阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「山神悅惣髮」
[やぶちゃん注:底本はここ。段落を成形し、句読点・記号を変更・追加した。]
「山神悅惣髮《やまがみ そうはつを よろこぶ》」 安倍郡藁科村《わらしなむら》にあり。傳云《つたへいふ》、
「當村に山神あり。里人《さとびと》、病《やまひ》あれば、「一生、惣髮とならん。」事を誓ひ、是を祈る。必《かならず》、愈《い》ゆ。云云。」。
奇《き》を好める、いかなる神にや。
[やぶちゃん注:「惣髮」「總髮」に同じ。「そうがみ」が原音で、「そうがう」とも読む。月代(さかやき)を剃らずに、伸ばした髪を、後ろで束ねて結った髪型。また、後ろへ撫でつけて、垂れ下げただけで、束ねないものも言う。江戸時代には、医者・儒者・浪人・神官・山伏などが多く結った。「四方髪」「撫で附け」とも呼ぶ。
「藁科村」「ひなたGIS」の戦前の地図のここで、北西に「中藁科村」、南東に「南藁科村」が確認出来る。古くは、この広域を、かく呼んだものか。但し、この山神を祀った、奇体な言い伝えのある神社は探し得なかった。]
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