阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「私雨」
[やぶちゃん注:底本はここ。記号(変更を含む)添え、段落・改行を成形した。なお、これで「駿東郡」のパートは終わっている。]
「私雨《わたくしあめ》」 駿東郡足柄山《あしがらやま》にあり。傳云《つたへいふ》、
「天氣快霽《くわいせい》、外《ほか》一點の雲なき日といへども、此山、忽《たちまち》、雲、生じ、村雨《むらさめ》、降る。餘山《よざん》、猶《なほ》、晴明也。故に土俗、是を號《なづけ》て『私雨』と云《いへ》り。凡《およそ》、此《この》足柄山は、當郡竹の下村を境として、駿・相《さう》兩國に跨《またが》れり。故に茲《ここ》に記す。
[やぶちゃん注:「足柄山」ウィキの「金時山」によれば、読みは、「きんときやま」「きんときさん」で、『金太郎伝説や童謡「金太郎」の歌詞』の二『番』にある『足柄山の山奥で けだもの集めて相撲のけいこ……』『で知られる足柄山(あしがらやま)は、金時山から足柄山地の足柄峠にかけての山々の呼称である。山域の呼称であり、足柄山という単独の峰は存在しない』とある。「ひなたGIS」で示すとここで、一方、広域の足柄山地は、ウィキの「足柄山地」によれば、『神奈川県北西部に広がる丹沢山地と同県南西部の箱根山地の間にある標高』一千メートル『前後の小規模な山地であり、丹沢山地とは神縄断層および小菅沢断層、箱根山地とは内川断層によって境される』。『このように断層によって隔てられた山地であるが、丹沢山地や箱根山地の一部として扱われることも多い』。『山地中央部を流れる酒匂川によって北東部と南西部に分けられ、北東部は起伏の小さい地域、南西部は起伏の大きい山地となっている』。『いずれの地域も多くは』、『たおやかな地形となっているが、南部に位置する矢倉岳は石英閃緑岩の貫入岩体が浸食から取り残され』、『おにぎりを立てたような形となっており』、『足柄山地の象徴的な存在となっている』とある。因みに私は、神奈川県公立高校教師時代、若い頃と、終わりの頃に、ワンダフォーゲル部と山岳部の顧問をしたが、後者では、毎春は、金時山登山を常としていた。私は、ここから見る富士山が最も美しいと思う。グーグル・マップ・データのサイド・パネルの画像をリンクさせておく。
「竹の下村」現在の静岡県駿東郡小山町竹之下(グーグル・マップ・データ航空写真)。]
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