茅野蕭々譯「リルケ詩抄」正規表現版 「貧困と死」 (知る者よ、その廣い知識は……)
知る者よ、その廣い知識は
貧しさから成り、貧しさの溢れである者よ。
最早や貧しい人々が嫌惡の中ヘ
捨てられたり蹴込まれたりしないやうにせよ。
他の人々は裂かれたやうだ、
しかし彼等は花のやうに根から立上り
メリサのやうに薰り、
その葉はぎざぎざで軟かい。
[やぶちゃん注:「メリサ」双子葉植物綱シソ(紫蘇)目シソ科コウスイハッカ属コウスイハッカ Melissa officinalis 。今や、正式和名よりも、英語のハーブ( herb )の一種で、英語の「レモン・バーム」“ Lemon balm ”の方が知られる。当該ウィキ(注記号はカットした)によれば、『南ヨーロッパ原産。和名はコウスイハッカ(香水薄荷)、セイヨウヤマハッカ(西洋山薄荷)、コウスイヤマハッカ(香水山薄荷)、メリッサソウ。食べ物や飲料の香り付けや、ハーブとして医療に利用されてきた』。『葉の形はミント』(英語“mint”。漢字表記「女無天」。シソ科ハッカ属 Mentha の総称)『にも似ており、シトラールなどの製油成分を含み、レモンを思わせる香りがする』。『繁殖力が非常に強く、かつては人間より長生きすると考えられていた』。『地上部は冬には枯れるが』、『根は数年』、『生きるため、雪解けと同時に成長を始める。雪が積もる頃に出た葉が』、『雪の下で』、『枯れずに冬越しすることからもわかるように、非常に耐寒性に優れている』。『建物の間や』、『年中』、『太陽の当たらない湿った場所を』、『浅く』、『耕しておき、種を撒いた後に』、『水をかけて放置する。荒地でもよく育つので、手が掛からない。また、毎年』、『種を周囲に零すので』、『一度』、『撒いたら』、『毎年』、『どんどん増える』。『古代ギリシア名ではレモン』・『バームを蜜源植物として珍重していた。ギリシア語でメリッサ(』(ラテン文字転写)『Melissa』:『メリッタとも呼ばれる)は蜜蜂を意味し、メリッサという名はこれに由来する。ギリシア神話ではメリッセウス(蜜蜂男)の娘(メリッサ)が、蜂蜜を与えてゼウスを育てた。 その後』、『アラブ人によって、強胃、強心、強壮作用のもった薬草であること』が『伝えられた。 ペダニウス・ディオスコリデスの「薬物誌」に』、『サソリや毒グモの解毒剤として有効などと書かれている』。『ハーブとして葉が利用される。主な旬は』四~十一『月とされ、しおれていない新鮮なものは香りが強い。香りのもととなっている精油成分は、シトラール、シトロネラール、オイゲノールアセテートなどで、不眠症の改善や抗』鬱『効果が期待されている』とある。ドイツ語では、“ Zitronenmelisse ”(ツィトローネンメリッサ)。]
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