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2025/02/28

茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版 「新詩集」「第二卷」 「鏡の前の夫人」

 

 鏡の前の夫人

 

寢酒の中の香料のやうに、

流れるやうに澄む鏡の中へそつと

夫人は疲れた容姿を溶かして

その微笑を全く入れる。

 

そして待つ、液體の上るのを。

それから髮の毛を鏡へ注ぎ、

驚くべき肩をば

夕暮の物著から出しながら、

 

靜に夫人は自分の姿を飮む。

愛する男が陶醉して飮むやうに、

疑惑に溢れて、試(ため)しながら。

 

そして鏡の底に、燭光や、

簞笥や、遲い時間の薄暗さを見ると

始めて夫人は侍女(こしもと)をさしまねく。

 

[やぶちゃん注:岩波文庫の校注には、後の本詩集の再版である「詩集」で「著物」『に訂正された』とあるが、「物著」(ものぎ)という語は「衣服を着(き)て、飾ること」の意があり、私は初読の際も、誤記・誤植のようには全く感じなかった。]

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