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2025/11/29

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その5)

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページから。]

 

鮑を區別すれば、『めかひ』・『またかひ』の二種は、乾(かはか)して、其色(そのいろ)、褐黃(ちやいろ)にして、微(すこ)しく透明なるが故に、『明鮑(めいほう)』となすによろしく、其中(そのうち)、『またかひ』は、形(かたち)の大(だい)なるものは『明鮑』によろしく、小(しやう)なるものは『灰鮑』によろし。『くろかひ』は、乾(かはか)して、外面(そとづら)、淡黑色(うすくろいろ)なれば、『明鮑』・『灰鮑』ともに、形色(かたちいろ)、よろしからず。故に、別に『くろ』と稱し、廉價(やすね)を以て、賣買(うりかい[やぶちゃん注:ママ。])せり。然(しか)れども、鮮食(せんしやく[やぶちゃん注:ママ]/なまくひ)には『またかひ』に次ぎ、『めかひ』に優(まさ)れり。『とこぶし』・『みゝかひ』の二種は、鮮食(せんしよく)となすも、味(あぢはひ)、佳(よか)らざるのみか、『明』『灰』二鮑(はう)となすも、前品(ぜんひん)に劣れりと雖(いへ)とも[やぶちゃん注:ママ。]、是(これ)を、薄片(うすへぎ)の連接製(うすへぎこしらへ)となす時は、遙かに『明』『灰』二鮑の上位に居(を)るものにして、淸國漢口(ハンカウ)等(とう)の市場(しじやう)に於て、佳(もつとも)高價(かうか)を占(しめ)たり。

[やぶちゃん注:以下、アワビの種で、既に注してあるが、改めて解説する。初めに、古いが、貝類学・貝類収集家にとってはバイブルである「吉良図鑑」=吉良哲明著「原色日本貝類図鑑」(保育社・初版昭和二九(一九五四)年・私の所持するものは書いて居二十刷で昭和四九(一九七四)年版である)を引かない訳には行かない。現行和名とは違い、濁音がない、学名が後に全面的に変更された点などがあるのは、注意されたい。図版のスケール指示はカットした。

「めかひ」腹足綱直腹足亜綱古腹足上目原始腹足目ミミガイ科アワビ属メガイアワビ(雌貝鮑) Haliotis gigantea 。「吉良図鑑」には、以下のように載る。記載の関係上、クロアワビも一緒に引いた。学名部分は、ブラウザの不具合を考えて引き上げた。

   《引用開始》

1. メカイアワビ(俗名メカイ

         Notohaliotis discus REEVE

殼は大きく丸味を帯びた耳形で,螺状肋は太く明瞭である。殼高極めて低平で3種中最も扁平である。表面は赤褐色で,外唇縁は著しく張出し,殼頂は前端に近く上下端のほぽ申央に位置する。貫通孔数は45で,棲息水深は以下の2種の中間で本州以南九州に至る10fms.内外に棲息する。

2. クロアワビ(俗称クロ, オンガイ

         Notohaliotis sieboldi REEVE

 殼は前種より前後に細長く且つよく膨れる。殼表の肋脈は甚だ不明瞭で平坦である。緑色調の黒色で,貫通する孔数は45, 棲息深度は3種中最も浅い。本州以南九州に亘り10fms.以内の岩礁に棲む。本型の亜種に, 殼表の皺が強くて内面の真珠光沢青色調のH. d.  hannai INO エゾアワピがある。

   《引用終了》

ウィキの「アワビ」の記載には、『別名:メンガイ(雌貝)オンガイ』(クロアワビの別名。後の引用を参照)『の「オン」は雄という意味でも使われることから対比する意味で使われる。メガイアワビは産地が限られ』、『生産量も少ないため、実際にクロアワビの雌と思われていた』。またの『別名』として『ビワガイ』があり、これは『足が黄土色(ビワ色)をしていることから来ている』。『3段階ある絶滅危惧種のランクのうち、2番目に深刻な「絶滅危機(EN)」に指定されている』とある。最後にグーグル画像検索の学名のものをリンクしておく。メカイアワビはここで、クロアワビはこちらだが、後者は、あまりお勧めしない。

「またかひ」アワビ属マダカアワビ(眼高鮑) Haliotis madaka 「吉良図鑑」には、以下のように載る。なお、後にポイント落ちで、アワビ三種の包括追記があるので、それも同ポイントで示す。

   《引用開始》

3. マダカアワピ(俗称マダカ)

         Notohaliotis gigantea GMELIN

 殼は3種中最も大成して厚く,背腹緑共に張出して円く長径205mm,短径175mm 高さ75mmに及ぶ。殼表の肋脈も明らかで,背面で孔管高く突出し,内唇縁高く孔列の直下に1溝を刻む。棲息深度は最も深く,肉量多く甚だ美味である。本州~九州 1020fms.

 

 以上大形のアワピ3種はこれまで種的区別が朋らかでなかったが,漁夫はこれをマダカ・クロ(オンガイ)・メカイ3種に区別し,市価もそれぞれによって甲乙がつけられていた。それがだんだん研究され,まず解剖学的に立証され(猪野峻:日本水産学会報531953),その後発生学的にも研究されて今日に至っている。大型アワピはトコブシよりも美味で食用に供せられ,また乾製して重要な輸出水産物となっている。

 昔から日本の贈答品には必ずノシをそえる習慣がある。この昔のノシはアワビの肉を延ぱして乾したものを用いたが, 今は紙製品または包み紙に形を印刷したものとなっているが,それでもこの習慣は残っている。しかし伊勢神宮では今もなおアワビでノシを製して神饌として供えられ,また結婚式用品として用いられることもある。貝殼は貝ボタンとなりまた切貝,摺り貝として婦人の装身具や,机・硯箱・花瓶等の装飾品にはめこむのに用いられ(これを螺鈿という),貝の粉はうるしにまぜて共にぬりこみ美しい漆器をつくる。

   《引用終了》

「吉良図鑑」の素晴らしさは、最後の解説のように、民俗学的解説があることである。不滅の綺羅たる「吉良図鑑」の所以である。「日本大百科全書」の奥谷喬司先生の「マダカアワビ」の解説には、学名を『 Haliotis (Nordotismadaka 』とされ、『軟体動物門腹足綱ミミガイ科の巻き貝。北海道南部から九州に分布し、潮間帯下から水深30メートルの岩礁にすむ。殻長20センチメートル、殻径17.5センチメートル、殻高7.5センチメートルに達し、卵円形で殻頂は後方に寄り、水孔は大きく高い。肉は美味である。』とある。ウィキの「アワビ」には、『別名:メタカアワビ(メダカアワビ)マダカ、メタカは貝殻の「目が高い」という意味。目は潮吹き穴の事』とし、『別名:アオガイ 足が緑色をしていることから来ている』とあり、『3段階ある絶滅危惧種のランクのうち、2番目に深刻な「絶滅危機(EN)」に指定されている。』とある。グーグル画像検索の学名のものは、ここ

「とこぶし」アワビ属トコブシ(床伏・常節・常伏) Haliotis diversicolor aquatilis 。同前で引用する。冒頭の「ミミガイ科」の槪説を最初に示す。

   《引用開始》

  みみがい科(あわびがい類)(1) Family Haliotidae

 耳貝科はアワビ類で,螺塔甚だ低平で螺層は大きい。これは螺管が急に増大するので耳形の殼が形成される。古来この貝は2枚貝の片側のように思われ“磯の鮑の片思い”などと歌われたが,よく注意して見ると殼の前端に巻貝形の小さな螺塔がある。岩礁に着く方は殼口で殆ど全殼の大部分を占めている。殼口の厚いヘリの方が内唇で,うすい方が外唇である。その内唇に近く沿うて孔列がある。孔は貝の成長と共に新しく造られていくが,古い孔は次第に埋められていくから孔数は常に一定している。内面は美しい真珠層があつて[やぶちゃん注:ママ。]種々の装飾に用いられ,肉は甚だ美昧で食用として賞味せられる。

   《引用終了》

以下、トコブシの項。手書きの図が載るが、国立国会図書館デジタルコレクションのここで見られる(一九六四年刊の増補改訂版。カラー図版も見ることが出来る)。但し、本登録をしないと、見れない。

   《引用開始》

3.トコブシ(ナガレコ) Sulculus supertextta(LISCHKE)

 本種は小形のアワビとして広く食用に供せられ,或は大形アワビの幼殼と誤られているが孔数の多いこと,孔の背面が管状とならないこと,決して大成しないこと等によつて[やぶちゃん注:ママ。]明らかに区別せられる。貫通孔数は6~-9に達し北海道南部以南全国の浅海の岩礁に棲息する。動物[やぶちゃん注:生体のこと。]運動が甚だ活発で流れ子の別名がある。このトコブシを全国的に蒐集して見ると3つの型がみられる。その1つは九州からそれ以南の島々に産するナガラメと俗称されるもので,殼が厚く大きく殼頂がひどく端にかたより,表面には太く深い脈が一面にきざまれ,その脈にはこまかい鱗片が密生している(a)。第2は小笠原・八丈・伊豆の各島々から本州の一部に達しているフクトコブシといわれている貝で、ナガラメ[やぶちゃん注:三種の別名であるが、恐らく、直腹足亜綱古腹足上目ニシキウズガイ上科ニシキウズ/ニシキウズガイ科キサゴ  Umbonium costatum を指していると思われる。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページをリンクしておく。]のような彫刻のない平滑な表面で,殼の申央部がよくふくれて肉量の多い型である(b)。第3は関東・近畿・中国等にみられる殼の少し小さい扁平で外形の円い彫刻も不定な貝で(c),古書にトコブシと和称した貝はこの型だと思われる。この3つの型が単なる変異にすぎないものか,別種であるのかは残された問題で,今後の研究にまたなければならない。

 尚,沖繩に産するコピトアワビ[やぶちゃん注:ミミガイ科コビトアワビ Haliotis jacnensis のこと。]は長径22mm,短径16mm内外の小さなもので,我が国産としては最小のアワビとされている。

   《引用終了》

「日本大百科全書」の奥谷先生の記載は、学名を『 Sulculus diversicolor aquatilis 』とされ、『軟体動物門腹足綱ミミガイ科の巻き貝。北海道南部から九州に分布し、潮間帯付近の岩礁にすみ、干潮時は石の下などに潜み、はう速度が速い。殻長70ミリメートル、殻幅50ミリメートル、殻高15~20ミリメートルに達し、殻は卵形で形態はアワビ類に似ているがやや長めで扁平(へんぺい)。背側縁に沿って水管孔が6~8あり、アワビ類の4~5より多く、孔の縁も低くて管状をなさないことなどでもアワビ類と区別できる。殻表は殻頂から弱い放射肋(ろく)が出て、粗い成長脈と交わっている。色は通常黒みを帯び、全体に緑褐色斑(はん)がある。殻の内面は真珠光沢をもつ。産卵期は9~10月。肉は灰褐色を帯びて柔らかく美味。アナゴ、ナガレコ、ナガラミなどの地方名がある。九州以南に産し、螺塔(らとう)がやや高くて螺肋が明らかな型をフクトコブシS. d. diversicolorというが、両亜種の境界はかならずしも明らかでない。』とある。ウィキの「アワビ」には、『別名:ゴケンジョ』とし、『「後家の女」の意で、平たい貝殻が二枚貝の殻に似ているにもかかわらず、1枚しかないありさまを夫を失った未亡人(後家)に例えたもの。』とある。グーグル画像検索の学名は、ここ

「みゝかひ」アワビ属ミミガイ(耳貝) Haliotis asinina

   《引用開始》

1ミミガイ  Haliotis (s.s.)  asinina  LINNÉ

 殼は細長く大なるものは120mm.内外に達するが殼幅は約½に過ぎない。殼頂は前端に偏し,表面は平滑で光沢があり,褐色の地に緑色の雲彩がある。貫通孔数は57で屋久島以南の浅海の岩礁に棲息する。

   《引用終了》

吉良先生の学名の『(s.s.)』は、亜種で、"subspecies" 、現行では subsp. ssp. で略記される。「日本大百科全書」の奥谷先生の記載は、『軟体動物門腹足綱ミミガイ科の巻き貝。四国以南、太平洋およびインド洋の干潮線下の岩礁やサンゴ礁にすむ。殻長12センチメートル、殻幅5.5センチメートルに達し、耳形。殻頂は後端にあり、螺塔(らとう)は小さく、体層が殻の大部分を占め、膨らみは弱い。殻表は光沢があり、褐色の地に黒、緑、黄色などを基調とした放射状斑紋(はんもん)があって、水孔はほとんど管状にならず57個開いている。内面は真珠層がよく発達し、虹(にじ)のような光沢がある。軟体は大きくて殻内に収まらない。岩礁をはうだけでなく、滑るように移動する。肉は食用にされる。』とあった。]

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