阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「生奇竹」
[やぶちゃん注:底本はここ。段落を成形し、句読点・記号を補塡した。二個の脱字は底本では長方形。なお、寺の下の欠字は、明らかに右下に、小さくして、ある。これは、作者が引用した際、その書に割注のように見えるものの、判読出来なかったことを指していると推定される。しかし、注で示した私の同書では、そのようなものはない。思うに、筆者が、不全な同書の写本を見て、汚れか、虫食いがあったのを、忠実に再現したものであろうと推定される。なお、珍しく、底本に、七つもの、ルビがある。]
「生奇竹《あやしきたけ しやうず》」 安倍郡《あべのこほり》府中寺町□□山□□寺□にあり。「諸國里人談」云《いはく》、
『駿河國《するがのくに》府中の寺に、元祿の頃、一夜(あるよ)の中《うち》、庭に假山(つき《やま》)のごとくに、地、凸(たか)になりたり。
「あやし。」
と見るに、一兩日《いちりやうじつ》たちて、笋(たかんな)、生出《おいいで》たり。近隣に、藪、なし。
異《い》なるに、日を追《おひ》て成長し、竹になりたる處《ところ》、目通りにて、凡《およそ》三尺周《まは》り、あり。
「未聞《みもん》の事なり。」
と、諸人《しよにん》、見物す。
或年、御番衆《ごばんしゆ》、見物に來り、座興のやうに、所望ありしに、住僧の云《いはく》、
「所詮、此竹ありて、人、かしまし。幸《さひはひ》に、まいらせん。」
と、無下《むげ》に伐《きり》たり。
人々、これを配分して、おもひおもひの器物《きぶつ》に拵へけり。丸盆・たばこ盆などなして、珍《ちん》とす。
或人《あるひと》、飯注子(めしつぎ)にして、江戶へ持來《もちきた》り、土臺《どだい》などにせしよし也。
其器を當(まさ)に見たる人の談也。
其大《おほひ》さ、徑(わたり)、八、九寸ありしと也《なり》。云云《うんぬん》。』。
[やぶちゃん注:私は、既に二〇一八年に「諸國里人談」の全文をオリジナル注を附して、ブログ・カテゴリ「怪奇談集」(正編:1000記事で満杯)で公開してある。今回、その「諸國里人談卷之四 大竹」を、一部の正字不全を修正しておいたので、見られたい。]
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