茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「形象篇」「第一卷」 「少女」
少 女
他の人々は長い路を
ほの暗い詩人の許へ行かなくてはならない。
人の歌ふのを、
絃の上に手を置くのを見なかつたかと、
常に誰かに問(き)かなくてはならない。
ただ少女ばかりは問(き)かない、
どの橋が形象に通ずるかとは。
白銀の皿につける眞珠の紐よりも
なほ明るく微笑むだけだ。
少女等の生活からは、どの扉も
詩人へ通ずる。
それから世界へ。
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