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2025/07/07

和漢三才圖會卷第八十九 味果類 皐蘆 / 卷第八十九~了

 

Nanbantya

 

なんばんちや 瓜蘆 苦䔲

 

皐蘆

 

カ゚ウ ロウ

 

本綱皐蘆生南方諸山中葉狀如茗而大如手掌挼碎泡

飮味苦而色濁南畨人作茗飮極重之客來先設乃加以

香芼之者如蜀人飮茶也而風味不及於茶

 

   *

 

なんばんちや 瓜蘆《くわろ》 苦䔲《くたう》

 

皐蘆

 

カ゚ウ ロウ

 

「本綱」に曰はく、『皐蘆《かうろ》は、南方、諸山の中に生ず。葉の狀《かたち》、茗《ちや》のごとくにして、大いさ、手の掌《ひら》のごとく、挼(も)み碎《くだ》き、泡飮《はういん》す[やぶちゃん注:「泡」には「湯を注ぐ」の意がある。]。味、苦《にがく》して、色、濁れり。南畨人、茗《ちや》と作《な》して飮(の)み、極《きはめ》て之≪を≫重《おも》んず。客、來れば、先づ、設(もふ[やぶちゃん注:ママ。])け、乃《すなはち》、加ふるに[やぶちゃん注:「副(そ)えものとして」。]、香芼《かうもう》の者を以《もつ》て≪す≫。蜀人の茶を飮むがごとし。而≪れども≫、風味は、茶に及ばず。』≪と≫。

 

[やぶちゃん注:この「皐蘆」は不詳である。中文の三種の百科サイトでも全く掛かってこない。検索では、正面切って考証されてあるものは、後藤文男氏のブログ「ゴット先生の京都古代文字案内」の『「皐盧庵茶舗」の暖簾』ぐらいなものであろう。引用させて戴くと、氏が京の『北大路通りに通じる道に』、『鮮やかに黒く「皐盧庵茶舗」と』暖簾に『書かれてある』店(ここ。グーグル・マップ・データ)を見出され(写真有り)、『店に置いてあったパンフレットによると、「皐盧(こうろ)」という言葉は、鎌倉時代に書かれた栄西の』「喫茶養生記」『に登場する言葉だそうだ。確かに』「養生記」『をみると、中国広州産(現在の中国南部広東省には「広州市」がある)の「茶の美なるを名づけて皐蘆と云ふなり」とある。皐盧は「良いお茶、美味なるお茶」を表す言葉であった』。『「皐」はなじみのない字だが、「皐月(さつき)」という言い方なら聞き覚えがある。しかし「こう」の読みで使う言葉は思い浮かばない。白川説によると、皐のもとの字は「皋」である。皐こう(皋)は「風雨にさらされている獣の死骸」の形で、「白い、色が抜ける」の意をもつが、「高こう」と通じて「たかい」の意味もあるという』。『「盧(ろ)」はいろいろな意味を持つ字であるが、お茶との関わりで言えば「黒、黒い」の意味が一番近い。「盧弓(ろきゅう)、盧犬(ろけん)」というと「黒塗りの弓、黒い犬」をいう。茶葉の色合いを盧で表したものか。「皐盧」とつないで』、『あえて成り立ちから意味を考えると「白と黒」。おそらくお茶とはかかわりのない不思議な色合いとなる。あえてこじつければ、「高い」と「黒」で「高くて黒いお茶」=「上等な黒い葉のお茶」ということになるのかもしれない。白川先生の』「字通」『には、皐盧(皐蘆)は「南蛮茶」とある。南蛮茶と言えば、「珈琲」を指すという説もあるが、おそらく後の時代の解釈であろう。やはり、鎌倉時代に書かれた』「喫茶養生記」『の広州産の「よいお茶」を表す「皐盧」の説明が本来の意味を表わしていると思われる』とあった。他の同茶舖の紹介記事にも『お茶の美名』とあったが、以上の時珍の書き振りからは、それや、『上等な黒い葉のお茶』とされるような銘柄茶には、私には思われない。国立国会図書館デジタルコレクションで検索したところ、唯一、かなり突っ込んだ記載を現代語で記しているものが、あった。『茶道古典全集』の第二巻(千宗室 等編・昭和三三(一九五八)年淡交新社刊)の「喫茶養生記」の『補注』の『30 本草拾遺』のここである。一読の価値は大いにある。何か実在種をご存知の方は、御教授を乞うものである。

 なお、以上の引用本文は、「本草綱目」の「漢籍リポジトリ」の「卷三十二」の「果之四」「味類一十三種内附四種」の最後にある「皐蘆」の記載のパッチワークである。短いので、全文を手を加えて以下に示す。

   *

臯蘆【拾遺】 校正【自木部移入此】

 釋名【弘景】【藏器曰南越志云龍川縣有臯蘆一名瓜蘆葉似茗土人謂之過羅或曰物羅皆夷語也】

 集解【弘景苦菜註曰南方有瓜蘆亦似茗苦摘取其葉作屑煮飮卽通夜不睡煮鹽人惟資此飮而交廣最所重客來先設乃加以香芼之物李珣曰按此木卽臯蘆也生南海諸山中葉似茗而大味苦澀出新平縣南人取作茗飮極重之如蜀人飮茶也時珍曰臯蘆葉狀如茗而大如手掌挼碎泡飮最苦而色濁風味比茶不及遠矣今廣人用之名曰苦䔲】

 葉氣味苦平無毒【時珍曰寒胃冷者不可用】主治煮飮止渴明目除煩令人不睡消痰利水【藏器】通小腸治淋止頭痛煩熱【李珣】噙嚥清上膈利咽喉【時珍】

   *

「香芼」「芼」には「羹物(あつもの)に混ぜる野菜」の意があるので、「香りを持った蔬菜」の意であろう。所謂、本邦の「香の物」である。

 本項を以って「卷第八十九」は終わっている。]

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