和漢三才圖會卷第九十二之本 目録 草類 藥品(5) 相反
相反 十八種
人參 沙參 玄参 苦參 丹参 紫參【以上五參】 芍藥
細辛 以上藥反藜蘆逢之便殺人
[やぶちゃん字注:「參」と「参」の混在はママ。]
半夏 白笈 白歛 瓜樓 貝母
以上反烏頭與烏喙逢之便疾反
大戟 海藻 芫花 甘遂 以上反甘草
𮔉蠟與葱 石决明與雲母 並相反
黎蘆莫把酒采浸 如犯之都是苦
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相反(そうはん) 十八種
人參《にんじん》 沙參《しやじん》 玄参《げんじん》 苦參《くじん》 丹参《たんじん》 紫參《しじん》【以上、「五參《ごじん》」。】 芍藥《しやくやく》 細辛《さいしん》 以上の藥《やく》、藜蘆《りろ》に反す。之《これ》に逢へば、便ち、人を殺す。
半夏《はんげ》 白笈《しけい》 白歛《びやくれん》 瓜樓《からう》 貝母《ばいも》
以上、烏頭《うず》と烏喙《うかい》と反す。之に逢へば、便ち、疾《やまひ》、反《かへ》る。
大戟《たいげき》 海藻 芫花《げんくわ》 甘遂《かんすい》 以上、甘草《かんざう》と反す。
𮔉蠟と葱(ひともじ)と、石决明《せきけつめい》と雲母《うんも》と、並《ならび》に、相《あひ》反す。
黎蘆《りろ》に酒を把(と)り、采(と)り浸《ひた》すこと、莫《なか》れ。如《も》し、之を犯《おか》せば、都(すべ)て、是れ、苦《くる》しむ。
[やぶちゃん注:やはり、訓読では、通常の読者は、意、やや採り難いので、東洋文庫訳(竹島淳夫氏訳)を引用しておく(仕儀は、前回と同じ)。
《引用開始》
相反(そうはん) 十八種
人参・沙参(しゃじん)・玄参・苦参[やぶちゃん注:ママ注が右にあるが、後注無く、この漢方名は、実際にある。不審。私の後注を参照されたい。]・丹参・紫参〔以上五参〕・芍薬(しゃくやく)・細辛 以上の薬は藜蘆(りろ])(毒草類)と反する。この反の組合せは人を殺す。
半夏・白笈(しけい)(山草類)・白斂(びゃくれん)・瓜楼(かろう)(栝楼と同じ)・貝母(ばいも)(山草類) 以上は烏頭(うず)と烏喙(草烏類。毒草類カラトリカブト) とに反する。この反の組合せは疾(やまい)となってかえってくる。
大戟(たいげき)(毒草類)・海藻・芫花(げんか)(毒草類)・甘遂(かんずい)(毒草類) 以上は甘草と反する。
蜜蠟と葱(ネギ)、石決明(せきけつめい)(介貝類アヮビ)と雲母(うんも) いずれも反する。
黎蘆(りろ)を酒に浸してはいけない。もしそうすれば毒で苦しむことになる。
《引用終了》
「人參」「朝鮮人參」。セリ目ウコギ(五加木)科トチバニンジン(栃葉人参)属オタネニンジン(御種人蔘) Panax ginseng 。
「沙參」キキョウ目キキョウ科ツリガネニンジン(釣鐘人参)属トウシャジン(唐沙参) Adenophora stricta の根茎を乾したもの。去痰・鎮咳に効果があるとされる。
「玄参」「卷第八十四 灌木類 五加」で考証したが、再掲する。ウィキの「ゴマノハグサ」(シソ目ゴマノハグサ科ゴマノハグサ属ゴマノハグサ Scrophularia buergeriana )の「利用」の項に、『根を乾燥させたものを漢方薬で玄参(ゲンジン)といい、のどの病気に薬にするという』『が、ゴマノハグサの中国名は、北玄參という』。(☞)『真正の玄参は、同属のオオヒナノウスツボ』(大雛の臼壺: Scrophularia kakudensis )『に近いScrophularia ningpoensis 』『(中国名、玄參)』『の根をいう』とあった。「維基百科」で検索したところ、同学名を挙げた「玄参」を見出せた。それによれば、『ゴマノハグサ属には約二百種が存在する。北半球の開けた森林地帯に自生し、植物体は背が高く、大きな分岐した花序に紫・薄緑、または黄色の花が咲く。昔は痔の治療に使用されていたため、英語名は「痔草」』(英文名は記されていない。”hemorrhoid grass”か?)『を意味する。中国の浙江省と四川省に分布する』とあった。
「苦參」マメ目マメ科マメ亜科クララ連クララ属クララ Sophora flavescens の根、又は、外の皮を除いて乾燥したものを基原とする生薬。当該ウィキによれば、『利尿、消炎、鎮痒作用、苦味健胃作用があ』る、とする。なお、『和名の由来は、根を噛むとクラクラするほど苦いことから、眩草(くららぐさ)と呼ばれ、これが転じてクララと呼ばれるようになったといわれる』とあった。
「丹参」「和漢三才圖會卷第四十四 山禽類 比翼鳥(ひよくのとり) (雌雄で一体の幻鳥・捏造剥製はフウチョウを使用)」の私の「丹沉」の注で示した。長いが、引用する。
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「丹沉」東洋文庫訳は割注して『丹参(たんじん)か。シソ科の薬草』(キク亜綱シソ目シソ科アキギリ属タンジン Salvia miltiorrhiza:ウィキの「丹参」によれば、『丹は朱色を意味し、参も薬用ニンジンのような赤い根っこを意味する。ウコギ科の薬用ニンジンや、野菜のニンジン(セリ科)とは、全く関係がなく、草花として親しまれているサルビアや、キッチンハーブのセージと同じシソ科アキギリ属の植物である』。『中国に分布する耐寒性の宿根草で、 草丈は』三十~八十センチメートル『くらいになる。茎は角張っていて、葉は単葉で有毛、鋸歯がある。花は初夏から秋にかけて咲き』、二センチメートル『ほどの藍色の唇形花が数輪から十数輪』、『総状花序を作る』。『中国原産であるため、中国で一番古い生薬書』「神農本草経」にも『掲載されて』は『いるが、日本で主に行われている古方派の漢方では、あまり用いられていない。時代が下るに従い』、『よく用いられる傾向があり』、「血の道」と『呼ばれていた月経不順や肝臓病、胸痛・腹痛などに用いられる。また、心筋梗塞、狭心症の特効薬として中国で近年よく用いられる「冠心II号」の主薬として用いられている』。『丹参には次の薬理作用があることが確認されている』。『血管拡張、血流増加、血圧降下、抗血栓、血液粘度低下、動脈硬化の予防・改善、抗酸化、鎮痛、抗炎症、抗菌、精神安定』とある)とするが、前に引用した中文サイトの原文でも「丹泥」で、「沉」は「沈」の異体字であるから、(さんずい)であることは間違いない(「參」は逆立ちしても「沈」「沉」と書き間違えない)と思われるから、東洋文庫「丹参」説は採らない(そもそもそこには耐寒性とあるので、「南海」とは親和性が悪い)。私は一見した際、香木の水中の「泥」に「沈」んで「丹」色となったそれを想起し、香木の一種である「沈香(じんこう)」の内で強い赤みを帯びたそれを指すのではなかろうかと推察した。ウィキの「沈香」によれば、『東南アジアに生息するジンチョウゲ科ジンコウ属』『の植物である沈香木』『(アクイラリア・アガローチャ Aquilaria agallocha)』『などが、風雨や病気・害虫などによって自分の木部を侵されたとき、その防御策としてダメージ部の内部に樹脂を分泌、蓄積したものを乾燥させ、木部を削り取ったものである。原木は、比重が』〇・四『と非常に軽いが、樹脂が沈着することで比重が増し、水に沈むようになる。これが「沈水」の由来となっている。幹、花、葉ともに無香であるが、熱することで独特の芳香を放ち、同じ木から採取したものであっても微妙に香りが違うために、わずかな違いを利き分ける香道において、組香での利用に適している』。『沈香は香りの種類、産地などを手がかりとして、いくつかの種類に分類される。その中で特に質の良いものは伽羅(きゃら)と呼ばれ、非常に貴重なものとして乱獲された事から、現在では』、『沈香と伽羅を産するほぼすべての沈香属(ジンチョウゲ科ジンコウ属』 Aquilaria 『)及び(ジンチョウゲ科ゴニスティル属』 Gonystylus 『)全種はワシントン条約の希少品目第二種に指定されている』。『「沈香」には上記のような現象により、自然に樹脂化発生した、天然沈香と、植樹された沈香樹を故意にドリルなどで、穴をあけたり、化学薬品を投入して、人工的に樹脂化したものを採集した、栽培沈香が存在する』。『当然ながら、品質は前者が格段に優れている。稀に上記の製造過程から来たと思われる薬品臭の付いてしまっているものや、低品質な天然沈香に匹敵する栽培沈香も存在する。しかし、伽羅は現在のところ栽培に成功していない』。『また』、『栽培沈香は人工的に作ったものとして人工沈香ともよばれる』。『栽培沈香は天然沈香資源の乱獲により、原産国でも一般的になりつつあり、国内でも安価な香の原材料として相当数が流通している、なお、香木のにおい成分を含んだオイルに木のかけらを漬け込んだものや、沈香樹の沈香になっていない部分を着色した工芸品は、そもそも沈香とは呼べず、香木でもない。したがって栽培沈香でもない』。『「沈香」はサンスクリット語(梵語)で』「アグル」又は「アガル」『と言う。油分が多く色の濃いものを』「カーラーグル」、『つまり「黒沈香」と呼び、これが「伽羅」の語源とされる。伽南香、奇南香の別名でも呼ばれる』。『また、シャム沈香』『とは、インドシナ半島産の沈香を指し、香りの甘みが特徴である。タニ沈香』『は、インドネシア産の沈香を指し、香りの苦みが特徴』。『強壮、鎮静などの効果のある生薬でもあり、奇応丸などに配合されている』。『ラテン語では古来』、「aloe」『の名で呼ばれ、英語にも aloeswood の別名がある。このことからアロエ(aloe)が香木であるという誤解も生まれた。勿論、沈香とアロエはまったくの別物である』。『中東では』『自宅で焚いて香りを楽しむ文化がある』。本邦では、推古天皇三(五九五)年四月、『淡路島に香木が漂着したのが』、『沈香に関する最古の記録であり、沈香の日本伝来といわれる。漂着木片を火の中にくべたところ、よい香りがしたので、その木を朝廷に献上したところ重宝されたという伝説が』「日本書紀」に載る。『奈良の正倉院』には長さ百五十六センチメートル、最大径四十三センチメートル、重さ十一・六キログラムという『巨大な香木・黄熟香(おうじゅくこう)(蘭奢待』(らんじゃたい)『とも)が納められている。これは、鎌倉時代以前に日本に入ってきたと見られており、以後、権力者たちがこれを切り取り、足利義政・織田信長・明治天皇の』三『人は付箋によって切り取り跡が明示されている。特に信長は、東大寺の記録によれば』、一寸四方で二個を『切り取ったとされている』。『徳川家康が』慶長一一(一六〇六)年頃から始めた『東南アジアへの朱印船貿易の主目的は』、この『伽羅(奇楠香)の入手で、特に極上とされた伽羅の買い付けに絞っていた』。これは『香気による気分の緩和を得るために、薫物(香道)の用材として必要としていたからである』とある。奇体な比翼鳥が啣えて木の上に巣作りするのなら、その辺に生えている薬草なんぞではなくて、南海地方(ズバリ、合う)の赤い沈香木の方がどんなにかマシだと私は思うのだが? 如何?
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「紫參」「デジタル大辞泉」に『ハルトラノオの別名。』とあったが、以上の本文の原拠を捜し得ていないものの、まず、中国の本草書由来と思われる(全くのオリジナルに良安が書いたものとは到底、思われない)ので、日本固有種であるナデシコ目タデ科イブキトラノオ(伊吹虎の尾)属ハルトラノオ (春虎の尾)Bistorta tenuicaulis ではないとして、退ける。而して、「維基百科」で「紫參」を検索したところ、ズバリ、当該種があった。
リンドウ目アカネ(茜)科アカネ亜科アカネ属 Rubia yunnanensis
である。和名は、ない。そこに種小名について、『雲南の』の意とあった。やっぱり、流石の、「跡見群芳譜」の「野草譜」の「あかね(茜)」に、Rubia yunnanensis (シノニム: R.ustulata )として、中文名『小紅參・滇紫參・帶褐茜草』とあった。
「五參」同じく、「跡見群芳譜」の「農産譜」の「ちょうせんにんじん(朝鮮人参)」に、『參(シン,shēn)の字は、転じては(オタネニンジンのように)食用・薬用にする太い根を持つ植物(その根)を言う』。『そのうち、特に人参る(ジンシン,rénshēn,にんじん)・玄參(ゲンシン,xuánshēn,げんじん)・丹參(タンシン,dānshēn,たんじん)・苦參(クシン,kŭshēn,くじん)・沙參(サシン,shāshēn,しゃじん)を、五參と呼ぶ。』とあり。「本草綱目」の「丹參」『の釈名に、「五參は五色、五臟に配す。故に人參は脾に入り、黃參と曰う。沙參は肺に入り、白參と曰う。玄參は腎に入り、黑參と曰う。牡蒙は肝に入り、紫參(シシン,zĭshēn)と曰う。丹參は心に入り、赤參と曰う。其の苦參は、則ち右腎命門の藥なり。古人、紫參を捨てて苦參を稱するは、未だ此の義に達せざるのみ」と。』とあった。以上は、「漢籍リポジトリ」の「卷十二下」の「草之一【山草類上一十八種】」の、ガイド・ナンバー[037-34a]以下の、「丹參」の「釋名」の冒頭で、時珍が(一部に手を入れた)、
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五參五色配五臓故人參入脾曰黃參沙參入肺曰白參玄參入腎曰黑參牡蒙入肝曰紫參丹參入心曰赤參其苦參則右腎命門之藥也古人拾紫參而稱苦參末逹此義爾炳曰丹參治風軟脚可逐奔馬故名奔馬草曾用實有效
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と述べている部分である。
「芍藥」ユキノシタ目ボタン科ボタン属シャクヤク Paeonia lactiflora 、或いは、その近縁種も含む。漢方生剤としてのそれは、「日本漢方生薬製剤協会」の当該ページを見られたい。
「細辛」双子葉植物綱コショウ目ウマノスズクサ(馬の鈴草)科カンアオイ(寒葵)属ウスバサイシン(薄葉細辛)Asarum sieboldii 、又は、オクエゾサイシン(奥蝦夷細辛)変種ケイリンサイシン(鶏林細辛)Asarum heterotropoides var. mandshuricum (後者は中国には分布しない)の根及び根茎を基原とするもので、漢方薬品メーカー「つむら」の公式サイト「Kampo View」の「細辛」に拠れば、『主として、胸部、横隔膜のあたりに病邪のとどまっているもの、水毒(水分の偏在)を治す』とある。
「藜蘆」「藥七情」で注したが、転載する。サイト「イアトリズム」の「知っておきたい『漢方生薬』」の「藜芦」(りろ)のページによれば、基原を『ユリ科シュロソウ属シュロソウなどの根および根茎』とある。シュロソウは「棕櫚草」で、単子葉植物綱ユリ目シュロソウ科シュロソウ属シュロソウ Veratrum maackii 。以上の学名は、Katou氏のサイト「三河の植物観察」の「シュロソウ 棕櫚草」のページのものを採用したが、そこには、『日本(北海道、本州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は毛穗藜芦 mao sui li lu。』とされ、『シュロソウの変異は多く、中間型も見られ、多数の変種などに分類され、異説も多いが、シュロソウ、ホソバシュロソウ、オオシュロソウ、アオヤギソウ、タカネアオヤギソウを Veratrum maackii の変種とするYlistの分類に従った。World Flora Onlineではvar. japonicum (var. reymondianumを含める)とvar. parviflorum(Veratrum coreanumを含む)の2変種としている。Kewscienceではvar. maackii , var. parviflorum , var. longebracteatumの3変種にまとめている。』とあり(学名は私が斜体にした)、ネットで「藜蘆」で検索すると、「イアトリズム」で『など』としているように、多数の種が基原であり、或いは、別な種も含まれているではないか? という疑義を附す記載もあった。因みに、「イアトリズム」の「適応疾患および対象症状」に、『脳血管障害、てんかん、毒物の誤飲、疥癬、頭部白癬症、咽喉炎など』とし、「薬理作用」には、『止痒作用、催吐作用、血行改善、意識回復、殺虫作用、解毒作用、消炎作用、発毛作用、創傷回復など』とあった。
「半夏」単子葉植物綱ヤシ亜綱サトイモ目サトイモ科ハンゲ属カラスビシャク(烏柄杓)Pinellia ternata のコルク層を除いた塊茎。嘔気や嘔吐によく使われる生薬である。私の「耳囊 卷之七 咳の藥の事」も参照されたい。
「白笈」基原ハ、単子葉植物綱キジカクシ(雉隠し)目ラン科セッコク(石斛)亜科エビネ(海老根)連Coelogyninae 亜連シラン(紫蘭・朱蘭)属シラン Bletilla striata の球茎を乾燥したもの。薬効その他は、何時もの、「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 | 白及または白芨(ビャクキュウ)」を見られたい。
「白歛」双子葉植物綱ブドウ目ブドウ科ノブドウ属カガミグサ(鏡草) Ampelopsis japonica の根。漢方では解熱作用があり、腫瘍・子供の癲癇・月経痛に効果があるとする。
「瓜樓」「括樓(からう)」に同じ。基原は、双子葉植物綱スミレ目ウリ科カラスウリ属カラスウリ Trichosanthes cucumeroides の仲間であるトウカラスウリ Trichosanthes kirilowii 、キカラスウリ T.kirilowii var. japonicum 、 又は、オオカラスウリ T.bracteata の皮層を除いた根。詳細は、「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 | 括楼根(カロコン)」を見られたい。漢方では「かろ」と読むらしい。なお、本文での読みは、小学館「日本国語大辞典」の読みに従った。
「貝母」中国原産の単子葉植物綱ユリ目ユリ科バイモ属アミガサユリ(編笠百合)Fritillaria verticillata var. thunbergii の鱗茎を乾燥させた生薬の名。去痰・鎮咳・催乳・鎮痛・止血などに処方され、用いられるが、心筋を侵す作用があり、副作用として血圧低下・呼吸麻痺・中枢神経麻痺が認められ、時に呼吸数・心拍数低下を引き起こすリスクもあるので注意が必要(ここはウィキの「アミガサユリ」に拠った)。
「烏頭と烏喙」「名義」で既注だが、再掲すると、猛毒植物(全草)として知られるキンポウゲ目キンポウゲ科トリカブト属ハナトリカブト(花鳥兜) Aconitum carmichaelii を基原とする古い漢方生薬名と思われる。同種は「カラトリカブト」(唐鳥兜)の異名がある。当該ウィキによれば、『ハナトリカブトの各部分には非常に強い有毒成分が含まれており、歴史的には、矢に塗る毒として用いられ、塊根を加熱して毒性を減らしたものは「附子(ぶし)」や「烏頭(うず)」として鎮痛や強精などの目的で生薬として用いられてきた』とある。「烏喙」は「カラスの喙(くちばし)」の意で、乾燥させた根の形状に由来するものであろう。
「大戟」「藥品(1)」で子細に注したので、見られたい。
「海藻」「養命酒ライフスタイルマガジン 元気通信」の『生薬ものしり事典 14 日本の神様も好物?和食に欠かせない伝統食材「海藻」』を見られたい。なお、本邦の海藻類の全体像は、私のサイト版の『「和漢三才圖會」卷第九十七 水草部 藻類 苔類』を見られたい。また、その中でも、最も知られるコンブ類に就いては、現在、電子化注をしている最中の、ブログ・カテゴリ「淸國輸出日本水產圖說」で、詳細に述べているので、見られたい。
「芫花」先行する「藥品(2) 六陳」で既注済み。
「甘遂」同じく、「藥品(2) 六陳」の私の「芫花」の引用内で語られてあるので、見られたい。
「甘草」マメ目マメ科マメ亜科カンゾウ属 Glycyrrhiza。当該ウィキによれば、『漢方薬に広範囲にわたって用いられる生薬であり、日本国内で発売されている漢方薬の約』七『割に用いられている』とある。
「𮔉蠟」私の「和漢三才圖會卷第五十二 蟲部 蜜蠟」を見られたい。
「葱」お馴染みの、単子葉植物綱キジカクシ目ヒガンバナ科ネギ属ネギ変種ネギ Allium fistulosum var. giganteum 。広義には、Allium fistulosum 。「熊本大学薬学部薬用植物園 薬草データベース」の「ネギ Allium fistulosum L.」に拠れば、「生薬名」は『葱白(ソウハク)』で、「薬用部位」は『葉鞘の白色部』とする。「成分」は『硫化合物(methyl sulfide, methyl propyl sulfide, allyl methyl sulfide)』であり、「産地と分布」には、『シベリア,アルタイ地方の原産といわれ,現在は野菜として広く世界で栽培される.』とし、『多年草.地上部は越冬して夏に枯れる.草丈約60 cmになる.通常分けつして叢生し,鱗茎はほとんど膨らまない.葉は地上15 cm内外の所に5~6個を2列互生するが下部は鞘状になり重なって偽茎となる.葉間から丸い茎を出し,白緑色花を多数,密生して付ける.』と解説され、「薬効と用途」には、『民間療法として,カゼの初期に刻んだネギと味噌を煮立て,熱いうちに服用する療法,不眠症や咳,喉の痛みにネギ湿布をする療法,痔や霜焼けに煎液で洗うといった療法などがある.漢方では偽茎の白い部分を弱い発汗作用を目的として,頭痛,悪寒,冷えによる腹痛や下痢に用いる.漢方処方の麗沢通気湯に配合される.』とあり、『別名をヒトモジというが,熊本県ではワケギ(ネギとタマネギの雑種,Allium x wakegi)をヒトモジとよぶ.』と記されてある。
「石决明」私の『毛利梅園「梅園介譜」 蛤蚌類 石决明雌貝(アワビノメガイ)・石决明雄貝(アワビノヲカイ) / クロアワビの個体変異の著しい二個体 或いは メガイアワビとクロアワビ 或いは メガタワビとマダカアワビ』を見られたい。
「雲母」小学館「日本国語大辞典」に、『アルミニウム、カリウム、ナトリウムなどを含むケイ酸塩鉱物。花崗岩、結晶片岩、片麻岩などの造岩鉱物として重要。単斜晶系に属し、白雲母と黒雲母に大別される。六角板状の結晶で、平行に薄くはがれやすく、薄片は弾性がある。電気絶縁、耐熱材料として用いる。また、漢方薬としても用いられた。うんぼ。きら。きらら。マイカ。』とある。漢方としてのそれは、個人サイト「鉱物たちの庭」の「591.雲母 Mica (ミャンマー産)」の民俗学的解説が素晴らしい!]
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