茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版 「巡禮の歌」(一九〇一年) (神よ、私は數多の巡禮でありたい……)
神よ、私は數多の巡禮でありたい
長い列であなたの處へ行くため、
又あなたの大部分となるために。
生きた竝木を持つ神、花園よ。
私のやうにかう一人で行けば、
誰が認めよう、誰が私のあなたへゆくを見よう。
誰を誘はう。誰を勵まさう。
誰をあなたに向はせよう。
何事もないやうに――人々は笑ひ續けよう。
でも私は私のやうに行くのを喜ぶ。
かうすれば笑ふ人は一人も私を見ることが出來ないから。
« 茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版 「巡禮の歌」(一九〇一年) (あなたは未來だ。……) | トップページ | 茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版 「巡禮の歌」(一九〇一年) (深夜に私はお前を堀る。寶よ。……) / 「巡禮の歌」~了 »