河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(三)煎海鼠の說(その15)~図版・注・分離公開(そのⅥ)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回は、ここの左ページ。右ページは白紙であるが、これは、恐らく、図版は本文製本とは別に挟み込むが、どうしても、この右ページを白紙で挟み込まないと組版上、当時の技術では物理的に出来なかったためであろうと思われる。他の古い書籍では、しばしば、こうしたことが生じているからである。なお、本図版に就いては、(その10)の冒頭注記を、必ず、見られたい。]
■「生海鼠《いきなまこ》の圖」
[やぶちゃん注:「鼠」の字は、底本では、「グリフウィキ」のこれであるが、表示出来ないので、かくした。]
■「まなまこ」
■「あかなまこ」 「凡、六分《の》一。」
■「いそなまこ」
「凡十分《の》一。」
[やぶちゃん注:「そ」は「勢」の字を元にした「ひらがな」の「せ」の崩し字である。]
■「とらなまこ」 「凡、十分《の》一。」
[やぶちゃん注:上の左端に縦で描かれてある。]
■「獨乙國《ドイツこく》動物學教授セレンカ氏試験
生 殖 噐 の圖」
「二」
「三」
「四」 「五」
[やぶちゃん注:「授」の字は、底本では、(扌:てへん)に、(つくり)は、{上部が(「並」の一・二画を除いたもので、最終画の左だけが下にカギ状に下がったもの)+(攵)のような形}であるが、「授」に、このような異体字はないので、「授」とした。同じく、「試」の字は、(扌:てへん)に、(つくり)は、(「式」の第二画の右払い先の手前に右上から左下に「戒」の最終画の払いが不随したもの)であるが、これも「試」の異体字には、ないので、「試」とした。なお、東洋文庫版の活字化(新字)されたキャプションでも、『独乙国動物学教授セレンカ氏試験 生殖器の図』と起こしてある。このドイツの動物学教授セレンカ氏という人物は、東洋文庫版の後注に、
《引用開始》
Emil Selenka (1842 – 1902)。ドイツの動物学者、人類学者。無脊椎動物や人類の研究を行い、東南アジアや南アノリカにおける探検調査で知られている。初期は海洋の無脊椎動物、とくに棘皮動物門の発生組織、分類の研究を進めた。「生海鼠の図」に掲げられた図は、セレンカの下記の論文の図版とよく似ている。Emil Selenka, Zur Entwickelung der holothurien (holothuria tubulosa und cucumaria doliolum). Ein Beitrag zur Keimblättertheorie. Zeitschrift für wissenschaftliche Zoologie. 27.1876.pp. 155-178. p1.9-13.
《引用終了》
とあった。彼の英文ウィキは、ここ、ドイツ語のそれは、ここにある。以上のドイツ語部分は、私は大学時代の第一外国語がフランス語であるため、ドイツ語は全く判らないので、機械翻訳した限りでは、
*
エミール・セレンカ、「ナマコ( holothuria tubulosa と cucumaria doliolum )の発生について。胚葉理論への貢献」『Journal of Scientific Zoology』
*
であった。
この“ Holothuria tubulosa ” (ホロチュリア・チューブローサ:ラテン名学名の頭は大文字にした。以下同じ)は、和名はなく、英語で“cotton-spinner” (綿糸の紡績業者・紡績工。「綿紡ぎするナマコ)又は、“tubular sea cucumber”(管状ナマコ)で、現行の正式な学名は、クロナマコ属 Holothuria ( Holothuria ) tubulosa である。参照した英文の当該ウィキに拠れば、大西洋東部の温帯地域、特にビスケー湾北部から地中海にかけての地域に広く分布し、地中海では豊富に生息している。砂地の海底・海草( Posidonia 属)の間、水深約100メートルの泥岩に棲息しているとあった。
次の“ Cucumaria doliolum ”は、Pentacta doliolum (ペンタクタ・ドリオルム)のシノニムで、和名はなく、樹手目キンコ科キンコ属である。ネット検索では、英文のこのページ(画像有り)しか、詳細な記事は見当たらない。
なお、主にドイツ語の情報源からの分類学・書誌・著者、及び、標本データのオンライン・カタログ“Zobodat” のここ(ブロックされる方は、以下のアドレスで見られたい。
chrome-extension://efaidnbmnnnibpcajpcglclefindmkaj/https://www.zobodat.at/pdf/Zeitschrift-fuer-wiss-Zoologie_27_0155-0178.pdf
)で、PDFで原本がダウンロード・視認が可能であり、PDF仕様の右の画像指示ページの『25』以下に、以上の発生過程図が幾つかのチャートの中に総て確認出来るので、是非、見られたい。但し、劣化が激しい。
下部の右端の図に「一」が無いのはママ。これは、ナマコの発生過程を示したものである。先の本川先生の「ナマコガイドブック」の「第1部 ナマコQ&A」の25ページの「マナマコの発生」の写真画像から参考推測すると、
「一」相当の図は、原腸胚。
「二」は、オーリクラリア( auricularia )幼生(種が異なるので、前記か後期かは判断出来ない)。
「三」は、ドリオラリア(doliolaria)幼生か、ペンタクツラ(pentactula)幼生。形状として一致するのは、断然、後者である)。
「四」は、稚ナマコ。
「五」は、成体の透視図である。]
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