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2025/03/17

和漢三才圖會卷第八十七 山果類 楢

 

Konara

 

なら   楢

     【和名奈良

      俗云古奈良】

【音秋】

 

△按楢樹高𠀋許葉花實如槲柞之輩秋月紅葉時人以

 賞之               德大寺左大臣

  夕かけてならのはそよき吹く風にまたき秋めく

                    神なひの森

[やぶちゃん注:この歌の作者は「後德大寺左大臣」が正しい。訓読文では、添えておいた。]

 

    *

 

なら   楢

     【和名、「奈良」。

      俗に云ふ、「古奈良《こなら》」。】

【音秋】

 

△按ずるに、楢≪の≫樹、高《たかさ》、𠀋ばかり。葉・花・實、槲(くぬぎ)・柞(はゝそ)の輩《うから》のごとし。秋月《あきづき》、紅葉する時、人、以《もつて》、之れを、賞す。            後德大寺左大臣

  夕かけてならのはそよぎ吹く風に

       まだき秋めく神なびの森

 

[やぶちゃん注:これは、「小楢」「楢」で、

双子葉類植物綱ブナ目ブナ科コナラ属コナラ亜属コナラ Quercus serrata

である。「日本大百科全書」から引く(読みは一部のみでカットした)。『ブナ科(APG分類:ブナ科)の落葉高木。高さ』十五『メートル前後で、大きいものは』二十五『メートル以上、胸高直径』八十『センチメートルに達する。樹皮は灰黒褐色で縦に不規則に浅裂する。老樹では灰白色となり深裂する。主根は垂直、深根型で、地下』三『メートルに達し、稚苗も主根は太く棒状となる。枝は斜上し、先端は細く分枝する』。一『年枝は灰褐色で有毛であるが、のちに無毛となる。皮目は白色で散生し、冬芽は』五『稜のある円錐形で、褐色の鱗片で密に包まれる。葉は互生し、葉柄は』三~二十『ミリメートル、裏面は軟毛が残り灰緑色、葉身は倒卵形ないし長楕円形をなし、長さ』六~十五『センチメートル、葉縁にはやや内曲する粗い鋸歯がある。側脈は』九~十二『対。雄花序は開葉直後に新枝の下部に数個下垂し、長さ』四~八『センチメートル、花は多数』で、四~六『個の雄しべから無数の花粉を放出する風媒花である。雌花序は新枝の上部の葉腋から斜上し、長さ』一~二『センチメートルで、花は総包に包まれて』二『個ないし』、『数個つき、柱頭は心臓形に』三『裂する。秋には子房が発達して堅果となり、総包は瓦』を『重ね』たように『癒着しながら成長し』、『殻斗となる。堅果は円柱状楕円形で褐色、上端に柱頭が残存し、下部は殻斗に』三『分の』一『ないし』四『分の』一『が包まれる。堅果に休眠性がなく、落下して』一『か月足らずで長さ』二十『センチメートルほどの根を出すが、子葉は種子内にとどまり、地下子葉として冬を越す。乾燥には極端に弱い』。『陽樹で若木の成長は早い。萌芽力が強く、伐採後』二十『年で樹高』十五『メートルに達し、薪炭林(しんたんりん)としてクヌギとともに日本を代表する雑木林をつくる。種子島以北の日本全土および朝鮮半島の低山帯にもっとも普通にみられるが、天然林はまれである。タバコの栽培では落ち葉を畑にすき込んだり、シイタケの原木として利用するために、人為的に管理された林も残るが、近年の燃料革命で放置された林は、マツ林と同様に、より耐陰性の強いカシ類の林に変わりつつある。材は環孔材で木目は美しい。針葉樹とは逆に、成長の早いものほど比重は重く良材となるが、大径木がなくなったため、家具などのナラ材はほとんどがより良質の北海道産のミズナラを用いる』。『外国語の oak(英語)、chêne(フランス語)、Eiche(ドイツ語)はコナラを含むナラ属 Quercus をさすが、狭義には、常緑で殻斗に輪紋様があるカシ類と対比されるコナラ亜属 Lepidobalanus に含まれ、殻斗に鱗片が瓦重ね状につく特徴があるものをさす。このナラ類は』、『北アメリカを中心に北半球の温帯に広く分布し』、二百『種以上を含む大きなグループである。ヨーロッパナラ Q. robur Q. petraea は大木となり、「森の王者」と尊ばれ、建築材、家具材、洋酒の樽材として、また大量の実はブナとともにブタの飼料として』大切『であった。地中海沿岸や暖帯、亜熱帯には常緑のナラもあり、holm oaklive oak として区別することもある。単なる oak は落葉性のナラをさし、カシと訳すのは正確ではない。中国では「栎」の字をあて、カシの「椆」と区別する。和名のナラは、単にコナラ、ときにミズナラをさすのが普通である。ハハソ(柞)はコナラやクヌギの古名である』とある。

「槲(くぬぎ)」先行する「橡」の私の冒頭注を見られたい。

「柞(はゝそ)」前項の「柞」の私の冒頭注を見られたい。

「夕かけてならのはそよぎ吹く風にまだき秋めく神なびの森」「後德大寺左大臣」本歌は、「夫木和歌抄」所収の一首である。「後德大寺左大臣」は平安後期から鎌倉初期にかけての公卿・歌人である徳大寺実定(保延五(一一三九)年~建久二(一一九二)年)のこと。「百人一首」(第八十一「ほととぎす鳴きつる方(かた)をながむればただありあけの月ぞ殘れる」)で知られる。「日文研」の「和歌データベース」で確認した(同サイトの通し番号で「13990」)。]

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