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2025/11/23

和漢三才圖會卷第九十二之本 草類 藥品(11) 製法毋輕忽

[やぶちゃん注:以下、一本を除いて、原本本文は二段体裁であるが、ブラウザの不具合を考え、一段とした。但し、中には、明らかに前の謂いに続いて述べている箇所があり、訓読では、それは繋げた。]

 

   製法毋輕忽

 

芫花本利水無醋不能通

菉豆本解毒帶殼不見功

草菓消膨効連壳反脹胸

[やぶちゃん注:「壳」は「殼」の異体字。原本では「グリフウィキ」のこれに近いが、完全一せず(七画目の水平の頭部が完全に左右に突き出て「兀」の形になってしまっている)、それも表示出来ないので、これで示した。]

黑丑生利水遠志苗毒逢

蒲黃生通血熟補血運通

地榆醫血藥連稍不住紅

[やぶちゃん注:この「稍」は文脈から、「梢」の誤刻と判断されるので、訓読では訂した。]

陳皮専理氣連白補胃中

附子救陰藥生用走皮風

草烏解風痺生用使人䝉

[やぶちゃん注:「䝉」は「蒙」(フライングしておくと、この場合は「愚か」の意)の異体字。原本では、「グリフウィキ」のこれだが、表示出来ないので、かく、した。]


人言燒過用諸石火煆紅而入醋能爲末製度必須工

當歸頭止血尾破血

麻黃身發汗根止汗

𮔉成於蜂𮔉温而蜂寒

油生於麻麻温而油寒

穀屬金而糠之性熱

麥屬陽而麩之性凉

山茱萸補腎固精元

其核滑精故須去核


猪苓茯苓厚朴桑白皮之類

不去皮耗人元氣

栢子火麻益智草菓之類

不去皮令人心痞

人參桔梗常山之類

不去苗蘆令人嘔吐

[やぶちゃん注:「蘆」は「グリフウィキ」のこの異体字であるが、表示出来ないので、かく、した。]

遠志巴戟門冬蓮子烏藥之類

不去心令人煩燥

知母桑白皮天麥門冬地黃何首烏

犯鐵必患三消

 

   *

 

   製法(せいはう)、輕-忽(ゆるが)せにすること、毋(なか)れ。

 

芫花《げんくわ》は、本《も》と、水《すい》を利す。醋《す》、無《なき》には、通《つう》すること、能はず。

[やぶちゃん注:「水《すい》」東洋文庫訳では、ルビを振らない。恐らく「みず」と読ませている。しかし、後の部分で、明らかに五行思想の他の五元素を示す下りがあるから、ここは私は、「みづ」ではなく、「すい」で読むべきと考える。中医学で言う「水気」である。

菉豆《ぶんどう》の《✕→は》、本《も》と、毒を解《かい》す。≪然れども、≫殼《から》を帶《おび》れば、功《こう》を見ず。

草菓《さうくわ》は、≪腹部の≫膨《ふくれ》を消《しやう》する効あり。≪然れども、≫壳《から》を連《つる》れば、反《かへり》て、脹-胸《ちやうきよう》す。

黑丑(くろけんごし)、生《なま》は、水《すい》を利《りす》。

遠志《をんじ》の苗《なへ》≪は≫、毒に逢を《✕→ふ》。

蒲黃《ほかう》の生《なま》は、血を通じ、熟《じゆくせ》ば、血を補《おぎなひ》て、運《めぐり》≪を≫通《つう》ず。

地榆《ぢゆ》は、血を醫《いや》する藥《やく》≪なり≫。≪然れども、≫梢《こずゑ》を連《つら》≪ねては≫、紅《べに》[やぶちゃん注:「血液」の意。]を住《ぢゆう》せず[やぶちゃん注:この「住」は「留(とど)まる・止める」の意で、「出血を止めることは出来ない・止血することは不可能である」の意。]。

陳皮《ちんぴ》は、専《もつぱ》ら、氣《き》を理(をさ)む。白《しろ》みを連《つらな》れば、胃中《いちゆう》を補ふ。

附子《ぶし》は、陰《いん》を救《すく》ふ藥《やく》≪なり≫。生《なま》にて用《もちひ》れば[やぶちゃん注:送り仮名がスレているので、推測で訓じた。]、皮風《ひふう》を走る。

草烏《さうう》は、風痺《ふうひ》を解《かい》す。生《なま》にて用《もちふ》れば、人をして、䝉《おろか》ならしむ[やぶちゃん注:愚鈍にさせる。]。


人言(ひさうせき)[やぶちゃん注:「砒霜石」。]は、燒過《しやうくわ》[やぶちゃん注:十二分に焼灼(しょうしゃく)すること。]して用ふ。諸石《しよせき》は、火《ひ》を紅《くれなゐ》にして、煆《か》して[やぶちゃん注:真っ赤になるまで炙って乾かす。]、醋《す》に入れて、能《よく》、末《まつ》と爲《な》して、製《せい》≪する≫度《ど/ほどあひ》≪は≫、必《かならず》、須《すべか》らく、工《たくみ》にすべし。

[やぶちゃん注:「諸石」は、東洋文庫訳でも、そのまま「諸石」なのだが、とすれば、「もろもろの薬用にする鉱石類総て」の意となるが、どうも私には納得出来ないものを感じるのである。例えば、漢方では、磨り潰して、熱を加えずに、ただ磨り潰して用いるとする鉱物は多く存在するし、強烈に焼灼してしまうと本来の薬効物質が破壊されてしまう鉱物も存在するからである。一応、あるままに訓読したが、私は別な特定の鉱物薬剤の誤字・脱字の可能性を後の注で示しておく。

當歸《たうき》≪の根≫の頭《かしら》[やぶちゃん注:太い部分。]、血を止め、尾《を》[やぶちゃん注:根の細い先の部分。]は、血を破《やぶ》る[やぶちゃん注:東洋文庫訳では、『血の』鬱滞した『流れを順調にする』とある。]。

麻黃《まわう》[やぶちゃん注:基原は同種の地上茎である。]の身《み》は、汗を發し、根は[やぶちゃん注:地上茎の最下方にある鬚根か。]、汗を止《と》む。

𮔉《みつ》は、蜂《はち》より成る。𮔉は、温《おん》にして、蜂は、寒《かん》なり。

油《あぶら》は麻《あさ》より生《しやう》じ、麻は、温にして、油は、寒なり。

穀(こめ)は金《ごん》に屬して、糠(ぬか)の性≪は≫、熱《ねつ》なり。

麥《むぎ》は陽《やう》に屬して、麩(こがす)[やぶちゃん注:原本のルビは『コカス』。小麦の粉を採った残りの滓(かす)で、一般には「ふすま」の読みが知られるが、「こがす・もみじ・からこ」等とも呼ぶ。]の性《しやう》は、凉《りやう》なり。

山茱萸《さんしゆゆ/やまぐみ》は、腎を補い[やぶちゃん注:ママ。]、精《せい》≪の≫元《もと》を固《かたく》す。其《その》核《さね》は、精を滑《なめらか》にす。故《ゆゑ》に、須らく、核を去るべし。


猪苓《ちよれい》・茯苓《ぶくりやう》・厚朴《こうぼく》・桑白皮《さうはくひ》の類≪は≫、皮を去らざれば、人の元氣を耗(へ)らす。

栢子《はくし》・火麻《あさ》[やぶちゃん注:大麻のこと。]・益智《やくち》・草菓《さうくわ》の類《るゐ》≪は≫、皮を去らざれば、人をして、心-痞(むえつかへ[やぶちゃん注:ママ。「胸痞(むねつかへ)」。])せしむ。

人參《にんじん》・桔梗《ききやう》・常山《じやうざん》の類《るゐ》は、苗蘆《びやうろ》[やぶちゃん注:以上の三種の漢方の基原植物は、総てが「根」であるから、地上に出ている「苗」のような葉体部や、ヨシ・アシ(蘆)のような茎部を指していよう。]を去らざれば、人をして嘔吐せしむ。

[やぶちゃん注:「蘆」は「グリフウィキ」のこの異体字であるが、表示出来ないので、かく、した。]

遠志《をんじ》・巴戟《はげき》・門冬《もんとう》[やぶちゃん注:次の条に載る二つの「天門冬」と「麥門冬」を指すのであろう。]・蓮子《はすのみ》・烏藥《うやく》の類《るゐ》≪は≫、心《しん》[やぶちゃん注:「芯」に同じ。]を去らざれば、人をして煩燥《はんさう》せしむ[やぶちゃん注:「煩躁」は漢方用語で「いらいらしてじっとしていられない状態」を指す。]。

知母《ちも》・桑白皮・天≪門冬《てんもんどう》≫・麥門冬・地黃《ぢわう》・何首烏《かしゆう》≪は≫、鐵《くろがね》、犯《をか》せば、必《かならず》、「三消《さんしやう》」を患《わづら》ふ。

 

[やぶちゃん注:「芫花」先行する「藥品(2) 六陳」で既注済み。

「菉豆」は「卷第八十七 山果類 橘」で私が注している。この「ぶんどう」とは、マメ目マメ科マメ亜科ササゲ属ヤエナリ(八重生) Vigna radiata の種子を指す語である。同種の「維基百科」の「綠豆」を見ると、草体自体も「綠豆」である。本邦のウィキには、『アズキ』(小豆)『( V. angularis )とは同属』で、『グリーン』・『ピース』(green peas)『は別属別種のエンドウ』(エンドウ属エンドウ Pisum sativum )『の種子』とあり、『インド原産で、現在はおもに東アジアから南アジア、アフリカ』、『南アメリカ、オーストラリアで栽培されている。日本では』十七『世紀頃に栽培の記録がある』。『日本においては、もやしの原料(種子)として利用されることがほとんどで』、『ほぼ全量を中国(内モンゴル)から輸入している』。『中国では、春雨の原料にする』『ほか、月餅などの甘い餡や、粥、天津煎餅のような料理の材料としても食べられる』とあった。

「草菓」これは「草果(さうか)」が正しい。基原は、本邦には植生しない、

単子葉植物綱ショウガ目ショウガ科ランクサンギア属ソウカ Lanxangia tsaoko の成熟果実を乾燥したもの

である。ウィキの「ソウカ」によれば(注記号はカットした)、『ショウガに似た植物であり、以前はAmomum tsao-ko 』(現在はシノニムとされている)『として知られていた。英語では文字転写された中国語の名称 cao guo(中国語:草果;拼音:cǎoguǒ)と呼ばれる。雲南省の高地やベトナム北部の山岳地方にも生育する。野生植物と栽培植物のどちらも医学的に使われ、料理にも使われる』。因みに、種小名 Tsaoko 『は』、『この植物の雲南省での呼称である』。『ソウカの成熟果実を乾燥したものが』、『カルダモン』(英語:Cardamomcardamoncardamum。正確には、「ブラックカルダモン」に属する。ウィキの「カルダモン」を見られたい)『類生薬「草果」である。小島(1969)によれば、「"草果" の基原植物については Amomum medium Lour.= Alpinia alba A. DIesrHellenia alba Willd.)といい、Amomum costatum Benth. et Hook. といい、あるいはAmomum tsao-ko Crevost et Lemarieともいわれ、いまだ定説がなく、また、いずれのものが正しいか、これを確認することはできない」』とある。以下、「形態」の項。『多年生常緑草本で、高さは2.53メートルに成長する。植物体全てが辛香味を有する。横に伸びる根茎は淡紫紅色で、ショウガのように肥大する。その側面と頂点はピンクである。根茎上の葉芽から直立した茎が出る。茎は深緑色で、基部は紫紅色、円柱形の節がある。一般に、1216片の葉を付ける。葉は2列で、短い柄または無柄である。大きな皮針形の葉は両面とも滑らかで毛はない』。『穂状花序は』、『根茎から出て、球形である。それぞれの穂は螺旋状に配置された60120個の紅色の花を有する』。『楕円形』又は『紡錘形の肉質の蒴果は短果柄を有する。果実は初めは』、『鮮紅色で、成熟すると紫紅色となり、開裂せず、日光または火で乾燥させると茶色となる。それぞれの果実内には2066個の種子が存在する。種子は多角形で、長さ0.40.7 cm、幅0.30.5 cm、仁は白色で、1000粒の平均重量は120140 gで、強い辛辣香気を有する』。以下、「用途」。『中医学では、干乾し』或いは『炒めた焦げ黄色の草果を使用し、殻を除いたものは草果仁と呼ばれる』。『伝統的な中華料理では肉、特に煮込んだ牛肉と羊肉の臭みを隠すために草果の辛辣香気が常用される。草果は五香粉、カレー粉、十三香といった混合調味料の材料としても使われる』。『その他、ソウカの茎、葉、果実からも芳香油が抽出され、製薬、香料等の工業原料として用いられる』とあったが、対応疾患が記されていないので、「維基百科」の「草果」の「用途」を見たところ、『中医学では、天日干しして、黄金色になるまで焙煎したカルダモンを用いる。殻を取り除いたカルダモンは、カルダモン核とも呼ばれる。カルダモン核は、辛味と温感を持つとされ、脾臓と胃の経絡に入り、湿を清め、中焦を温め、痰を取り除き、マラリアを治す作用がある。臨床的には、胃の膨満感・痛み・吐き気・嘔吐・咳・マラリアなどの症状の治療に加え、アルコールの解毒や口臭の除去にも用いられる。』とあった。

「反て、脹-胸す。」東洋文庫訳では、『かえって膨張(ぼうちょう)を促進するものとなる。』とあるが、どうだろう? ここは、「却って、腹部膨満は改善されず、上部の胸部の病的膨張を引き起こす。」とすべきではあるまいか?

「黑丑(くろけんごし)」この読みは、「黑牽牛子」で、これは、お馴染みの「朝顔」、

ナス目ヒルガオ科サツマイモ属アサガオ Ipomoea nil の種子

である。「イー薬草・ドット・コム」の「薬用植物総合一覧表」の「アサガオ」に(太字は私が附した)、『9~10月に種子を採取して天日で乾燥します。果皮は、からからに乾いたら取り除き、種子だけを集めて乾燥させます』。『これを生薬で、牽牛子(けんごし)といいます』。『種皮の黒紫色のものを黒丑(こくちゅう)、黒牽牛子(くろけんごし)、黄白色のものを白丑(はくちゅう)、白牽牛子(しろけんごし)といいます』とあり、『薬効・用い方』の項に、『有効成分は、アサガオの種子には樹脂配糖体ファルビチンほか』で、『利尿、殺虫を兼ねた峻下剤』(しゅんげざい:腸の粘膜を直接刺激し、大腸の蠕動運動を促進して強い便意をもたらす下剤)『として下半身の水腫や尿閉症に用います。用い方は煎剤としては1日量2~5グラム、粉末として用いるときは、1日量0.5~1.5グラムを服用しますが、空腹時によく効き目があります』。但し、読者もご存知の通り、種子には強い毒性があり、『強力な下剤作用は含有されるファルビチン』(pharbitin:樹脂配糖体)『によるもので、腸粘膜を始め下腹部に充血をきたして、蠕動』『運動を亢進』『して寫下(しゃげ)効果をあらわします』。『そのため』、『作用は強烈ですから』、『使用に際しては、用量を間違えずに過量を用いないことが大切です』とあった。因みに、「その他」の項に、『中国では、本草綱目』『に、王の大病をこの種子で治して謝礼にと、当時は財産であった牛を与えられて、牛を牽(ひ)いて帰ったということから、漢名の牽牛子(けんごし)とつけたという記述があります』。なお、『山上憶良』『の詠んだ、秋の七草の歌に朝顔の花が出てきますが、この時代には、アサガオは日本に渡来していないことから、この朝顔とは、キキョウのことを詠んだという説が知られ』ています、とあった。

「遠志《をんじ》の苗《なへ》≪は≫、毒に逢を《✕→ふ》」「遠志」(オンジ)の基原は、

マメ目ヒメハギ科ヒメハギ属イトヒメハギ Polygala tenuifolia の開花期の根

である。当該ウィキによれば、『去痰作用がある。帰脾湯、加味帰脾湯、人参養栄湯などの漢方方剤に使われる。脳の記憶機能を活性化し、中年期以降の物忘れを改善する効果もある』とあった。また、「熊本大学薬学部薬用植物園」公式サイト内の「薬草データベースイトヒメハギ」には、『成分』として、『サポニン(onjisaponin AG),キサントン(3-hydroxy-2,6,7,8-tetramethoxyxanthone)』とし、『産地と分布』で『朝鮮北部,中国北部,シベリアに分布する.』とあり、『多年草.根茎はやや木質化,1根から多数の細い茎を叢生する.葉は互生し,針状披針形で,特に茎の上部の葉は細い.茎の先に総状花序をだし,片側にまばらに緑白色の小さな花を開く.さく果は倒心形で平たい.』。『和名は,糸姫萩の意味で,ヒメハギに近く,葉が糸状に細いので名付けられた.』とある。また、『薬効と用途』にも『鎮静,去痰,抗炎症,強壮作用があり,精神不安,神経衰弱,病後の不眠,動悸,気管支炎,気管支喘息などに用いる.漢方処方では,加味帰脾湯,人参養栄湯などに配合される.花粉症,咳に用いられる遠志シロップの製造原料.』とあり、ここに書かれてある『遠志の苗は』「毒に逢」「ふ」=『毒となる』(二重鍵括弧部分は東洋文庫訳)ということは、書かれていない。サポニンとキサントンも諸辞書と、ある論文一件を調べたが、有意なヒト毒性を記載するものは見当たらなかった。従って、この言説は不詳である。「苗」と限定している部分がミソなのだが、識者の御教授を乞うものである。なお、本文は東洋文庫訳では、前の部分とカップリングして、

『黒丑(くろけんごし)(蔓草類アサガオ)の生(なま)は水を通利するが、遠志(おんじ)(山草類)の苗は毒となる。』

と訳してあるが、私は、並べる理由が全く感じられないので、分離した。

「蒲黃」単子葉植物綱イネ目ガマ科ガマ属 Typha の花粉。薬用。「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 | 蒲黄(ホオウ)」を引用する。

   《引用開始》

基源:ヒメガマTypha angustifolia L., ガマT.latifolia L., コガマT.orientalis Presl.(ガマ科Typhaceae)の成熟した花粉を乾燥したもの。

 ガマは開けた湿地や池沼のほとり、休耕田などに多く生える単子葉植物です。わが国には上記の3種類が生え、外見は互いによく似ています。雌雄同種で、茎の先端に特徴的な花穂をつけます。先端には雄花が密集して黄金色の細長い雄花穂を作り、その下に多数の雌花が群生して褐色の太いソーセージ状の雌花穂を作ります。花は花被を持たず、雄花はおしべと毛からなり、雌花は子房と基部にある毛からなります。ガマは高さ1〜2mになり、葉の巾が約2cmで、雌花穂が緑褐色を呈します。コガマとヒメガマは全体にやや小型で、葉の巾は約1cm、前者の雌花穂は赤褐色で雄花穂と雌花穂が近接しており、後者の雌花穂は太さが約15mmと細くて雄花穂との間に花軸が露出していることなどで、3種は容易に区別できます。

 生薬としての「蒲黄」は、『神農本草経』上品に「甘平。心腹、膀胱の寒熱を主治し、小便を利し、血を止め、★血を消し[やぶちゃん注:この『★』部分、気になったので、「維基文庫」の電子化された同書を確認したところ、『消瘀血』とあった。これは、「血の巡りが悪くなっている状態を解消する」の意である。]、久しく服すれば身を軽くし、気力を益し、年を延ばし、神仙となる」と収載され、次いで「香蒲」が「甘平。五臓、心下の邪気、口中の爛臭を主治し、目を明らかにし、耳を聡くし、久しく服すれば身を軽くし、老衰を防ぐ」と収載されました。陶弘景は、「蒲黄」は花の上の黄粉であるとし、明らかに花粉であったことを示しています。一方の「香蒲」については、『新修本草』で「蒲黄は香蒲の花である」とし、『図経本草』でも「香蒲は蒲黄の苗である」としているように、両者は同一植物由来のようです。香蒲は医薬品と言うよりはもっぱら莚(むしろ)を編むのに利用されていたようで、「蒲団」の語源ともなっています。また、『新修本草』には莚としての利用の他、「初春には漬物や蒸し物にして食べる」とも記されています。

 さて、わが国では古来ガマは『古事記』に載せられた「因幡の白兎伝説」でよく知られている植物です。ワニ(サメ)を欺いたために皮をむかれて丸裸にされ、さらに大国主命の兄たちに海水を塗って陽にあたるよう教えられてひりひりと赤くなった皮膚に、後から通りがかった大国主命が清水で洗って「蒲黄」をつけることを教え、兎を救う話です。童謡では「蒲の穂綿に包まれば」とありますが、『古事記』には「蒲黄」とあります。ちなみに、「蒲の穂綿」とは雌花穂の果実が熟して先から長く伸びた糸状体が綿のように伸びたものをいい、古来[やぶちゃん注:読点が欲しい。]詰めものに利用され、また硝石を混ぜて火打ち石による発火の火口にもされました。「蒲黄」と「穂綿」では成熟時期が異なりますので、大国主命が出雲に旅行した季節がはっきりすれば、どちらが利用されたか特定できますが、いずれ神話の中の話であり、ガマが古来[やぶちゃん注:読点が欲しい。]薬用植物として利用されていたことにこそ注目するべきでしょう。

 蒲黄の原植物については、一般にはヒメガマが筆頭に充てられますが、これは花粉の量が多いからのようです。一色直太郎氏[やぶちゃん注:大正期の和漢薬研究家。]は蒲黄の品質について、「微かに特異な臭いがあり、全質一様に深黄色を呈し、顕微鏡下では単粒のもの」が良品であるとしています。ガマの花粉は4個が密着した複粒であり、他の2種では単粒であることから、コガマかヒメガマが良品質であることを示しているようです。「蒲黄」は古来「利小便、止血、散?血」の生薬ですが、破血、消腫に用いるときには生用し、補血、止血に用いるときには炒用することが『日華子諸家本草』に記されています。なお同書に蒲黄を篩うと赤色の滓が残る(これを蒲黄滓と言い,花芯や細毛で,別に渋腸止瀉血薬とする)と記されていることから、蒲黄の採集方法としては成熟花粉のみを振り落すのではなく、雄花穂全体を花軸からしごき取っていたものと考えられます。

   《引用終了》

「地榆」これは、

バラ目バラ科バラ亜科ワレモコウ(吾亦紅)属ワレモコウ Sanguisorba officinalisの根茎を乾燥したもの

を指す。当該ウィキによれば、『秋に葉が枯れてから掘り上げて水洗いし、茎・細根を取り除いて天日乾燥して調製される』。『タンニンやサポニン多くを含み、収斂薬や、止血や火傷、湿疹の治療に用いられる』。『漢方では清肺湯(せいはいとう)、槐角丸(かいかくがん)などに配合されている』とある。

「陳皮」「藥品(2) 六陳」で既出既注。

「附子」何度も注しているが、再掲する。「鳥頭」(うず)と同義。トリカブト(モクレン亜綱キンポウゲ目キンポウゲ科トリカブト属 Aconitum )のトリカブト類の若い根。猛毒であるが、殺虫・鎮痛・麻酔などの薬用に用いられる。「そううず」「いぶす」とも言う。

「陰を救ふ藥」漢方で言う「陰證(陰証)」。「飯塚病院 漢方診療科」のサイトの「陰証・陽証(いんしょう・ようしょう)…身体のバランス」のページに、『陰証を示唆する症候』に、『寒がりで厚着を好む』・『電気毛布など温熱刺激を好む』・『口渇はないが温かい湯茶を好む』・『顔面が蒼白』・『低体温(36.2℃以下)傾向』・『温めると症状が軽減する』とあった。非常に判り易い内容である。

「皮風を走る」全く意味不明。識者の御教授を乞う。因みに、東洋文庫訳では、『皮膚の表面にまで行き亘(わた)る』となっている。

「草烏」正しくは、「草烏頭」(そううず)。やはり、トリカブト(モクレン亜綱キンポウゲ目キンポウゲ科トリカブト属 Aconitum )のトリカブト類の若い根。既に述べた通り、猛毒。

「風痺」先行する「卷第八十四 灌木類 接骨木」で、東洋文庫訳に割注して、『(身体がだるく』、『痛みが身体のあちこちに走る症』』とある。

「人言(ひさうせき)」割注した通り、「砒霜石」(ひそうせき)「砒霜」のこと。「藥品(6) 相畏」で既出既注。

「諸石」割注で特異的に疑義を示した。私が、気がついたのは、

代謝石(たいしゃせき)の脱字の可能性

である。「デジタル大辞泉」に、『たいしゃ‐せき【代×赭石】』として『土状』(つちじょう)『をした軟質の赤鉄鉱。顔料や研磨材に利用。また、漢方で補血・止血薬に用いる。』とあった。「金澤 中屋彦太郞藥局」の「代謝石」に、『第二類医薬品、代赭石は神農本草経の下品に収載されている。』『赭とは赤色という意味である。』基原は、Fe2O3『を主成分とする天然の赤鉄鉱の塊。』で、『「産地」』は『中国(山西、河北、山東、河南、四川、広東省など)。』『「成分」』はFe2O3『で、そのうちFe70%、O30%、その他』に、SiO3,AL,Mg,』『Caなどを含む。』(一箇所、理解出来ない元素記号があったので、カットした)『「応用」』に『補血、収斂、止血、鎮静目的に応用される。』とし、『外傷の出血には粉末を塗布するといい。』とする。『「薬性」』は『苦、寒。』で、『「処方例」』に『旋覆花代赭石湯』とある。『「用法・用量」』は『煎薬、外用。1日10~30g。』とあった。これなら、きつく焼灼しないと、土状になった中に微生物がいる危険性があるからである。如何?!

「當歸」知られた生薬名。基原は、被子植物門双子葉植物綱セリ目セリ科シシウド属トウキ Angelica acutiloba の根、或いは、ホッカイトウキ Angelica acutiloba var. sugiyamae の根を、通例では、湯通しし、乾燥したものである。

「麻黃」中国では、裸子植物門グネツム綱グネツム目マオウ科マオウ属シナマオウEphedra sinica(「草麻黄」)などの地上茎が、古くから生薬の麻黄として用いられた。日本薬局方では、そのシナマオウ・チュウマオウEphedra intermedia(中麻黄)・モクゾクマオウEphedra equisetina(木賊麻黄:「トクサマオウ」とも読む)を麻黄の基原植物とし、それらの地上茎を用いると定義している(ウィキの「マオウ属」によった)。また、漢方内科「証(あかし)クリニック」公式サイト内の「暮らしと漢方」の「麻黄…エフェドリンのお話」が非常に詳しいので、見られたい。

「山茱萸」「卷第八十四 灌木類 山茱萸」を見よ。

「猪苓」菌界担子菌門真正担子菌綱チョレイマイタケ目サルノコシカケ科チョレイマイタケ属チョレイマイタケ Polyporus umbellatus を基原とする。先行する「卷第八十五 寓木類 猪苓」を見られたい。

「茯苓」「卷第八十五 目録(寓木類・苞木(竹之類)・樹竹之用)・茯苓」を見よ。

「厚朴」「卷第八十三 喬木類 厚朴」を見よ。

「桑白皮」バラ目クワ科クワ属 Morus の桑類の根皮。消炎・利尿・鎮咳効果を持つ。基原は、マグワ Morus alba の根皮。詳しくは、先行する『卷第八十四 灌木類 目録・桑』の私の注を見られたい。

「栢子」一言では述べられない。「卷第八十二 木部 香木類 目録・柏」の私の注を見られたい。

「益智」私は、初めて見た。基原は、

単子葉植物綱ショウガ目ショウガ科ハナミョウガ属ヤクチ Alpinia oxyphylla の果実

である。当該ウィキには、『中国南部に分布する多年生草本』で、『草丈は1.5-3m』。『果実は益智(ヤクチ)という生薬として利用され、健胃、抗利尿、唾液分泌抑制作用がある』。『中国の福建、広西、雲南各省で生産栽培されている』とあるだけである。ここは、やはり、「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 | ヤクチ(益智)」の神農子さんに伺うしか、ない。

   《引用開始》

 日本でショウガ科の植物というとショウガ、ミョウガ、ウコンなどが有名ですが、これらはいずれも栽培種であり自生種ではありません。日本に自生するショウガ科の植物は Alpinia 属のみで、ゲットウやハナミョウガなど、関東地方南部から四国、九州、沖縄地方に分布しています。ショウガ科植物は熱帯地方に豊富で、根茎、葉、花、果実などを食用や薬用にするなど、生活に欠かすことができない一群です。益智の原植物もこの Alpinia 属です。

 益智という名称について、『本草綱目』では「脾は智を司るものだ。この物はよく脾、胃を益するところからの名称である。龍眼が益智と呼ばれるのと同一の意味だ。」と述べています。続けて「按ずるに、蘇東坡の書に“海南に益智を産する。花も実も長い穂で三節に分かれているが、その上、中、下の三節に現れる結実状態の早、中、晩で穀作の豊凶が卜える。大豊作のときは三節悉く実り、大凶作のときは全部が実らない。しかし三節全部が熟するというは稀有のことだ。この物は薬にしてはただ水を治するだけで、智を益す功力はない。益智なる名称はやはりその歳の豊凶を知るところから名付けられたのではないか思う”」と、蘇東坡の時珍とは異なる意見も紹介されています。

 植物の特徴として『新修本草』には「益智子は連翹子の頭のまだ開かないものに似たものだ。苗、葉、花、根は豆蒄と異ならない。ただ子が小さいだけだ」、また『本草綱目』の引用には「益智は二月花が開いて実が連なって著き、五六月に熟する。その子は両端が筆の先のように尖り、長さ七八分のものだ。」とあり、現在の原植物Alpinia oxyphyllaの特徴と一致しています。

 Alpinia oxyphyllaはショウガ科の多年性草本で、中国南部、海南島、広東省の雷州半島などに分布します。日本には分布しないので植物和名はありませんが、生薬名を音読みしてヤクチと称するのが一般的です。林下の陰湿地に自生し、高さは3mにも達します。葉身は披針形で長さ 2535 cm、先端は尾状に尖ります。類似植物がありますが、葉舌が2裂することも鑑別点です。春から夏にかけて葉鞘の先端から総状花序を出し、白色で紅色の脈紋がある美しい花を着けます。薬用にされる成熟した蒴果は長さ1.5cm2.0cm、径1cmほどになります。先に結実の困難さについて紹介しましたが、日本ではさらに結実することが稀で、人口受粉している温室施設でなければ果実をみる機会はほとんどありません。

 生薬は球形または紡錘形、外面は褐色〜暗褐色で縦方向に多数の隆起線があります。果皮は 0.3 mm程度、内部の種子塊と密着していて剥ぎにくくなっています。内部は3室に分かれ、各室には仮種皮によって接合する5〜8個の種子があります。種子は不整多角形を呈し、径約3.5 mm で褐色〜暗褐色です。大粒で外面が淡黄色〜淡黄褐色を呈する芳香の強いものが良品とされています。

 その薬効について、『本草綱目』には「益智は大いに辛し。陽を行らし陰を退ける薬であって、三焦、命門の気弱のものに適する。按ずるに、楊士瀛の直指方に“心は脾の母であって、食が進めばただ脾を和すのみに止まらず、火がよく土を生ずるものだから、心薬を脾、胃の薬の中に入れて、やがて相共にその功を発揮せしむべきものである。故に古人が食を進める薬の中に多く益智を用いたのは、土中に火を益する目的なのだ”といっている」とあります。現在でも脾、胃、心、腎の四経に入り、足の太陰、少陰の薬物とされています。

 日本では芳香性健胃薬、整腸薬として縮砂と同様に用いられますが、漢方処方に配合されることは希で、しばしば家庭薬に配合されています。

 益智、縮砂、小豆蒄(カルダモン)など、ショウガ科植物の種子に由来するいわゆる豆蒄類生薬には重要なものもあります。それぞれ区別して使用されてきた歴史がありますので、日本では比較的なじみの薄い生薬ですが上手に使い分けしたいものです。

   《引用終了》

「常山」「藥品(3) 名義」で既出既注。

「巴戟」これも初めてだ。たびたびで、済まないが、正確な日本語の記載はそこしかないので、「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 |巴戟天(ハゲキテン) 」を引用するしかない。

   《引用開始》

 巴戟天は漢方薬に配合されないため日本ではなじみの薄い生薬ですが、中国では強壮薬として良く知られ、何処の生薬店でも見られるほど一般的な薬物です。

 巴戟天の歴史は古く、中国最古の薬物書である『神農本草経』の上品に「味は甘くて辛味もあり、服用するとわずかに体を温かくし、主に邪悪な風によっておこる病気やインポテンツを主治し、また筋骨を強くし、五臓を安んじ、消化吸収機能を良くし、志を増し、気を益す」と記載があります。現代中医学では、体を補益する薬物として、腎陽虚(腎の元気が衰えた状態)による頻尿や尿失禁、また腎虚による神経痛、リウマチ、腰膝の疼痛、軟弱無力、筋肉の萎縮などの治療に応用されます。淫羊藿(メギ科のイカリソウの仲間の葉)に似た効能を有するとされますが、淫羊藿に比して性質が柔順で発散させる力や陽を強くする作用が弱く、また温めて煩燥させる性質も弱いことから、婦女の生殖器の冷えによる不妊症、月経不調、下腹の冷痛などに適するとされます。

 原植物はMorinda officinalis Howと名付けられたアカネ科の蔓性植物で、中国南部の暖地に分布し、日本にはありません。根は湾曲した円柱形を呈し、直径約12cm。生薬は表面が灰黄色で太く浅い縦皺と深くくぼんだ横紋があり、所々で皮部が裂けて木部が露出し、その結果特徴的な長さ13cmの念珠状を呈します。『新修本草』に「苗を俗に三蔓草と呼ぶ。葉は茗に似て冬を経ても枯れず、根は珠を連ねたようだ。古い根は青く若い根は白紫だが用途はやはり同一だ。その連珠のような肉多く厚いものが勝れている」と記されたものは本植物のようですが、古来異物同名品が多く、我が国にも中国から様々なものが輸入され、一方で和産も開発されたようです。

 異物同名品に関して、江戸時代に書かれた『用薬須知』後編に「和漢ともにあり、和のものには茶葉の巴戟というものと江戸で柳葉草という葉が丸くて狭いものの2種があり、又別に麦門葉の巴戟がある。種樹家はモジズリといい、他国ではネジクサという。漢渡の棒様の巴戟疑は是であろう。(中略)。京師のものは高さ一尺以上あり東国には高さ五、六尺になるものがある」また、同書の後編正誤では「葉の丸くて狭いものには二種ある。今は茶葉、柿葉、柳葉、桃葉、梔子葉の数種がある。また水巴戟は香附子の一名である」、さらに続編では「巴戟の根が紫色のものを紫巴戟という」など、多数の原植物の存在が示唆されています。いずれにせよ日本では根が念珠状をなす複数の植物が代用されていたようです。中国における異物同名品としてこれ迄に、ヒメハギ科のPolygala reinii、ラン科のネジバナSpiranthes spiralis、トウダイグサ科のEuphorbia chamaesyce、ゴマノハグサ科のBacopa monnieria などが報告されています。台湾でネジバナが民間的に強壮約として利用されているのはその名残かも知れません。

 さて、沖縄を旅行すると果物の一種の“ノニ”を宣伝する看板をよく見かけます。テレビでも取り上げられたことがありますので、ご存知の方も多いと思います。実はこのノニが巴戟天と同じMorinda属植物なのです。ノニはもともと東南アジア~オセアニアにかけての熱帯地域に原産するM. citrifoliaの果実で、現地ではNoniNonuNonoなどと称され、日本では琉球諸島や小笠原諸島に分布し、和名をヤエヤマアオキと言います。ポリネシア諸島では古くから有用植物として、薬用、食用、染料などに利用されてきました。インドネシアの伝統医学であるジャムーではPace(パチェ)の名称で、果実が鎮吐、下剤、血圧降下剤として、葉が止血、解熱、皮膚を軟化させる目的で使用され、その他蛔虫駆除、去痰、鎮咳、通経にも用いられるなど、幅広い用途で利用されています。また、根がカゼをひいた時の処方に疲労回復薬として配合されます。

 Morinda officinalisもヤエヤマアオキも、共に地下部が強壮薬的に使用されるという共通点に興味を覚えます。ヤエヤマアオキも今後の科学的研究が待たれる薬用植物のひとつでしょう。

   《引用終了》

「烏藥」「卷第八十二 木部 香木類 烏藥」を見よ。

「知母」「藥七情」で注したものを転写する。単子葉植物綱キジカクシ目キジカクシ科リュウゼツラン亜科ハナスゲ属ハナスゲ Anemarrhena asphodeloides の根茎の生薬名。当該ウィキによれば、『中国東北部・河北などに自生する多年生草本』『で』、五~六『月頃に』、『白黄色から淡青紫色の花を咲かせる』。『根茎は知母(チモ)という生薬で日本薬局方に収録されている』。『消炎・解熱作用、鎮静作用、利尿作用などがある』。「消風散」・「桂芍知母湯」(けいしゃくちもとう)・「酸棗仁湯」(さんそうにんとう)『などの漢方方剤に配合される』とある。

「天≪門冬《てんもんどう》≫」基原の属レベルは、

単子葉植物綱キジカクシ目キジカクシ科クサスギカズラ亜科クサスギカズラ属 Asparagus

であるが、ラテン語の属学名を見て戴くと判る通り、

同属のタイプ種はアスパラガス Asparagus officinalis

である。而して、基原は、「養命酒」公式サイト内の「元気通信|生薬百選」の「天門冬(テンモンドウ)」で(このサイトは引用禁止なので、そちらを見られたい)、「日本薬局方」に、

Asparagus cochinchinensis

の学名で書かれているとし、和名を『クサスギカズラ』としてある。そこにある写真を見ると、同種の根が基原であることが判る。調べると、当該ウィキがあった。漢字表記は、

「草杉蔓」

である。

引用する(注記号はカットした)。『関東地方南部から沖縄諸島、台湾、中国などの温帯から亜熱帯の海辺の砂地に分布するつる性の多年草。草丈は100150センチメートルほどになる。短い根茎に、紡錘形~円柱形の塊茎が多数つく。茎は下部が木化し、上部はつる性となる。茎につく葉の一部はトゲに変化しており、これを使って他の植物などに巻きついてつるを伸ばす。小枝に付く葉は退化して鱗片状になっており、葉のように見える葉状枝と呼ばれる部分で光合成を行う。5-6月頃になると、葉腋に淡黄色の小さな花を13個ずつ付ける。果実は球形で、中に黒い種子が1個ある。他のクサスギカズラ属と異なり白色に熟する。スギのような葉をつけ、茎がつる状になる草本植物であることから「草杉蔓」と呼ばれるようになったとされる』。『生薬「天門冬(てんもんどう)」の基原植物の一つとして日本薬局方で定められており、5月頃にコルク化した外層の大部分を除いた根を収穫し、湯通しまたは蒸したものを用いる。根が飴色をしていて太くて長く、甘味の強いものが良品であるとされる。同属別種の植物であるタチテンモンドウ( Asparagus cochinchinensis var. pygnaeus )は天門冬として利用しない。鎮咳、利尿、滋養強壮などの効果があるとされ、滋陰降火湯や清肺湯などの漢方薬に配合されている。 アミノ酸の一種であるアスパラギンやサポニンの一種であるアスパラサポニン(asparasaponin)類、ベータ・シトステロールなどを含む』とあった。

「麥門冬」単子葉植物綱キジカクシ目キジカクシ科スズラン亜科 Ophiopogonae 連ジャノヒゲ属ジャノヒゲ Ophiopogon japonicus の根の生薬名。現行では、これで「バクモンドウ」と濁る。鎮咳・強壮などに用いる。

「地黃」先の「藥品(10) 忌銅鐵」で既出既注。

「何首烏」基原は、タデ目タデ科ツルドクダミ(蕺・蕺草・蕺菜)属ツルドクダミ Reynoutria multiflora の根である。詳しくは、先行する「藥品(4) 有南北土地之異」の「夜合草《よるあひぐさ》」の私の注を見られたい。

「三消《さんしやう》」当初、私は「三焦」の誤記ではないか? と思ったのだが、ネットを調べるうち、「糖尿病ネットワーク」の「私の糖尿病50年-糖尿病医療の歩み」の「56.中国医学と糖尿病」の「3. 消渇」で、『金時代の4大家の1人といわれた劉河間は、消渇を上消、中消、下消に分け、上消は上焦の疾患で隔消ともいい、多尿だが少食で尿は薄く、これは邪気が上焦にあることで起こり、治療は湿を流して燥を潤すこと。中消は胃であり食べると栄養はすぐに燃えるので多食になり尿は黄色。治療は熱があるので熱を下げること。下消(腎消)ははじめ尿の出が悪く尿線に勢いがなく尿は粘稠性で混濁し進行すると顔色が黒くなり、痩せて耳朶が脱水状になる。治療は血を養い熱を除き下げること。その後の補足、修正を入れたのが表2である。』として、『表2 消渇(糖尿病)の三消』で、詳しく表になっている(画像のため、引用しない)。私は、それで、納得出来た。

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