河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(三)煎海鼠の說(その14)~図版・注・分離公開(そのⅤ)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回は、ここの左ページ。なお、本図版に就いては、(その10)の冒頭注記を、必ず、見られたい。]
■「其 五」
■「チリメンイリコ」「沖縄縣八重山島産」
「表」
「正面」
「裏」
[やぶちゃん注:「チリメンイリコ」前の図版4の最後にある「カズマル」で、前掲の大島先生の論文「沖繩地方產食用海鼠の種類及び學名」の『緖言及び總論』の引用に出たが、『亞屬 Actinopyga BRONN, PEARSON emend.』の『10. Holothuria (Actinopyga) miliaris (Quov et GAIMARD』の項で(『第5圖』附き。国立国会図書館デジタルコレクションのものでは、ここの左ページの上)、
《引用開始》
體長 27 cmに 達 する。生時は全体一様に 暗紫色乃至暗褐色を呈し, 腹面は少しく淡色である。体表の骨片は細い稈状體の左右に多くの短い小枝を生ずるもの, 及び小形やゝ不完全な花紋様體。分布はモザンビク・紅海からカロリン・トンガ諸群島に亘り, 北はわが奄美大島に及ぶ。箕作博士は大島の蘇苅で本種を獲られた。本種で製した熬海鼠(第5圖)はチリメンと呼ばれる。蓋し表面が強く細かい皺襞を生じてゐることに因んだ名である。蘭領印度諸地方の名は tripang balibie, t. batoe, t. belangoeloe, t. bikaloe, t. djepoeng 等々多数あるが他は省略する。トルレス海峽地方では烏参(black fish)の名がある。價格はさきに引用した如く100斤の債淸貨 140兩(テール), 箕作博士によれば沖繩で120圓, KONINGSBERGER によれば1ピクル50-70グルデンであると云ふ。
《引用終了》
とあるのがそれである。これは既に注で示した、クロナマコ科クリイロナマコ属チリメンナマコ(縮緬海鼠) Actinopyga miliaris である。]
■「黒ウサ」 「沖縄縣下産」
「表」
「裏」
[やぶちゃん注:これも、同前の大島先生の同論文の国立国会図書館デジタルコレクション版の『第8圖』がそれであり、前に私が述べたチリメンナマコ(縮緬海鼠) Actinopyga miliaris であるが、前ページの解説文の中で、先生は『本種の熱製品にはシロウサー(白鼠第7圖),クロウサー(黒鼠第8圖)の2品種があるが箕作博士は多分生時の色彩の変異に因るのであらうと云はれる。トルレス海峽產のものに石參(teat fish), 白靴(white test fish),烏双蟲(black sneke)等の外に乳房をもつ魚と云ふ意味の名がある。さてさきに引用したもの』『にクラウソウ・白ウサフなどと書いてあつたのは勿論本種のことであるが, 別の所に』『烏縐(ウスウ)卽ち肉刺なく縐』(=縮み・皺)『あり色黒きものとあるのもこれに當ると思はれる。ウサー或はウソウは烏縐を讀んだもの, 烏双・鼠なとの字は音に合せて作つたものではなからうか』と述べておられる。]
■「羽地《はねぢ》イリコ」
「沖縄縣下琉球國頭《クンジヤン》産」
「表」
「正面」
「裏」
[やぶちゃん注:「羽地イリコ」(その8)で既に述べた通り、これは製品名として認識しているのであろうが、実際には、その製品に使う、生体の、
クロナマコ科ジャノメナマコ属フタスジナマコ(二筋海鼠)Bohadschia bivittate
を指す沖縄方言と思われる。
「國頭」現在の「やんばるの森」を有する沖縄県国頭郡(くにがみぐん)国頭村(くにがみそん)。ここ。何故、私が『クンジヤン』と振ったかと言うと、次の図で、そう振っているようからである。]
■「シナフヤー」
「沖縄縣下琉球國頭(クンジヤン)産」
「表」
「正面」
「裏」
[やぶちゃん注:「國頭(クンジヤン)」のルビであるが、拡大しても「シ」には濁点はないのだが、現在の国頭郡国頭村は、古くから沖縄方言で「くんじゃん」と呼ばれていること、東洋文庫版の、活字化したキャプション一覧でも『くんじゃん』と判読して振っていることから、かくした。
「シナフヤー」は(その8)で示した通り、
クロナマコ科ジャノメナマコ属フタスジナマコ(二筋海鼠)Bohadschia bivittate
である。]
■「メーハヤー」
「沖縄縣琉球國頭(クンジヤン)産」
「表」
「側面」
「裏」
[やぶちゃん注:珍しく「側面」図を下方に示してある。
「メーハヤー」同じく(その8)で示した通り、
クロナマコ科ジャノメナマコ(蛇の目海鼠)属ジャノメナマコ Bohadschia argus
である。]
■「ナンフ」
「沖縣下産」
「表」
「裏」
[やぶちゃん注:「ナンフ」(その8)で示した「なんふう」と同じであろう。そこで注した通り、全く分らない名前である。識者の御教授を、再度、乞う!]
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