河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(二)昆布の說(その6)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回は、ここから。]
各種の昆布ハ、產地によりて品質を異(こと)にし、價格・產額、共に差あり。其產地・收額は左の如し(明治十五年調)。
[やぶちゃん注:以下の表は、行に跨る「{」を用いているため、全く同じ電子化は出来ず、ブラウザの不具合も生ずるので、一行字数が制限されることから、似たように模造してある。重量・値段はポイント落ちだが、再現していない。]
┌陸前の國 厚昆布 千三百貫目
│ 價二百貳拾圓余
│陸中の國 百三十五石
│ 價七百八拾圓余
一元昆布┤陸奥の國 三千八百〇九石余
│ 價壹萬三千五百廿四圓余
│渡島の國 一萬〇百八二石一斗余
│ 價八萬六千貳百〇六圓余
│日高、根室、釧路、 八百六十二石余
└十勝、四國 價六千〇三拾四圓余
一三石昆布 日高の國 五萬〇二百六十三石余
價五拾壹萬貳千六百貳拾圓余
一長昆布 根室、釧路、十勝、千島四國(しかこく)
拾三萬〇二百六十二石余
價百拾八萬六千六百四拾圓余
一黑昆布 天䀋の國 壹萬五千六百七十五石余
價拾貳萬四千六百三拾圓余
┌陸前の國 六百石余 價六千四百圓余
│
一黑昆布┤陸中の國 二千六百二拾石余
│ 價壹萬〇貳百六拾圓余
└渡島の國 五千七百六十二石余
價貳千八百拾二壹圓余
一ほつか昆布 陸前の國 三十石 價未詳
一猫足昆布 釧路の國 五百三十三石余 價未詳
一とろヽ昆布 未詳
右產額中(ちう)、渡島國の部に於て、元揃昆布と鼻折昆布との產額の區別、舊(きう)根室縣下にて、根室、釧路、十勝、千島の四國は、國別產額の區別、及び、水昆布の額を詳らかにせざるを以て、之を分たず。
[やぶちゃん注:一貫は三・七五キログラム、一石は百八十・三六リットル。一円は、既に述べたが、再掲すると、容易には、現在価値に換算は出来ないが、試みに、国立国会図書館の「レファレンス協同データベース」の「明治時代の1円は現在いくらか。単純な答えが欲しい。」の回答例の三つの内、最も手っ取り早い『・給与(警察官の初任給)から考えると(⑦⑧⑨参照)、明治19年の1円は令和5年の2万~4万の価値がある。』(まさに本書の刊行は明治一九(一八八六)年である)。]
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