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2025/04/03

和漢三才圖會卷第八十八 夷果類 海松子

 

Tyousengoyou

 

[やぶちゃん注:左下方に五個の種子のような図が添えてある。]

 

からまつのみ 新羅松子

       俗云朝鮮松子

海松子

 

ハイ ソン ツウ

 

本綱海松子樹與中國松樹同惟五葉一叢者毬內結子

大如巴豆而有三稜一頭尖久收亦有油雲南亦有之而

新羅國者肉甚香美當果食之伹中國松子大如栢子亦

可入藥不堪果食

海松子【甘溫】補不足潤皮膚肥五臟久服輕身不老昔仙

 人等好食松子者卽此也

△按海松子凡出於中國外者皆稱海某如海紅豆亦然

 矣此松子多來於朝鮮以爲果食栽其種生者徃徃有

 之葉長而與日本松大異也然結子者希也

 

   *

 

からまつのみ 新羅松子

       俗云朝鮮松子

海松子

 

ハイ ソン ツウ

 

「本綱」に曰はく、『海松子《かいしようし》は、樹、中國の松の樹と同じ。惟《ただ》、五葉一叢の者なり。毬(ちゝり)の內に、子《み》を結ぶ。大いさ、「巴豆《はづ》」のごとし。三稜、有り、一頭、尖る。久《ひさし》く收《をさめ》て、亦、油、有り。雲南にも亦、之れ、有れども、新羅の國の者、肉、甚だ、香美なり。果に當《あて》て、之れを食ふ。伹《ただし》、中國の松の子は、大いさ、栢(かゑ[やぶちゃん注:ママ。])の子(み)のごとし。亦、藥に入《いる》べし。≪而れども、≫果食《くわしよく》に堪へず。』≪と≫。

『海松子《かいしようし》【甘、溫。】不足を補い[やぶちゃん注:ママ。]、皮膚を潤《うるほ》し、五臟を肥(こ)やし、久《ひさしく》服すれば、身を輕くし、老《おい》ず。昔、仙人等《など》、好んで、松の子《み》を食《くふ》と云ふ[やぶちゃん注:「云」は送り仮名にある。]は、卽ち、此れなり。

△按ずるに、海松子は、凡そ、中國の外より出《いづ》る者、皆、「海某《かいなにがし》」と稱す。「海紅豆《かいこうづ》」云ふごときも、亦、然《しか》り。此の松子《まつのみ》、多《おほく》、朝鮮より來り、以《もつて》、果と爲《なして》、食ふ。其の種を栽《うゑ》て、生《しやうず》る者、徃徃≪にして≫、之れ、有り。葉、長《ながく》して、日本の松と大《おほき》に異《ことなれる》なり。然≪れども≫、子を結ぶ者、希《まれ》なり。

 

[やぶちゃん注:これは、「松の実」が知られる、

裸子植物門マツ亜門マツ綱マツ亜綱マツ目マツ科マツ属 Strobus 亜属 Cembra 節チョウセンゴヨウ Pinus koraiensis

である。良安も本邦の松の種ではないと認識して書いている。但し、以下の引用で判る通り、本邦にも僅かな隔離分布はある(以下の☜部分を見よ)。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『学名』の『の種小名 koraiensis は「高麗の」という意味』で、『別名でチョウセンマツ(朝鮮松)ともよばれている。中国名は紅松や果松、ロシア語名は Корейский кедр』(音写「ガリィエスキ・スリャコプ」『(韓国のマツ)や Маньчжурский кедр』(同「マンジュスキイィ・スリャコプ」『(満州の松)という』。『我々の身近なマツであるアカマツ』(マツ属 Pinus亜属アカマツ Pinus densiflora )『やクロマツ』(マツ属Pinus亜属クロマツ Pinus thunbergii )『とは亜属単位で異なりStrobus亜属、いわゆる五葉マツの仲間に分類される』。『北東アジア地域原産。朝鮮半島、中国東北部、ロシア極東部(ウスリー川流域)と日本に自然分布する。日本では本州中部の福島県南部から岐阜県にかけてと四国の東赤石岳にもわずかな群落が隔離分布しているが、比較的稀な種で山で見かけることは少ない』(☜)。『花粉化石の分析などから、最終氷期には現在よりはるかに広い範囲で繁栄していたことが知られている』。『成木は樹高』三十『30メートル』『以上、直径』一・五メートル『に達する。樹皮は灰褐色で幼齢時は平滑、成長するにつれて薄く鱗状にはがれる』。『針葉は名前の示すように五葉であり、短枝に』五『本が束生する。葉は濃い緑色で白い気孔がよく目立ち、遠目には青緑色に見える。長さは』六~十『センチメートル』『で縁には鋸歯があり、ざらざらした触り心地である。葉の断面の樹脂道は同じく日本産五葉松のゴヨウマツ( Pinus parviflora )の』二『本に対して本種は』三『本ある』。『球果(松かさ)は』八~十六センチメートル『と五葉松のなかまでは最も大形で、枝の先に』三、四『個がまとまって出来ることが多い。他のマツ同様多数の鱗片から構成される。色は若い時は緑色だが熟すと黄褐色に変わる。球果の鱗片は熟すにつれて外側に反り返る。マツ属の球果は一般に成熟後』、『しばらく樹上に留まり、空気中の湿度に反応して開閉を繰り返し』、『中の種子を散布する。しかしながら、本種及び近縁種は成熟後も決して開かないままに落果する。熟した球果は比較的分解しやすい他の五葉松類のものと比べても非常に脆く、素手で分解することも簡単である。球果の』一『つの鱗片には』二『つの種子が入っている。種子は』二センチメートル『弱ある大型のもので、他のマツと違い翼を持たない』。『日本では比較的稀な種であり、純林を構成することはなく』、『広葉樹林に混生する形をとることが多い』(☜)。『一方、シベリアではトウヒ属( Picea )やカラマツ属( Larix )などの針葉樹と共に森林の主要な構成種の一つである』。『種子はネズミやリスなどの小さな哺乳類や、カケス、イスカ、ホシガラス、ライチョウなどの鳥類によって伝搬され、特にネズミやリスによって集められ、移動されて各地で発芽する』。『本種はマツノザイセンチュウ(』線形動物門双腺綱葉線虫(ヨウセンチュウ)目アフェレンクス科Bursaphelenchus属『 Bursaphelenchus xylophilus )に感受性が高く、寄生されるとマツ材線虫病を発症して枯死に至ることが多い。ただし、本種は線虫接種試験に対する感受性自体は強いものの、実際の森林ではあまり被害を受けていないようである。マツ材線虫病が徐々に広がりつつある韓国においても』、『日本産アカマツやクロマツに比べて本種の被害報告は遅かった』。『材は建築、パルプなどに用いる。庭園木、盆栽にする。種子は可食でいわゆる「松の実」として利用される。種子は海松子と呼ばれ漢方薬に利用される。韓国では葉も利用するようである』。『材は本種の主要産地の一つである中国での名を採って紅松(ホンソン)などと呼ばれる。気乾比重は在来の二葉松類よりやや軽い』〇・四五~〇・五〇である。『シベリアでも伐採が盛んである』が、『シベリアでは絶滅の恐れのあるアムールトラ』(ネコ目ネコ科ヒョウ属トラ亜種アムールトラ Panthera tigris altaica )『やアムールヒョウ』(ヒョウ属ヒョウ亜種アムールヒョウ Panthera pardus orientalis )『といった大型肉食哺乳類を保護すること、経済価値の高い本種の違法伐採が後を絶たないことなどから本種の保護が叫ばれていた』二〇一〇年十月『付でマツ属としては初めて』、『ロシア産の本種をワシントン条約に登録する措置が採られている』とあった。

 なお、引用は、「漢籍リポジトリ」の「本草綱目」の「漢籍リポジトリ」の「卷三十一」の「果之三」「夷果類」の「海松子」([077-14a]以下)のパッチワークである。

「巴豆《はづ》」双子葉植物綱キントラノオ目トウダイグサ科ハズ亜科ハズ連ハズ属ハズ Croton tiglium 。先行する「巴豆」を見よ。

「栢(かゑ[やぶちゃん注:ママ。])」これは、一言では言えない。最初回の「柏」の私の注を見られたい。

「海紅豆《かいこうづ》」マメ科Adenanthera 属海紅豆(アデランステラ・ミクロスペルマ)Adenanthera microsperma 。和名は、ない。インド・東南アジア(フィリピンは除く)・中国に分布する。用途は木材。若芽は野菜として食用にされ、種子は装飾品に用いられる。]

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