茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「舊詩集」 (お前は人生を理解してはならない。……)
お前は人生を理解してはならない。
すると人生は祭のやうになる。
丁度子供が進みながら
あらゆる風から
澤山の花を贈つて貰ふやうに、
每日そのやうにさせるのだ
その花を集めて、貯へる。
そんなことを子供は思はない。
花が捕はれてゐたがつた
髮から輕くそれを拂つて。
子供は愛らしい若い年々に
新しい花を求めて兩手を差出す。
[やぶちゃん注:……私は最近、「私の人生は、たいして面白くも、糞くもないものだった……」と独語を反復することが多いが、考えてみれば、それは、哲学者のように「人生を理解し」ようとする誤謬の結果としての――呪われたトートロジー――に過ぎないのであったと気づくのである…………。]
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