茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版「舊詩集」 (幾度か深い夜に、……)
幾度か深い夜に、
風は小兒のやうに眼を覺まして、
並木路をひとり
かすかに、かすかに村に入る。
池の邊まで探り寄つて、
風はあたりに耳を傾ける。
家々は皆な蒼ざめ、
樫の木は默してゐる……
[やぶちゃん注:「邊」「あたり」と訓じておく。]
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