阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「奇火」
[やぶちゃん注:底本はここ。句読点・記号を追加・変更した。]
「奇火《あやしき くわ》」 安倍郡府中、御在城の時にあり。「當代記」云《いはく》、『慶長十五年十月六日、南方ノ方ヨリ、一丈計リ之火飛來リテ、城上ニ而消ユ。人皆見ㇾ之、云云。同九日、上御臺所、大黑柱の上より燃出、阿茶局廊架、長倉等燒失。是、天火にや。』。
[やぶちゃん注:「當代記」複数回、既出既注。
推定訓読を示しておく。句読点を追加した。
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慶長十五年十月六日、南方の方より、一丈計《ばか》りの火《くわ》、飛來《とびきた》りて、城上《しろのうへ》にて、消ゆ。人皆《ひとみな》、之れを見る、云云《うんぬん》。同九日、上御臺所《かみみだいどころ》、大黑柱《だいこくばしら》の上より燃出《もえいで》、阿茶局《あちやのつぼね》廊架《らうか》、長倉《ながくら》等、燒失。是《これ》、天火《てんくわ》にや。
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「慶長十五年十月六日」グレゴリオ暦一六一〇年十一月二十一日。
「上御臺所」貴人・武士・豪商などの家で、家族や客用の食事を作る台所。
「阿茶局」徳川家康の側室雲光院(天文二三(一五五四)年~寛永一四(一六三七)年)。]
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