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2024/12/14

和漢三才圖會卷第八十六 果部 五果類 箒桃

 

Hanamomo-genpeisidare

 

[やぶちゃん注:図にキャプションがある。右手の実の生っている木には、「箒桃」、左の木には、「𮈔埀桃(しだれ《もも》)」とあるが、実らしきものは描かれていない。]

 

はゝきもゝ

       【波々木毛々】

箒桃

 

 

△按箒挑葉細長而木枝葉狀似箒草故俗以爲名三月

 開花千葉紅白相襍其桃味甘美近頃出於賀州

一種有𮈔埀桃其枝下埀桃亦𣓃𣓃出於播州其花白單

 葉或有淡紅帶紫千葉者

 

   *

 

はゝきもゝ

       【「波々木毛々(ははきもも)」。】

箒桃

 

 

△按ずるに、箒挑は、葉、細長≪く≫して、木枝・葉の狀《かたち》、「箒草《ははきぐさ》」に似《にる》。故、俗、以つて、名と爲《なす》。三月、花を開く。千葉《やへ》≪に≫して、紅白、相ひ襍《あつま》り、其の桃、味、甘美なり。近頃、賀州[やぶちゃん注:「伊賀國」。]に出づ。

一種、「𮈔埀桃(しだれもゝ)」、有り。枝、下《さが》り埀《たれ》、桃も亦、𣓃𣓃《ねいねい》たり[やぶちゃん注:𣓃」の音は、あるデータでは「ダイ」「ネ」とするが、現代中国語のピンイン「nèi」(ネェィ)(中文のサイト「異體字字典」のここ)に近い音で示した。「中國哲學書電子化計劃」のここによれば、意味は、「康熙字典」の「木部 八」に、『𣓃:《集韻》《類篇》𠀤奴對切,音芮。𣓃𣓃,草木垂實貌。』とあることから、前述の枝と同じく、「実も垂れ下がる」の意である。東洋文庫訳も『桃も垂れ下って成る。』とある。]。播州に出づ。其の花、白の單葉(ひと≪へ≫)、或≪いは≫、淡紅に紫を帶《おび》て、千葉《やへ》≪の≫者、有り。

 

[やぶちゃん注:この「箒桃」「ははきもも」は、花を観賞するために改良されたモモの園芸品種で、

双子葉植物綱バラ目バラ科サクラ属(スモモ属)ハナモモ Prunus persica  'Fastigiata'

である。当該ウィキによれば、『原産地は中国。花を観賞するために改良されたモモで、花つきがよいため、主に花を観賞する目的で庭木などによく利用される。日本で数多くの品種改良が行われ、種類が豊富。観賞用のハナモモとして改良が行われるようになったのは江戸時代に入ってからで、現在の園芸品種の多くも江戸時代のものが多い。サクラの開花前に咲くことが多い。長野県では桜より遅く』、四『月中旬から』五『月初めにかけて、各地の名所で観られる。桃の節句(雛祭り)に飾られる。結実するが実は小さく、食用には適さない。最近では、日本国外でもよく利用される』。『樹高』は約一七メートル、『花期』三~四『月』、『花色』は『赤、桃色、白、紅白咲き分け』がある。『花径』は三~五センチメートルである。花には、『一重、八重咲きがあり、樹形は立性』(たちせい:植物の枝や茎が上に向かって伸びる性質を指す)『で、枝垂れ性、ほうき立ち性、矮性などもある』。『日当たりと排水の良い場所に』十一『月から』十二『月』、『または』三『月初めくらいに植え付ける。挿し木でも増やせる。湿気に弱いため、高植えにする。病虫害が多いため、アブラムシ、カイガラムシに注意する。縮葉病、灰星病、穿孔細菌病などにかかりやすい。酷い乾燥期以外は、庭植えのハナモモには水やりは不要。強剪定は避ける』とある。ネットを見ると、現代では、この種から更に品種改良された花桃類が存在していることが判る。なお、サイト「産直プライム」の「【桃と花桃の違い】花桃の実は食べられる?おいしい食べ方を解説」によれば、『桃は食用に栽培される「実桃」と、観賞用に栽培される「花桃」に大別されます。実桃は果実が大きく、甘みがあり、美味しく食べることができます。一方、花桃はその名の通り、美しい花を楽しむためのもので、実は小さく味もあまりありません』。『また、その生育環境も異なります。実桃は比較的暖かい地域を好み、花桃は寒冷地に強いという特徴があります。』とあり、『花桃の実は、その見た目や香りが通常の桃と似ているため、食べられるのか疑問に思う方も多いでしょう。花桃の実は食用として出回ることはほとんどありませんが、食べられます。しかし、一部の種類では大きくならず、また食べても美味しくないとされることが多いです』。『さらに注意点として、完熟していない果実には身体に良くない成分が含まれることもあるため、食べる際は十分に成熟させることが大切です。花桃の実は、美味しさを追求するよりも、その美しい花を楽しむために栽培されることが一般的です。そのため、果実の味わいよりも花の美しさを重視する方にとっては、花桃は非常に魅力的な植物といえるでしょう。』とあり、『花桃の実は、食べるためには完全に熟すまで待つことが大切です。未熟な状態では体に良くない成分が含まれる可能性があるため、食べる際には注意が必要です』。『完熟した花桃の実は、そのまま食べるのはもちろん、ジャムや砂糖漬けにすると美味しくいただけます。特に、花桃の実を使ったジャムは、その独特の風味と甘さが絶妙にマッチして、トーストやヨーグルトとの相性も抜群です』。『また、花桃の実を使用した料理レシピもあります。例えば、甘酸っぱい味わいの花桃のコンポートは、デザートやお茶うけとして楽しむことができます』。『ただし、花桃の実が完全に熟すまで待つこと、そして未熟なものは食べないようにすることを忘れないでくださいね。』とある。

 二つ目の「𮈔埀桃(しだれもゝ)」も園芸品種で、「跡見群芳譜」の「桜花譜」の「げんぺいしだれ(源平枝垂)」に、Prunus persica 'Genpeishidare' とある。同ページには、「誌」の項に、『『花壇地錦抄』』(元禄八(一六九五)年)『巻二「桃のるひ」に、「源平桃(げんぺいたう) 白赤さきわけ、八重ひとへあり」と、また「しだれ桃(もゝ) もゝいろ、八重一重有、大りん。木やなぎのことくしだるゝ」と。』とあり、また、『宮崎安貞『農業全書』元禄一〇(一六九七)年に、「又』、『源平桃とて一枝に紅白雑り咲くあり。是を唐人は日月桃と記せり」と。』とある。ネットでは、多数の記載があるが、現行の人気のある花桃である「源平しだれ桃」と、良安の言っているそれが、全く同一品種であるかどうかは、データが不足しており、断言は出来ない。なお、現行の「源平しだれ桃」は実も食べられるとある。

 なお、この項を以って、「桃」類の項は終わっている。次は「栗」である。う~、結構、長いぞ!

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