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2025/01/22

茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「形象篇」「第二卷」 「自殺者の歌」

 

 自殺者の歌

 

ではもう一瞬間だ。

人々がいつも私の紐を

切るとは。

この間も私はよく用意をして、

もう一片の永遠は

私の臟腑の中に入つてゐたのだつた。

 

人々は私に匙を差しつける、

あの生命の匙を。

いいや、私は、私はもういらない。

私に私を捨てさせてくれ。

 

私は知つてゐる。人生は全くてよい、

世界は充ちてる壺だ。

しかしそれは私の血には入らないで

ただ頭に騰るんだ。

 

それは他人を養ふが、私をば病氣にする。

それを蔑(さげす)むのを、解つてくれ、

少くとも私は今

一千年間衞生が必要だ。

 

[やぶちゃん注:何となく惹かれて、ドイツ語の「Wikisource」のここで、原詩が電子化されてあるのを見た。

「全くて」「まつたくて」。

「騰る」「のぼる」。]

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