう》」は【「樝子《さし》」。】。

 ┃木𤓰《ぼくくわ》より、圓《まろ》≪く≫、

 ┃小《ちさ》く、味、木(しがしが)として、

 ┃酢《すぱく》、濇《しぶし》。性、堅《かた》

 ┃し。』≪と≫。

 ┗『「木李《ぼくり》」は【「榠樝《めいさ》】。

  木𤓰《ぼくくわ》に似れども、鼻、無く、木

  桃より大にして、味、濇《しぶし》。性、堅し。』

  ≪と≫。

[やぶちゃん注:「木桃《ぼくたう》」「樝子《さし》」これは、中国固有種(チベット)であるボケ属マボケ(真木瓜)Chaenomeles cathayensis である。「維基百科」の同種の「木瓜海棠」に、『果實古稱「木桃」』(☜)。『如《詩經·衛風·木瓜》:「投我以木桃、報之以瓊瑤」。』とあるのを確認出来た。Katou氏のサイト「三河の植物観察」の「クサボケ 草木瓜」のページには、『中国名は毛叶木瓜 mao ye mu gua 』(この名は英語版ウィキの同種のページに「木瓜海棠」と並置してある。今まで見てきたところでは、現在の中文学名は複数が並置されることが多いことが判っている)。『英名はChinese quince , flowering quince』。『低木又は小高木、落葉性、高さ』二~六メートル、『短刺がある。小枝は紫褐色、円柱形、無毛、まばらに淡褐色の皮目がある。蕾は紫褐色、褐色、三角状卵形、無毛、先は鋭形。托葉は腎形、耳状又は類円形、長さ』五ミリメートルから一センチメートルで、『草質、下面は褐色の綿毛があり、縁は細かい芒状の鋸歯縁、先は鋭形、長さ約』一センチメートル『短毛があるか又は』、『やや短毛がある。葉身は楕円形~披針形~倒卵状披針形、長さ』五~十一センチメートル、『幅』二~四センチメートル、『下面は初め、褐色の綿毛が密生し、無毛になる。葉の上面は無毛。葉の基部は楔形~広楔形。葉縁は細かい芒状の鋸歯縁~まばらな鋸歯縁~類全縁、先は重鋸歯、葉先は鋭形又は尖鋭形。花柄は短いか又はほとんど無い。花は葉より早く』、二『又は』三『個、束生し、直径』二~三一ンチメートル。『花托筒は鐘形、外側は無毛又は』、『わずかに短毛がある。咢片は直立し、卵形~楕円形、長さ』三~五ミリメートル。『外面は無毛、内面と縁に褐色の短毛があり、先は鈍形又は鋭形。花弁はピンク色又は白色、倒卵形又は類円形。雄しべは』四十五~五十『個、花弁の長さの約』二分の一。『花柱は』五『個、雄しべとほぼ同長、基部に短毛又は羊毛状の毛がある。ナシ状果は香りがあり、黄赤色、卵形又は類円柱形、直径』六~七センチメートル(☜)。『咢片は早落性、果柄は短いかほとんど無い。花期は』三~五『月。果期は』九~十『月』とあって、ボケは三~十センチメートルであるから、叙述と一致する。

『「木李《ぼくり》」は【「榠樝《めいさ》】」東洋文庫訳では、「榠樝」に『かりん』のルビを振っているが、これはまずい。確かに、現行では、ナシ連ナシ亜連カリン属カリン Pseudocydonia sinensis にこの漢字を宛てているが、時珍がそう認識していたものとは、私は思わないからである。時珍は、やはり、前に注した通り、ナシ属パイロス・クセロフィリア Pyrus xerophila を示唆していると考えるものと思われる。この「樝」は、もともと、種を指示しない「柑橘類の一種」を指す語であるからである。

『木𤓰【酸、溫。】』『手足の太陰の血分に入る。氣、脫《だつ》せば、能く、氣を收《しう》す。滯《とどこほ》れば、能く、和《わ》す。最も、霍亂・吐利・轉-筋《こむらがへり》・脚氣を治す。如《も》し、轉-筋(こむらがへり)する時≪は≫、伹《ただ》、其の名を呼(よ)び、及《および》、土に書《かき》て、「木𤓰」の字《じ》を作《な》≪せば≫、皆、癒ゆ。此の理《り/ことわり》、亦、解すべからざるなり。轉-筋は、則ち、濕熱・寒濕の邪《じや》、襲(をそ[やぶちゃん注:ママ。])ひて、由《よつ》て、脾胃を傷むるに、致す所なり。故、必≪ず≫、足の腓(こむら)より起《おこ》る。腓、及び、宗筋《そうきん》[やぶちゃん注:漢方で陰茎を司る筋とされる。]、皆、陽明に属す【鐵噐を忌む。】。』≪と≫。

△按ずるに、世に「木𤓰(ぼけ)」と稱する者、「本草≪綱目≫」の註に合はず。乃《すなはち》、是れ、「木桃《ぼくたう》」[やぶちゃん注:これは後注で示す「草木瓜」=ボケ属クサボケ Chaenomeles japonica のことを指している。則ち、前の「本草綱目」の「木桃」とは全く別種であり、そこが、唯一、この良安の記載の大きな瑕疵である。]にして、「木𤓰《ぼけ》」に非ず。武州、及び、江州に多≪く≫之れを出《いだ》す。藥肆、以≪つて≫「木𤓰《ぼけ》」に𭀚《あ》つ。【「木𤓰」≪と≫「木桃」≪との≫】二物の功用[やぶちゃん注:主語の提示のために文頭に割注を使用するこの例は極めて異例である。]、相《あひ》近しと雖《いへども》、宜《よろ》しく、之れを、辨じ用ふべし。近頃《ちかごろ》、「唐木𤓰(からぼけ)」と云≪ふ≫者[やぶちゃん注:「云」は送り仮名にある。これが、後注で示す、現行のボケ属ボケ Chaenomeles speciosa である。]、有り。人、其の花を愛して、庭前に植《うう》。乃《すなはち》、此れ、眞(まこと)の「木瓜《ぼけ》」なり。葉・花・實、皆、「本草≪綱目≫」に謂ふ所のごとし。然れども、惟《ただ》、其の大木なる者を見ず。疑ふらくは、往昔《わうじやく》、本朝に≪は≫、唯《ただ》、「木桃《ぼくたう》」のみ、有りて、木瓜《ぼくくわ》無かりしか。

 

[やぶちゃん注:ここで言う「木瓜」は、結果的には、現在、殆んどの日本人が単に「ボケ」と呼んでおり、和名学名も「ボケ」である、中国原産の、

◎双子葉植物綱バラ目バラ科サクラ亜科 Amygdaloideaeリンゴ連ボケ属ボケ Chaenomeles speciosa(シノニム:Chaenomeles lagenaria

なのであるが、

★本邦に自生するボケは、同属であるが、異なる日本固有種である、

クサボケChaenomeles japonica

で異なる。

★その科学的事実を、良安は、実に正しく指摘している

のである。

東洋文庫は完全アウトで、この「クサボケ」を、一切、語っていない。

 そこで、まず、前者の「ボケ」( Chaenomeles speciosa )を示し、後で、本邦固有種の「クサボケ」を立項しているところの、ウィキの「ボケ(植物)」を引く(注記号はカットした。太字は私が附した)。

◎まずは、植物学上で正当な「ボケ」の記載である。『果実が瓜に似ており、木になる瓜で「木瓜(もけ)」とよばれたものが』、『「ぼけ」に転訛(てんか)したとも、「木瓜(ぼっくわ)」から「ぼけ」に転訛したとも言われる』。「本草和名」(醍醐天皇の侍医・医博士として仕えた深根輔仁(ふかねのすけひと)の撰になる日本現存最古の本草書。延喜一八(九一八)年編纂)『には、果実の漢名を』、「木瓜(もくくわ(もくか))」、『和名を』、「毛介(もけ)」『として登場する』。『学名の speciosa は、「美しい」「華やか」、Chaenomeles は「chaino(大きく裂けた)+melon(リンゴ)」が語源。中国植物名(漢名)は、貼梗海堂(ちょうきょうかいどう)』。『原産地は中国大陸で、日本へは古く平安時代に渡来し、観賞用に栽培された帰化植物である。本州から四国、九州にかけて庭に植栽されているが、一部は野生化している。北海道南部では種類が限定されるが、温暖地でよく育つ。木瓜の名所としては、鎌倉市の九品寺』(ここ。グーグル・マップ・データ。以下、無指示は同じ)『が知られる』。『江戸時代には、小石川養生所にボケが植えられ漢方薬として使われていた。大正時代に、埼玉県の安行』(あんぎょう:ここ)『(川口市)と新潟市の小合』(こあい:この附近)『を中心としたブームが起こり、東洋錦』(とうようにしき)『や日月星』(じつげつせい)『などが作出された』。『落葉の低木で、樹高は』一~二『メートル』。『株立ちになり』、『茎は叢生してよく枝分かれし、若枝は褐色の毛があり、古くなると灰黒色。樹皮は灰色や灰褐色で皮目があり、縦に浅く裂け、小枝は刺となっている』。『葉は長楕円形から楕円形で互生する。葉身は長さ』五~九『センチメートル』『で、鋭頭でまれに鈍頭、基部はくさび形で細鋭鋸歯縁。葉の付け根に腎臓形の托葉がつく』。『花は』三~四『月に葉が芽吹くよりも先に、ふっくらした朱色の』五『弁花を咲かせる。短枝の脇に数個つき、径』二・五~三・五センチメートル。『様々な品種があり、花色は淡紅、緋紅、白と紅の斑、白などがあり、雄性花と雌性花がある。秋に結実する果実は楕円形で、直径は約』三~十センチメートル『ほどになる』。七~八『月ごろに熟して、果皮は黄色味を帯びて落果する』。『冬芽は互生し、葉芽は三角形、花芽は球形で仮頂芽は葉芽であることが多く、クサボケよりも大きい』。『同類種に栽培種で中国産のカリン』(バラ科シモツケ亜科ナシ連ナシ亜連カリン属カリン Pseudocydonia sinensis 当該ウィキによれば、『日本への伝来時期は不明であるが』、『江戸時代に中国から渡来したといわれる説もある』とある)、『野生種で日本産のクサボケ』(後掲する)『がある』。『庭園樹として』、『よく利用され、添景樹として花を観賞する目的で植栽される。花材や、鉢植えにして盆栽にも用いられ、園芸品種も多い。好陽性で土壌を選ばず、排水性が良く、やや乾燥地を好む。繁殖は実生、挿し木、株分けで行われる。実生は果実を割って種を取り出し、洗って床蒔きする。挿し木と株分けは、春の芽吹き前に行う。移植は容易だが、大気汚染・潮害にはさほど強くない』。『果実にはクエン酸、酒石酸、リンゴ酸などの有機酸類と果糖が含まれていて、有機酸類には制菌作用があるとされ、腸内が酸性化するほど多く内服すると、細菌は弱アルカリ性(』ペーハー七『以上)で繁殖するため』、『増殖を止める働きがあるといわれる。また、有機酸類には鉄分の吸収促進に役立つとも考えられている』。『果実は木瓜(もっか)と称される生薬になり』、八~九『月ごろの落果する前の青い未熟果実を採取して、水洗い後に輪切りにしたものを天日乾燥して調製される。補血、強壮、疲労回復、咳止め、食あたりのほか、筋肉のひきつり(腓返り)、暑気あたりに効用があるといわれ』る。『ただし、胃腸に熱があるときは禁忌とされる』。『香りのよい果実を使って、果実酒やジャムにも利用される。ボケ酒と呼ばれる果実酒にすることもあり』、これ『にも』、『咳やのどの痛み、疲労回復、滋養保健、低血圧、不眠症などの薬効があるといわれ』る。

以下、日本固有種である「クサボケ」の項。

『クサボケ(草木瓜』 Chaenomeles japonica:英語: Japanese quince)『は、バラ科ボケ属の一つ。落葉低木。ボケの野生種で、山野や川の土堤、陽当たりのよい草むらなどに生える。和名の由来は全体に小型のため草に見立てられて名付けられた。別名でシドミ、ジナシとも呼ばれる。白花のものを白花草ボケと呼ぶ場合もある。矮性の園芸品種が「長寿梅」と呼ばれ』、『盆栽にされている』。『本州の関東地方以西、四国、九州に分布し、山野の日当たりの良い斜面などに生える。自生するボケ属は、クサボケ一種だけである』。『樹高』三十センチメートルから一メートル『ほど。幹は地面を這うか』、『斜上する。樹皮は灰褐色で、皮目があり』、『滑らかで』、『小枝が変化した棘がまばらにあり、若い枝には粗い毛が生えている。実や枝も小振り。葉縁に細かい鋸歯がある』。『花期は』四~五『月で、しばしば』、『葉よりも早く開花する。花の直径が』二十五『ミリメートル』『ほどの赤朱色の一重咲きがかたまってつくのがふつうであるが、まれに白花や八重咲きもある。雄花と両性花があり、花弁は』五『個で雄しべが多数つき、両性花の花柱は』五『個ある』。『果期は』十『月。果実は直径』三センチメートル『の球形で黄色く熟し、ボケやカリン同様に良い香りを放ち、未熟な果実を果実酒の材料にする。また果実にボケ同様の薬効があり、日本産の意で和木瓜(わもっか)と称される生薬となり、木瓜(もっか)と同様に利用される。果実酒はクサボケ酒と呼ばれ』るが、『減少傾向にある』。『冬芽は互生し、葉芽は三角形、花芽は球形で仮頂芽は葉芽であることが多い』とあった。

 「本草綱目」の引用は、「漢籍リポジトリ」の「卷三十」の 「果之二」の「木𤓰」([075-7a]以下)のパッチワークである。]

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