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2025/10/20

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(三)煎海鼠の說(その2)

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回は、ここから。書名は、既に先行部分で注したもの(立項せず、何らかのフレーズや、別の注の中で述べたものは含まない)は、必要と判断した一部を除いて、再掲しない。]

 

「食物本草」「五雜俎」「藥性纂要」等(とう)をはじめ、數部の漢書(からのしよもつ)を閱(けみ)するに、漢名(かんみやう)は『海參(かいじん)、一名、海男子(かいだんし)』、又、『海蛆(かいり[やぶちゃん注:ママ。「蛆」の音は漢音「シヨ」、呉音「ソ」である。])』とし、其(その)效(こう[やぶちゃん注:ママ。])、人參(にんじん)に均しきものなりとして、淸國人も往古(むかし)より賞美せり。

[やぶちゃん注:「食物本草」各種食品の薬効と料理方法などが記載された中国の本草書であるが、この書は成立に不審な点があり、一つには、古く、元の李杲(りこう:号は東垣(とうえん))著とされるものの、名を借りた別人である汪頴なる人物が明の一六二〇年に刊行したものともされる。全七巻。

「五雜俎」「五雜組」とも表記する。明の謝肇淛(しゃちょうせい)が撰した歴史考証を含む随筆。全十六巻(天部二巻・地部二巻・人部四巻・物部四巻・事部四巻)。書名は元は古い楽府(がふ)題で、それに「各種の彩(いろどり)を以って布を織る」という自在な対象と考証の比喩の意を掛けた。主たる部分は筆者の読書の心得であるが、国事や歴史の考証も多く含む。一六一六年に刻本されたが、本文で、遼東の女真が、後日、明の災いになるであろう、という見解を記していたため、清代になって中国では閲覧が禁じられてしまい、中華民国になってやっと復刻されて一般に読まれるようになるという数奇な経緯を持つ。

「藥性纂要」「百度百科」の「药性纂要」に拠れば、『清代の康熙』二十五年(一六八六年)に『王勲(子禄)によって編纂された全四巻の本草書。本書には六百六種の薬草が収録されており、そのうち五百九十七種は「本草大全」から選抜されている。本書の章立てや、主要内容も同書から引用されている。各薬草に関する記述は、章立てに分かれておらず、各章を通して流れるように構成されている。薬草の効能に関する様々な理論を集大成することに重点が置かれており、臨床応用のメカニズムに関する個人的な見解も示されている。また、実績のある家庭の処方も掲載されており、貴重な参考資料となっている』とあった。所持する若き日より愛読の中島廣先生の「ナマコとウニ」(昭和五八(一九八三)年・五版・内田老鶴圃刊)に、同書に「イリコ」の異名として「海蛆」(103ページ)とあり、また、「薬用になるもの」として、「ナマコ類」の条で、『「補陰益精、与猪肉同煮食味美」』と同書から引用されておられる。]

 

「本草從新(ほんざうじうしん[やぶちゃん注:ママ。])」、『海參』の條に、刺(し)あるものを『刺參(しじん)』と名づけ、刺なきものを『光參(くわうじん)』と名づけ、『閩中(みんちうの)海參(かいじん)、色、獨り、白し。』とありて、三種に分(わか)ち、又、「食物本艸」は、瘣瘤(かいらい)あると、表裏潔きものとの二種に分(わか)ちたりしか[やぶちゃん注:ママ。「が」。]、今世(いまのよ)に至りて、其(その)數(すう)、多きを加へ、黑海參(こくかいじん)、白海參(はくかいじん)、紅旗參(かうきじん)、開片梅花參(かいへんばいかじん)、烏條(うでう)、赤參(せきじん)、烏元參(うげんじん)、靴參(くわじん)、紅參(かうじん)等(とう)なり。

[やぶちゃん注:「本草從新」清の呉儀洛が一七五七年に著した本草書。所謂、「冬虫夏草」を初めて記したものとして知られる(但し、同薬は、それ以前から用いられてはいた)。中文のサイト「中醫笈成」のここで、本文全部が電子化されていたので、「海參」の部分を引用する(一部の漢字に手を入れた)。

   *

補腎。

甘鹹溫。補腎益精。壯陽療痿。遼海產者良。(周櫟園閩小記云:閩中海參、色獨白、類撐以竹籤、大如掌、與膠州遼海所出異、味亦淡劣、海上人復有以生革僞爲之以愚人、不足尙也、膠州所出、生北海鹹水中、色又黑、以滋腎水、從其類也。)有刺者名刺參。無刺者名光參。以上無鱗類。

   *

因みに、「刺」と言うのは、背部にある疣足を指す(但し、ナマコ綱 Holothuroidea無足亜綱 Apodacea(無足目 Apodida と隠足目 Molpadida)は持たない)。

「黑海參(こくかいじん)」海鼠綱楯手目クロナマコ科クロナマコ属クロナマコ亜属クロナマコ Holothuria atra

「白海參(はくかいじん)」クロナマコ亜属 Holothuria fuscogilva(和名なし。インド太平洋の島嶼付近やサンゴ礁周辺の浅瀬に棲息する。なお、本邦の函館・浅虫・佐渡真野湾、及び、中国に棲息する隠足目ウディナ科 Caudinidaeシロナマコ属シロナマコ Paracaudina chilensis とは、全くの別種であるので注意)。

「紅旗參(かうきじん)」中文の複数の記載を見て、シカクナマコ科マナマコ属アカナマコApostichopus japonicus であろうと判断出来る。

「開片梅花參(かいへんばいかじん)」シカクナマコ科バイカナマコ属バイカナマコ Thelenota ananas  所持する、やはり私の好きな本川逹雄先生私は、三十代の時、教師を辞めて、ホヤの研究家としても知られた先生の聴講生になろうと、本気で考えていたことがあったの著になる「ナマコガイドブック」(二〇〇三年阪急コミュニケーションズ刊)によれば、『オーストラリア、フィジー、ニューカレドニア、インドネシア、グアム、中国、台湾に分布』し、『本種の乾製品は沖縄地方ではガジマル、中国では梅香参と呼ばれ、高級品である。』とある。因みに、「ガジマル」とは、沖縄でよく見られる、双子葉植物綱バラ目クワ科イチジク連イチジク属ガジュマル Ficus microcarpa のことで、思うに、同種の根及び枝・根から出る気根の一部が、下に向かって地上に下り、その一部が支柱根となる様子を、体が太い円筒形を成すバイカナマコに擬えた地方名であろうと思う。

「烏條(うでう)」漢名から推測すると、「烏」は「黒」の意で、「條」は棒状のニュアンスであろうからして、そこから、クロナマコ科クロナマコ属クロナマコ Holothuria atra を想起した。「維基百科」の同種は「黑海參」である。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページには、『海参に加工する。沖縄県では輸出用に採取している。』とし、『「海参(いりこ)」、干しナマコとしての名は「黒虫参」』で、『高級である』とされ、ダメ押しで『一般流通しない』とあった。私自身、沖縄で同種を観察はしたが、食したことがない。なお、見た目で、似た形状をするものに、クロナマコ属ニセクロナマコ Holothuria leucospilota がおり(沖縄修学旅行のイノー観察で、さんざん、女子生徒たちが、噴き出したベタベタくっ付くキュヴィエ―管を出した彼奴を面白がって、私に呉れたものだった。因みに、クロナマコは同器官を持たない)、「維基百科」の同種「玉足海參」を見ると、別名に『烏參、烏蟲參、黑狗參、紅參』とあるのだが、同種は、ナマコの中で唯一、ヒトに有毒とする種であるから、私は、排除する。

「赤參(せきじん)」これは、お馴染みのシカクナマコ科マナマコ属マナマコ Apostichopus armata の赤色個体のそれを指すものとしてよい。私は「食すなら、マナマコは赤に限る。」と主張するものだが、若き昔から、色の変異体を親しく観察し、食べ比べもしてみた経験から、「明らかに、生物学的に違うのではないか?」と秘かに考えていた。さても、ウィキの「マナマコ」の「分類学上の位置づけ」の項に拠れば(注記号はカットした)、『俗に、赤~赤褐色系の体色をもつアカコ(「アカナマコ」・トラコ:以下、「アカ型」と記す)・青緑色を基調とするアオコ (「アオナマコ」:以下、「アオ型」と記す)・黒色の体色を呈するクロコ(「クロナマコ」:以下、「クロ型」と記す)と呼ばれる三つのタイプが区別され、「アカ」型は外洋性の岩礁や磯帯に生息し、一方で「アオ」型と「クロ」型とは、内湾性の砂泥底に棲むとされていた』。『これらの三型については、骨片の形質の相違をも根拠として Stichopus japonicus 以外に S. armata という別種を設ける見解もあり、あるいは S. japonicus var. typicus なる変種が記載されたり、S. armatus および S. roseus という二種に区別する意見も提出されたが、「生息場所の相違と成長段階の違いとによって生じた、同一種内での体色の変異であり、異なる色彩は保護色の役割を果たしている」として S. japonicus に統一されて以来、これを踏襲する形で、体色の異なる三つの型は Apostichopus japonicus = Stichopus japonicus )の色彩変異とみなす考えが採用され、日本周辺海域に生息する「マナマコ」は唯一種であるとされていた。また、シトクロムcオキシダーゼサブユニット1および16S rRNAの解析結果から、これら三型を同一種の変異と結論づける見解が再び提出されている』。『しかし、「アカ」型は、薄桃色または淡赤褐色を地色とし、体背部は赤褐色または暗赤褐色の模様がまだらに配色されており、体腹部は例外なく赤色を呈する。一方で、「アオ」型は一般に暗青緑色を呈しているが、淡青緑色が優るものから黄茶褐色~暗茶褐色の変化がみられ、体腹部も体背部と同様な色調をとる。また「クロ」型は、全身黒色を呈し体色の変異は認め難いとされている。2年間にわたる飼育結果では、相互の型の間に体色の移行は起こらなかったとの観察例もある。アイソザイムマーカーを用いた集団遺伝学的な検討結果をもとに、マナマコとされている種類は、「アカ」型と「アオ型・クロ型」の体色で区別される、遺伝的に異なった二つの集団から形成されているとの報告もなされている。さらに外部形態および骨片の形態による分類学的再検討の結果から、狭義のマナマコは「アオ型・クロ型」群であると定義されるとともにApostichopus armata の学名が当てられた。一方で「アカ」群には A. japonicus の学名が適用され、新たにアカナマコの和名が提唱された』。『関西では、トラゴと呼ばれている』(この一行は、独立改行で入っているが、この「トラゴ」(恐らく「虎海鼠(とらご)」)は「マナマコ」の地方名であって、ここに入れるべきではない)。『mtDNAのマイクロサテライト解析の結果からは、「アカ」型・「アオ」型・「クロ」型の三型は少なくとも単系統ではないとされ、中国および韓国産のマナマコを用いた解析でも、「アカ」型と「アオ」型とは独立した分類群とみなすべきであるとの結果が報じられている』。『「アオ」型や「クロ型」と比較して、「アカ」型は海水中の塩分濃度の変化や高水温に対する抵抗性が弱いとされ、広島県下においても、アカナマコの産額が多いところは音戸町や豊島のような陸水の影響がほとんどないと思われる場所に限られているなど、生理・生態の面でも相違が認められている』。『環状水管に附着している1 (まれに2) のポーリ嚢の形態(一般に、「アカ」型では細長くて先端が突出しており、鈍円状を呈するものは少ないのに対し、「アオ」型のポーリ嚢の形態は太くて短かく、先端が鈍円状をなすものが多い)も、解剖学上の数少ない相違点のひとつになるとされている。また、「アカ」型・「アオ」型の間には、触手の棒状体骨片と体背部の櫓状体骨片においても若干の形態的相違点が認められる』。『すなわち、「アカ」型においては触手の棒状体の骨片形態が複雑化し、これをさらに二つの型(骨片周囲に顕著な枝状突起をもち、細かい刺状突起を欠くタイプと、枝状突起とともに細かい刺状突起が骨片全体に密生しているタイプ)とに分けることができ、体壁の櫓状骨片の底部はほぼ円形で、縁部が幅広く、孔は不定形で角のない形状を呈し、4-2本の柱からなる塔をもつのに対し、「アオ」型の触手の棒状体骨片は全体的に形態が単純で、骨片周囲には小さい枝状突起が散在し、さらに骨片の両端部に限って細かい刺状突起をもっており、いっぽう体壁の櫓状骨片の底部の外形は不定形で、角部は突出し』、『角張り、縁部の幅は狭く、孔はほぼ円形を呈し、4-2本の柱からなる塔をもつ』。『このほか、成熟卵の表面におけるゼラチン質の被膜 (gelatinous coating) の有無も、両者を区別する根拠の一つであるとされている』。なお、『体表面が』、『ほぼ全体的に白色を呈する個体がまれに見出され、一般にはアルビノであるとみなされている』。『中国の膠州湾で得られた白色個体について、相補的DNAの遺伝子オントロジー解析を試みた結果によれば、白色個体では、生体調節遺伝子や色素の合成・沈着を司る遺伝子に多くの欠落が生じているという』。『また、チロシンの代謝や分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(MAPキナーゼ)経路を司りメラニンの生合成に関与する遺伝子として14個が特定されたが、白色個体では、線維芽細胞増殖因子4FGFR 4)やプロテインキナーゼAおよびプロテインキナーゼCあるいはRas遺伝子などの表現活性は著しく小さい一方で、ホモゲンチジン酸-1,2-ジオキシゲナーゼやCREB、あるいは転写因子AP-1およびカルモジュリンなどの表現活性は顕著に亢進していたとされ、これらの遺伝子群の活性の大小が、マナマコの体色の発現に大きく影響していると推定されている』とあった。私は、分離して学名を三つの種に分けるのを、強く支持するものである。

「烏元參(うげんじん)」う~ん、奇妙奇天烈である! 河原田氏は、「烏」と「參」で、トンデモ誤謬をしたのではなかろうか? これは、

双子葉植物綱シソ目ゴマノハグサ科ゲンジン(玄参)Scrophularia ningpoensis

の異名である! 「維基百科」の「玄參」に、別称を『元參、烏元參、黑玄參、黑參』とあるのである。中国原産で、「本草綱目」にも記載があり、古くから乾燥した根が生薬として使用されてきたものである。

「靴參(くわじん)」これは、クロナマコ科クリイロナマコ属クリイロナマコ Actinopyga mauritiana で決まりである。「維基百科」の同種のページ「白底輻肛參」に、『俗名』を『白底靴參、赤瓜參、靴海參、紅魚』とある。先の本川先生の「ナマコガイドブック」から引く。『体長2030㎝。一名ゾウリゲタ、沖縄・八重山名ザウリ、ザウリゲタ。体は堅く、扁平で、上からみると楕円形に近い。背面は褐色から濃い褐色で白い斑点があり、時に両端がほとんど白くなる。腹面は淡い褐色。触手は大きく、25本。口は前端下側に、肛門は後端に開き、石灰化した5個の肛歯がある。背面には疣足がほとんどなく滑らか。腹面の管足は密生する。小笠原、奄美大島以南の岩礁帯に普通にみられる。フィジー、ニューカレドニア、サモア、タヒチ、オーストラリア、グアム、中国、台湾に分布。』とあった。同種が可食であるかについては、水中写真家で屋久島在住の高久至氏のブログ「海を歩く The World編!」の「ナマコを歩く 〜クリイロナマコを食べてみた〜」で確認した(但し、サポニンが、かなりキツいらしい)。

「紅參(かうじん)」もう、タネも、根性も、尽きた。晩飯の手伝いもしなくてはならんから、ここまでとする。

【二〇二五年十月二十一日追記】かく、丸投げしたのだが……昨日、寝しなに、ふと、思いついたことがあった。

『……馬鹿正直に現在の生物種を比定同定すること自体が、前例に徴して、必ずしも正しい訳ではないな。……或いは、これは、失礼乍ら、清国内、或いは、日本以外の周辺諸国の「熬海鼠」製品として、清の国民に好まれる紅色の熬海鼠を、清、或いは、清からの要望で一部の日本の製造者が――捏造した可能性――が、ありは、しまいか?……』

と、独りごちて、眠りに落ちたのだった。されば、本未明、国立国会図書館デジタルコレクションで、「紅參 海鼠」で検索を掛けて、逐一、閲覧して見た。

――まさに!!! 図に当たったノダ!!!

――我乍らオロロイた「爆当たり」だったノダ!!!

『大日本水產會報 第百九十七號』(明治三一(一八九八)年十一月・大日本水產會發行・合本)の「論說」の冒頭にある同会『學藝委員』山本勝次氏の『○淸國の水產物に就て(大日本水產會第百二十回小集會演說筆記)』(本書より十二年後のもの)のここである!! 左丁の六行目中程から引用する。なお、句点は一切、ない。下線は私が附した。主に若い読者のために、注を入れておく。

   *

我邦から輸出致しまする所の海參多く有刺海參でございます、無刺海參は僅に臺灣から致しまして琉球小笠原島に止つて居るので後は悉く有刺でございます、支那人より申しますと海參を好まぬではない、鱶鰭同樣しますけれども其中で無刺を好みまする所とあります、有刺を好む地が多いか、無刺を好む地が多いかと申しますると北部の北京を始め天津、芝罘、牛莊邊までは我邦の北海道其他より產する所の有刺を好みます、詰り其好む所以はどこにあるかと云ふと有刺の方は種類が多い、各種類ありまして價も割合に廉い爲に需要が廣つて[やぶちゃん注:「ひろがつて」と読んでおく。]居るやうでございます、其無刺の部分には赤參と云ふ名が附いて居ります、日本で申しますると、白參であります、琉球あたりで取れるのでございまして白いのでありますが是れには紅參と云ふ名を持たせて居ります、琉球あたりで取れるのでございまして白いのでありますが是れは紅參と云ふ名を持たせて居ります、そこで白いのに彩りして紅參白參と云ふ云ふ譯で賣れます、是れは白參に色を附け紅參と申します、是れが大光赤參て[やぶちゃん注:「で」の誤植であろう。]呂宋[やぶちゃん注:フィリピンの「ルソン」島。]に產する種類の物、斯の[やぶちゃん注:「かくの」。]如き種類の物が多く輸入つて[やぶちゃん注:これは、引用外の前後を見るに、誤植ではなく、これで「輸入(はい)つて」と読ませている。]居りますので廉く[やぶちゃん注:「やすく」。]て形の大きい物を水に戾して料理にするときに使ひでがありて日本の有刺より德用であると云ふ話がどこの料理屋にもあります、上等の料理をするには日本產を使ふ、中央と南部に向ひましては皆無日本の有刺は行かぬかと云ふと好まぬではない、詰り損だから使用せぬと云ふのが多いやうであります、

   *

目から鱗! イヤさ! 口から海鼠ではないか!!!

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