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2025/05/23

和漢三才圖會卷第八十八 夷果類 都念子

 

Mangosutin

 

とねんし  倒捻子

 

都念子

 

本綱都念子生嶺南隋煬帝時進百株植于西苑樹髙𠀋

餘葉如白楊枝柯長細花心金色花赤如蜀葵而大子如

小棗𮔉漬食之甘美或云子如軟柹外紫內赤無核頭上

有四葉如柹蔕食之必捻其蒂故名

 

   *

 

とねんし  倒捻子

 

都念子

 

「本綱」に曰はく、『都念子は、嶺南[やぶちゃん注:現在の広東・広西省。]に生ず。隋の煬帝《やうだい》[やぶちゃん注:第二代皇帝。在位は六〇四年から六一八年。]の時、百株を進じて、西苑に植《うう》。樹の髙さ𠀋餘。葉、白楊(はこやなぎ)のごとく、枝-柯《えだ》、長く、細く、花の心[やぶちゃん注:「芯」。]、金色にて、花、赤く、蜀葵(からあをひ)のごとくにして、大なり。子《み》、小≪さき≫棗《なつめ》のごとく、𮔉《みつ》漬《づ》け≪にして≫、之れを食ふ。甘美≪なり≫。或いは、云ふ、「子、軟≪らかなる≫柹《かき》のごとく、外、紫、內、赤く、核《さね》、無《なし》。核、頭上≪に≫四葉、有り、柹の蔕(へた)のごとし。之れを食ふに、必《かならず》、其の蒂を捻《ひねる》。故に名づく。」≪と≫。』≪と≫。

 

[やぶちゃん注:東洋文庫訳では、しらっと、割注・後注もなく、種名を載せない。しかし、「或いは、云ふ」以下の「內、赤く」が、やや疑問ではあるが、この「內」が、果皮の内側の内皮ならば、納得され(中の果肉部分は白いが、これは仮種皮である)これは、「果物の女王」と称せられ、私も大好物である(最初の教え子同士(孰れも私の「秘蔵っ子」であり、結婚式では仲人代わりとして、連れ合いともに招待され、冒頭、二人を紹介した夫君の書いたものを私が読み上げた)の夫婦を当時の勤務先であったシンガポールに訪ねた際、彼女が買ってきてくれて、激しく美味であったのである)、

双子葉植物綱キントラノオ(金虎尾)目フクギ(福木)科フクギ属マンゴスチン Garcinia mangostana

で問題ない。「維基百科」の同種のページを「臺灣正體」を選ぶと、『山竹』とし、別名に『莽吉柿、芒翕、山竺、山竹子、倒捻子』(☜)・『鳳果』を見出せる。「百度百科」の「都念子」には、『倒捻子の果実の名』とある(但し、そこには学名は記されていない)。当該ウィキを引く(注記号はカットした)。『マンゴスチン(英: mangosteen』『)は、フクギ属の常緑高木。東南アジアのマレー原産。マレー語、インドネシア語ではマンギス(マレー語: manggis; インドネシア語: manggis)、タイ語ではマンクット』、『ベトナム語ではマンクッ(măng cụt)、中国名で「莽吉柿」という。果実は美味で「果物の女王」と称される。フクギ科ではもっとも利用されている種の一つ』。『名称にmangosteenとあるが、mango(マンゴー)』(ムクロジ目ウルシ科マンゴー属マンゴー Mangifera indica )『との関連はない』。『明治期の博物学書や百科事典の中で茫栗という漢字表記が用いられた』。七~二十五『メートル』『の直立する幹を持つ高木で、樹冠は円形または円錐形、樹皮は褐色から黒色、内側には黄色の樹液を含む』。『葉は対生、卵形ないし長円形で長さ』八~十五『センチメートル』、『厚く革質で』、『やや光沢を持つ。花は』二・五~五センチメートル『で雄花または両性花。両性花は若い短枝の先端に』一『または』二『個つく。萼と花弁は』四『枚、肉厚で』、『わずかに黄色を帯びた赤色から淡桃色。雄しべは多数。雌しべは』一『個、柱頭は』四~八『裂する。果実は直径』四~八センチメートル『の球形で、表面は滑らか、肉厚の萼が宿存し、反対側に柱頭の跡が残る。果皮は厚くてやや硬く、暗赤紫色をしている』。『果皮に包まれている食用の果肉部分は、仮種皮である。柱頭の数(通常』四~八『個)と同じに分離したミカンの房のような形をしており白色である。それぞれの房に』一『個の種子があるが、そのなかで発芽能力を持つ通常』一『個』時に、ゼロから二個)『だけが大きい(長さ』一センチメートル『程度で扁平)。発芽能力を持たない種子は小さく食用時に気にならない』。『東南アジアから南アジア、一部中南米で栽培される。輸出国としてはタイが有名である。ヴィクトリア女王をはじめヨーロッパ人に好まれた風味の果実のため、熱帯の各地への移入が今までに試みられてきている。ニュースサイト「VIETJO」では原産国がマレー半島とされており、ベトナムにはキリスト教の宣教師がもたらしたとされている。日本では、沖縄などで数々の熱帯果実の栽培が可能になっているが、現在のところマンゴスチン栽培は成功していない』。『一般的に栽培は実生による。初期は遮光が必要で、成長し結実するまでに』十『年前後かかり遅い。高濃度の施肥に反応を示し、酸性土壌で良好な排水が必要。短期間の乾燥には耐えるが』、『通年の降雨または灌漑が必要。若木で』百~三百『個、成木で』千~三千『個の果実がなる』。『雑種起源の倍数体で無性生殖をするといわれ、品種は知られていない』。『フクギ属( Garcinia )は』百『種ほど知られ、マンゴスチンの台木に使われるものもある。フクギ( G. subelliptica )は日本では沖縄県等で防風林・防潮林として植えられ、樹皮は染色に利用されている』。『果実の外皮は粉末にして下痢、赤痢、皮膚病に使われるほか、保湿効果や動脈硬化の予防効果が示唆されている。また、葉は乾燥させて茶にするほか、皮は染料としても使える。マンゴスチンの外皮に含まれるポリフェノールの一種のキサントンに、がん抑制効果があることが発表された』。『東南アジアの国では、ドリアン』(アオイ目アオイ科 Helicteroideae 亜科ドリアン属 Durio 。タイプ種は Durio zibethinus で、現在、三十種が知られる。私はタイで美味さにハマった)『とともにマンゴスチンを持ち込み禁止を掲げているホテルがある(特に高級ホテルに多い)。ドリアンはその匂いが強烈なためだが、マンゴスチンは皮に含まれる赤い色素でベッドや絨毯など調度類を汚してしまうおそれがあり、染料に使うほどなので容易に落とすことができないためである』。『ドリアンを「果物の王様」とよぶのに対し、マンゴスチンは柔らかい果肉、香りが良くさわやかな甘味で上品な味わいから、「果物の女王」ともよばれる。デリケートな食感を楽しむため生食が一般的だが、ジュース、ゼリー、缶詰に加工されることもある』。『基本的に劣化しやすく賞味期間の短い果物である。高湿度で低温にすればその期間を伸ばすことができるが』、『原産国では気温が高く、数日で劣化してしまうことが多い。実験では』摂氏四度『で湿度』九十%『で』四十九『日間品質を保ったという』。『収穫後は多くの果物とは反対に果皮が硬化してゆくが、もともと分厚く固いため内部の様子が分かりにくい。劣化するとシャーベット状だった可食部は透明感が増し』、『黄変し』てしまい『不味』い。『日本では、生または冷凍、シロップ漬の缶詰で入手できる。但し、ミバエ』(実蠅:双翅(ハエ)目短角(ハエ)亜目ハエ下目ミバエ上科ミバエ科 Tephritidae)『の侵入を懸念して、現地のスーパーなどで購入した生のものは、そのまま国内に持ち込むことは禁止されている。国内では生の持ち込みは』二〇〇三『年に解禁されたものの、植物検疫に合格したことが証明されたもののみが持ち込み可能であるため、現状でも流通量は少なく値段も高い。また、生のものと解凍のものでは味が著しく異なる』二〇二三『年には条件付きで熱処理なしでタイから輸入できるようになった』。『アメリカ合衆国でも同様にミバエの侵入を懸念して輸入が禁止されていたが』、二〇〇七『年に放射線照射処理をすることを前提に輸入解禁となった』とある。但し、このウィキには注意喚起がないが、果物アレルギーある人は、マンゴスチンを摂取することで軽度なアレルギー反応を示すことがあり、症状は様々で、痒みや蕁麻疹、口周りの赤みや腫れなどの症例報告があることが知られており、その外の特定の体質や疾患を持っている場合は、禁忌であったり、二個以上の食用は避けた方がいいとする記事がネット上にはある。特に、Chihiroさんのサイト「Durian Hunter」の「マンゴスチンにも副作用あり⁉︎こんな人は食べ過ぎに注意!」に、各個的な注意喚起記載があるので、是非、読まれたい。

 なお、以上の本文は、「漢籍リポジトリ」の「本草綱目」の「漢籍リポジトリ」の「卷三十一」の「果之三」「夷果類」の「都念子」([077-30a] 以下)からの抄録である。短いので、全文を手を加えて、以下に示す。

   *

都念子【拾遺】

 釋名倒捻子【詳下文】

 集解【藏器曰杜寳拾遺錄云都念子生嶺南隋煬帝時進百株植於西苑樹高丈餘葉如白楊枝柯長細花心金色花赤如蜀葵而大子如小棗蜜漬食之甘美益人時珍曰按劉恂嶺表錄云倒捻子窠叢不大葉如苦李花似蜀葵小而深紫南中婦女多用染色子如軟柹外紫內赤無核頭上有四葉如柹蔕食之必捻其蔕故謂之倒捻子訛而爲都念子也味甚甘軟】

 實氣味甘酸小温無毒主治痰嗽噦氣藏器暖腹臟益

 肌肉【時珍錄嶺表

   *

「白楊(はこやなぎ)」この良安の「ハコヤナギ」のルビはアウト! 「ハコヤナギ」は本邦では、

キントラノオ目ヤナギ科ヤマナラシ(山鳴らし)属ヨーロッパヤマナラシ変種ヤマナラシ Populus tremula var. sieboldii

を指す異名であるが、先行する「白楊」で考証した通り、

キントラノオ目ヤナギ科ヤナギ属マルバヤナギ Salix chaenomeloides

であるからである。

「蜀葵(からあをひ)」音「しよくき」は、アオイ亜科タチアオイ属タチアオイ Althaea rosea の中文名(「維基百科」を見よ)にして、本邦での同種の古名であるので、問題ない。]

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