茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「第一詩集」「冠せられた夢」(一八九七年) 「愛する(二十二章の中)」「一八」
一八
春に、それとも夢に、
私はお前に逢つた、嘗て。
そして今我々は一緖に行く、秋の日を。
そしてお前は私の手を握締めて泣く。
飛去る雲を泣くのか、
血のやうに赤い葉の爲か、さうではあるまい。
私は感ずる。お前は嘗て幸福だつた
春に、それとも夢に……
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