茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「第一詩集」「冠せられた夢」(一八九七年) 「愛する(二十二章の中)」「六」
六
我々は考込むで坐つてゐた、
葡萄の葉蔭に――お前と私と――
頭の上の香の高い蔓の中の
何處かで蜂がうなつてゐた。
五色の輪が、反射が
お前の髮に一寸の間休むだ……
私は何にも云はなかつた、ただ一度、
『何といふ美しい眼をお前は持つてるのだ。』
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