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2025/11/18

和漢三才圖會卷第九十二之本 草類 藥品(10) 忌銅鐵

 

  忌銅鐵  四種

地黃 玄参 益母草 肉豆𦶲

 

   *

 

  (あかゝね)・(くろかね)を忌(い)

                     四種

地黃《ぢわう》    玄参《げんさん》

益母草《やくもさう》 肉豆蔲《にくづく》

 

[やぶちゃん注:標題の「銅(あかゝね)・鐵(くろかね)」はママ。それぞれ「あかがね」・「くろがね」である。また、ブラウザでの不具合を考えて、訓読では、位置を変えた。

「地黃」先の「(10) 忌銅鐵」で既出既注。

「玄参」この植物体は、熱帯性の常緑高木である

双子葉植物綱シソ目ゴマノハグサ科ゲンジン(玄参)Scrophularia ningpoensis

である。「維基百科」の「玄參」に、別称を『元參、烏元參、黑玄參、黑參』とあるのである。中国原産で、「本草綱目」にも記載があり、古くから乾燥した根が生薬として使用されてきたものである。本邦には植生しない。当該ウィキによれば(注記号はカットした)、分布は『インドネシアのモルッカ諸島(別名は香料諸島)原産である。現在では、アフリカ、インド、スリランカ、ヒマラヤ、中国南部、台湾、東南アジア、西インド諸島、中南米など世界中の熱帯地域で栽培されている』とあり、『香辛料のナツメグおよびメースの原料となる』。『雌雄異株(雄花と雌花が別の個体につく)であり、花は小さく、黄白色でつぼ形』で、『果実は熟すと』、『縦に裂開し、赤い仮種皮で包まれた種子が露出する』。『この仮種皮がメースに、種子中の胚乳がナツメグになる。胚乳は生薬ともされ、肉荳蔲(ニクズク)とよばれる』とある。「食用」の項から注意事項を引くと、『ナツメグはミリスチシン』(MyristicinC11H12O3当該ウィキによれば、『ナツメグの精油中に少量』、『存在し、また更に量は少ないが、パセリやイノンド』(セリ目セリ科イノンド属イノンド Anethum graveolens 。所謂、英語由来の「ディル」(dill)でお馴染みである。)『等にも含まれる。水に不溶だが、エタノールやアセトンに可溶である』。『ナツメグは、通常料理に使われる量以上を摂取すると』、『向精神作用を持つ。また、生のナツメグは、ミリスチシン及びエレミシンのため、抗コリン性の症状を引き起こすことがあるとの報告がある。また、ナツメグの中毒の症状は人によって異なるが、しばしば頭痛、吐き気、めまい、口内の乾燥、目の充血、記憶の混濁等を伴って、興奮状態や混乱状態になることが報告されている。さらに視覚の歪みや妄想観念等の幻覚誘発の作用もあることが報告されている。ナツメグの中毒では、最大の作用が表れるまでに摂取から数時間を要するとされている。この作用は数日間続く』)『など』の『有害物質を含むため、大量に摂取すると有毒であり、幻覚作用や肝毒性を示すことがある』とある。

「益母草」植物体は草本で、

シソ目シソ科オドリコソウ亜科メハジキ(目弾き・茺蔚(じゅういし:中国での原称。「維基百科」の「益母草」を見よ)属メハジキ Leonurus japonicus

である。当該ウィキによれば(注記号はカットした)、『花の時期の全草を採取し乾燥させたものを、漢方で産前産後の保健薬にしたことから、益母草(やくもそう)と称し、種子は茺蔚子(じゅういし)と称する生薬になる。初夏の開花始めのときに地上部を刈り取って、屋内で風干しして、長さ2 cmぐらいに刻んで調製し、紙袋で貯蔵される。全草(益母草)は、止血、浄血、婦人病薬としての補精、浴湯料として薬効があるとされ、種子(茺蔚子)は水腫、目の疾患、利尿に効果があるとされる。全草、種子ともに婦人の要薬、特に産後の止血、浄血、補精、月経不順、腹痛に効用があるといわれている』とあり、『和名メハジキは、「目弾き」の意で、茎に弾力があり、昔は子どもたちが短く切った茎の切れ端を、瞼につっかえ棒にして張って、目を大きく開かせて遊んだことによる』とある。「分布と生育環境」の項には、『日本では、北海道、本州、四国、九州、琉球に分布し、国外では、朝鮮半島、台湾、中国大陸、ロシア沿海地方、東南アジア、南アジアに分布する。また、北アメリカに帰化している。山野、野原、堤防、道ばた、荒れ地などに自生する』とある。

「肉豆蔲」基原は、モクレン目ニクズク科ニクズク属ニクズク Myristica fragrans の種子で、以下の引用先には、『通例、種皮を除いたもの』とある。この種子とは、お馴染みのナツメグ(nutmeg)である。

 而して、いつもの「株式会社 ウチダ和漢薬」公式サイトの「生薬の玉手箱 |ニクズク(肉豆蔲)」を引用させて戴く(種小名は斜体にし、太字は私が附した)。

   《引用開始》

 肉豆蔲は、小豆蔲(ショウズク)、草豆蔲(ソウズク)、白豆蔲(ビャクズク)など、ショウガ科植物の果実に由来するいわゆるカルダモン(豆蔲)類生薬と名称が似ていますが、全く別の分類群に由来する生薬です。肉豆蔲の名称について、初収載された『開宝本草』には「肉豆蔲とは草豆蔲に対する名称であって、殻を棄て去って肉のみを用いるものである」とあり草豆蔲と同類と考えられていたことが分かります。また植物に関する記載についても宋代の『図経本草』には「今は嶺南地方の人家でも栽培する。春苗を生じ、夏茎が抽き出で、花を開き実を結ぶ。その実は豆蔲に似たものだ。六月、七月に採取する」とあり、明代の『本草綱目』には「花、実いずれも豆蔲に似ているが核がないものだから命名したものだ」とあり、これらは真のニクズクではなくショウガ科植物を表現しているようです。肉豆蔲の特異な味や香りが、多様なショウガ科植物の一種と考える混乱を生じさせたのかもしれません。実際のニクズクは常緑高木で、播種後も7年ほど経たないと結実しない成長の遅い植物です。中国には分布せず、宋代の頃に交易により生薬のみがもたらされたのでしょう。

 ニクズクはインドネシアのモルッカ諸島原産の植物で、インドネシア、マレーシアの低地の熱帯雨林に自生また栽培される常緑高木です。葉は光沢のある革質で長楕円形、先端は尖っています。雌雄異株で1cmに満たない小さな花をつけます。果実は桃に似た形で直径5cmほどで、肉厚な果皮の内側に大型の種子があります。熟すと果皮が裂け、種子とともに種子を覆う深紅の仮種皮が見えます。この仮種皮がメース(mace)と称される香辛料で、その内側にある殻状の種皮を割って取り出した種仁が肉豆蔲で、ナツメグ(nutmeg)と称されているものです。香辛料としてのナツメグとメースは香りも味も似ていますが、メースの方が上品な香りで、一つの果実から少量しか採れないので高価で取引されたようです。

 肉豆蔲は長さ1.53.0 cm、径1.32.0 cmの卵球形〜長球形です。外面は灰褐色、表面には縦に走る広くて浅い溝と網目様の細かいしわがあります。楕円形の一端には灰白色〜灰黄色のわずかに突出したへそがあり、他端には灰褐色〜暗褐色のわずかに凹んだ合点があります。横断面は暗褐色の薄い外胚乳が淡黄白色〜淡褐色の内胚乳に不規則に入り込んで、大理石様の模様を呈しています。この断面の赤みの鮮やかなものが良品とされています。特異な強いにおいがあり、味は辛くてわずかに苦味があります。学名(種小名)の「fragrans」は「芳香のある」という意味です。

 肉豆蔲は収斂、止瀉、特に芳香性健胃薬として使用されます。胃腸の虚寒や気滞のために腹部が膨満して痛み、嘔吐や食欲不振、下痢などが続くときに用いられます。早朝になると下痢をする症状には四神丸(補骨脂、五味子、肉豆蔲、呉茱萸、大棗、生姜を水煎し、麦粉で丸にしたもの)が使用されます。また家庭薬の種々の胃腸薬にも配合されています。

 肉豆蔲は薬用以外にも香辛料のナツメグとして重要です。ニクズクの原産地であるモルッカ諸島は別名「香辛料諸島」と称されるほど、チョウジやニクズクを代表とする香辛料原料植物の産地です。15〜16世紀の大航海時代、モルッカ諸島を支配したポルトガルはヨーロッパへのニクズクの貿易を独占しました。ナツメグは薬としての用途に加え、やがて食肉の防腐剤としても使用されるようになるとさらに高価に取り引きされるようになりました。ヨーロッパ諸国は貿易の独占を目指してモルッカ諸島の争奪戦をもおこないました。ニクズクはその優れた幅広い用途故に、小さな島の運命を翻弄する原因にもなったわけです。現在、ニクズクは中米のグレナダが主産地となっています。グレナダの国旗にはニクズクの実が図案化されて描かれています。

   《引用終了》

とある。一応、ウィキの「ニクズク」と、「維基百科」の「肉豆蔻」をリンクさせておく。]

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