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2025/01/17

茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「舊詩集」 (私は今いつまでも同じ路を行く。……)

 

私は今いつまでも同じ路を行く。

薔薇の花が丁度身仕度をしてゐる

花園に沿ひながら。

しかし私は感じる、未だ長い長い間

總べてが私の迎へではない。

感謝も響もなく私は

薔薇のそばを通らなくてはならない。

 

私は贈物の與へられない、

行列を始める人に過ぎない。

もつと幸福な人々が來るまで、

光つた靜かな容姿が――

すると薔薇は風にふかれて

赤い旗のやうに開くだらう。

 

[やぶちゃん注:本篇は、再版「詩集」では、多数の手入れがされてあることが、岩波文庫の校注にある(五件)。確かに、以上の訳詩は、日本語として、大きく二箇所で、流れに違和感がある。ここで、正字で全体をそれに従って、書き変えられたものを再現しておく。

   *

 

私は今いつまでも同じ路を行く。

薔薇の花が丁度身仕度をしてゐる

花園に沿ひながら。

しかし私は感じる、未だ長い長い間

總べてが私を迎へはしない。

感謝も響もなく私は

薔薇のそばを通らなくてはならない。

 

私は、贈物の與へられない、

行列を始める人に過ぎない。

もつと幸福な人々が

光つた靜かな容姿が――來るまでに、

薔薇は風にふかれて

赤い旗のやうに開くだらう。

 

   *]

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