阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四上」「石燈籠靈驗」
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、初回の冒頭注を見られたい。底本の本項はここ。]
「石燈籠靈驗」 有渡郡《うどのこほり》府中札《ふだ》の辻町《つじちやう》奉行屋敷にあり。傳云《つたへていふ》。此石燈籠は【地藏形、大《おほいさ》六尺許りなり。】舊府中御城內《ごじやうない》紅葉山にあり。近歲《ちかきとし》、御預りとして玆《ここ》に移す。常に香花《かうげ》を供し茶を備ふ。瘧《おこり》を病む者、此茶を呑《のめ》ば卽《すなはち》愈ゆ。人若《もし》誤《あやまり》て此燈籠に手をふるれば、必《かならず》病難あり。云云。恐るべし。
[やぶちゃん注:「府中札の辻」これは、現在の静岡県静岡市葵区呉服町(ごふくちょう)一丁目に「高札場」が復元されてあるので(グーグル・マップ・データ)、この附近から東北方向の近くと考えてよいだろう。旧駿府城の大手門(旧駿府城二之丸橋)が、その方向の直近に存在することから、奉行屋敷も、この近くと考えられるからである。
「瘧」現在の熱性マラリア。]
« 和漢三才圖會卷第八十七 山果類 山嬰櫻 | トップページ | 阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四上」「馬骨治病馬」 »