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2025/11/04

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(三)煎海鼠の說(その13)~図版・注・分離公開(そのⅣ)

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回は、ここの右ページ。なお、本図版に就いては、(その10)の冒頭注記を、必ず、見られたい。

 

Iriko4

 

【図版4】

 

■「其 四」

 

■「光参」「三分ノ一。」「琉球産」

 「おして、海參ノ最上ナルモノ。」

 「表」

 「裏」

[やぶちゃん注:これは、産地・大きさ・形状と、自信を持って最高級の製品であるとすることから、(その11)で示した、楯手目クロナマコ科クロナマコ属クロナマコHolothuria (Halodeima) atra である。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」同種のページの画像の二枚目を見ると、「裏」とする管足側の凸凹な感じ(管足自体は煎海鼠にすると、収縮してしまい、そこが、陥没したようになるのであろう)とも、よく一致する。

「おして」「推して」で、「ある状態に於いて最も相応しいものとして他者に薦める」の意。]

 

■「琉球産」

 「『長大ナル』ト、称《しやう》スルモノナリ。」

 「四分ノ一。」

 「表」

 「裏」

[やぶちゃん注:同前で、クロナマコである。スケール縮小から、前者より大きい。底本実物の高さは二十六センチメートルほどである。前掲のリンク先には、『35㎝前後になる』とあり、二枚目の画像の物差しも三十五センチメートルである。何度も引用している本川先生の「ナマコガイドブック」では、『体長5~25㎝』とするものの、『熱帯地方では、50㎝以上の大型個体もみられ、乾かして海参を製する。』とある。]

 

■「白ウサフ」 「沖縄下産」

 「表」

      「正面」

 「裏」

[やぶちゃん注:「白ウサフ」既に紹介した「九州大学附属図書館」公式サイトのここの、大島廣先生の論文「沖繩地方產食用海鼠の種類及び學名」(『九州帝國大學農學部學藝雜誌』昭和一〇(一九三五)年二月発行所収・PDF)の『亞屬 Microthele BRANDT』『13. Holothuria (Microthele) nobilis (SELENKA)』(=クロナマコ属イシナマコ亜属イシナマコHolothuria (Microthele) nobilis (Selenka, 1867)の項の解説の中で(部分引用。注番号はカットした)、

   《引用開始》

 本種の熬製品にはシロウサー(白鼠、第7圖), クロウサー(黒鼠, 8圖)の2品種があるが箕作博士は多分生時の色彩の変異に因るのであらうと云はれる。トルレス海峡[やぶちゃん注:トレス海峡。]產のものに石參(est fish),  白靴(hite test fish), 烏双蟲(black snke)等の外に乳房をもつ魚と云ふ意味の名がある。さてさきに引用したものにクラウソウ・白ウサフ[やぶちゃん注:☜]などと書いてあつたのは勿論本種のことであるが, 別の所に烏縐(ウスウ)[やぶちゃん注:「黒い縮んだもの」の意であろう。]卽ち肉刺なく縐あり色黒きものとあるのもこれに當ると思はれる。ウサー或はウソウは烏縐を讀んだもの, 烏双・鼠などの字は音に合せて作つたものではなからうか。

   《引用終了》

とあった。この次の150ページの冒頭に三体の乾燥写真が載るが、その一番右の『第9圖』『サバ  Holothnria (Microthcle)  nobilis  (SELENKA). × 3/4 八重山産・(原圖).』を、是非、見られたい! 本図の「表」を彷彿させる図である! なお、同論文は国立国会図書館デジタルコレクションでも見ることが出来るので、当該図のリンクを張っておく。 なお、大島先生の記載の中に『サバは八重山語で草履を意味する。』とあった。激しく、ナットク!

 さて、本川先生の「ナマコガイドブック」から、イシナマコの項の解説を引用しておく。『体長3040cm。 一名タラチネナマコ。体は堅く、やや平らな太い円筒形で、腹面はより平らである。背面は黒に近い褐色で、腹面は背面より淡い。生時は体表に砂を付ける。触手は20本。口は前端腹面に、肛門は後端に開き、やや石灰化した5個の肛歯がある。管足は腹面に密であるが、背面や側面には管足または疣足がまばらに分布する。浅海のサンゴ砂礫上に生息する。沖縄諸島、ニューカレドニア、オーストラリア、グアム、中国、台湾に分布。』とある。

「沖縄下産」は「おきなはか」で「沖縄県下」の意であろう。沖縄県は明治一二(一八七九)年三月二十七日に琉球藩を廃止して置かれていた。

「正面」製品の頭部の吻部を正面から描いたもの。]

 

■「琉球産」「ヒラカタニミーハイ」

 「二分ノ一。」

 「裏」

 「表」

[やぶちゃん注:「ヒラカタニミーハイ」意味不明。識者の御教授を乞う。ただ、図(変則で、裏→表の順である)を見るに、クロナマコと思われる。]

 

■「琉球産」 「丸形《まるがた》。」

 「五分ノ一。」

[やぶちゃん注:本図の最初と、二つ目の図との類似性から、クロナマコ比定。]

 

■「シビー」「沖縄縣下産」

 「凡、四分ノ一。」

 「表」

     「正面」

 「裏」

[やぶちゃん注:前掲の大島先生の論文「沖繩地方產食用海鼠の種類及び學名」の『亞屬Actinopyga BRONN, PEARSON emend.』『9. Holothuria (Actinopyga) lecanora (JAEGER)』の項の解説の中で(部分引用)、

   《引用開始》

箕作博士は沖繩島糸滿・喜屋武崎等で本種を採集されたが, 沖縄でも八重山でも本種の製品をシビーと稱する(第4圖)。箕作博士はこれに志比宇と云ふ字をあて, 子安貝に似ると云ふ意味なりと記して居られる。八重山では子安貝のことをシビーと云はず訛つてスビ(sbü

)と云ふ。この海鼠が體壁を縦に裂かれ强く短縮して圓くなつた製品の形がやゝ子安貝こ似てゐる所からかく呼ぶのであらう。CLARK1, p.188)によればトルレス海峽地方の漁夫はこれを石魚と云ふ意味の名で呼んでゐると云ふ。本種は上品に屬し, 八重山での價格は100斤につき50圓である。

   《引用終了》

とあって、右下方に』『第 4 圖』がある(国立国会図書館デジタルコレクションで、ここの右ページの左下方)。而して、このHolothuria (Actinopyga) lecanora であるが、後に属名が変更され、さらに近年、和名変更も行われて、ヨコスジオオナマコ Stichopus herrmanniとなっている。本川先生の「ナマコガイドブック」から、引用しておく。

   《引用開始》

ヨコスジオオナマコ(和名変更)[シカクナマコ科Stichopodidae

Stichopus herrmanni Semper, 1868

体長30cmを超える。体は角の丸い四角柱。体色は褐色、黄緑色、橙色と変化に富む。背面と側面には褐色から暗褐色の小さな疣足が散在し、体軸と垂直方向に多くの細い筋が見られる。触手は20本。沖縄以南の礁地の砂地に生息する。オーストラリア、フィリピン、スマトラ。『新星図鑑シリーズ第11巻 沖縄海中生物図鑑』(1990)でStichopus variegates var. hermanni Semperに対して和名ヨコスジナマコが用いられたが、その和名は以前から Actinopyga lecanoraJaeger, 1833)に対して用いられている。また学名については、F.W.E.Rowe1995)によって、hermanni が亜種名から種名に変更された。

   《引用終了》]

 

■「ゾーリゲタ」 「沖縄縣産」

 「凡、四分ノ一。」

 「表」

     「正面」

 「裏」

[やぶちゃん注:「ゾーリゲタ」は(その8)の「ぞうりげた」の私の注を見られたい。沖縄方言で、「草履下駄」で、楯手目クロナマコ科クリイロナマコ(栗色海鼠)クリイロナマコ Actinopyga mauritiana の沖縄での方言名である。]

 

■「カズマル」 「凡、一四分の一。」

 「沖縄縣産」

 「表」   「正面」   「裏」

[やぶちゃん注:この最後の煎海鼠は、特異的に三図が縦に並んでいる。

「カズマル」前掲の大島先生の論文「沖繩地方產食用海鼠の種類及び學名」の『緖言及び總論』の中で、

   《引用開始》

 琉球產海參の品種について水產局の調査した所(8,pp.9-10)に據ると“チリメン・シビー・ゾウリゲタ・クラウソウ・シロウソウ・カズマル・ハネヂイリコ・シナフヤシ・メーハヤー・ナンフウ等なり且つ其品位上好其價甚高し其中カズマルと稱するものは淸國にて開片梅花參と稱す上好のものなり又チリメンは百斤の淸貨百四十両(テール), 其他も上品五十兩, 中品四十三兩, 下品三十五兩の高價なりし” "とあり, この書には圖版にチリメンイリコ・シビー・ゾウリグタ・黑ウサー・白ウサフ・カズマル・羽地イリコ・シナフヤ・メーハヤー・ナンプ等の琉球產熬海鼠の圖を示してある(本文中の構呼と綴字を異にするものがあるがわざと原の通りに記して置く)。

   《引用終了》

とあった。この「開片梅花參」は、(その2)の注で示した通り、シカクナマコ科バイカナマコ属バイカナマコ Thelenota ananas  である。]

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