和漢三才圖會卷第九十二之本 草類 藥品(10) 忌火
忌火 三十二種
靑黛 犀⻆ 茵陳 茜根 柴胡 木香 羚羊⻆
雲母 芒消 朴消 滑石 雄黃 菊花 禹餘粮
川芎 藍葉 乳香 甘松 桂心 丁子 鍾乳石
白檀 藿香 牛黃 薄荷 紫草 沈香 薫陸香
白芷 胡椒 麝香 檳榔
*
火(ひ)を忌(い)む 三十二種
青黛《せいたい》 犀⻆《さいかく》
茵陳《いんちん》 茜根《せいこん》
柴胡《さいこ》 木香《もくかう》
羚羊⻆《れいようかく》 雲母《うんも》
芒消《ばうしやう》 朴消《ぼくしやう》
滑石《かつせき》 雄黃《ゆうわう》
菊花《きくくわ》 禹餘粮《うよらう》
川芎《せんきゆう》 藍葉《らんえふ》
乳香《にゆうかう》 甘松《かんしよう》
桂心《けいしん》 丁子《ちやうじ》
鍾乳石《しようにゆうせき》 白檀《びやくだん》
藿香《かくかう》 牛黃《ごわう》
薄荷《はつか》 紫草《しさう》
沈香《じんかう》 薫陸香《くんろくかう》
白芷《びやくし》 胡椒《こしやう》
麝香《じやかう》 檳榔《びんらう》
[やぶちゃん注:訓読ではブラウザの不具合を考えて、以上の配置とした。
「青黛」「慶應義塾大学医学部消化器内科」公式サイト内の「慶應義塾大学病院IBD(炎症性腸疾患)センター」の「センターからのお知らせ」の「青黛もしくは青黛を含有している漢方薬を使用している患者さんへ」の冒頭部に、『 青黛(せいたい)とは、リュウキュウアイ、ホソバタイセイ等の植物から得られるもので、中国では生薬等として、国内でも染料(藍)や健康食品等として用いられています。近年、潰瘍性大腸炎に対する有効性が期待され、臨床研究が実施されているほか、潰瘍性大腸炎患者が個人の判断で摂取する事例が認められています』。しかし、『今般、青黛を長期に服用した潰瘍性大腸炎患者において、青黛の服用と因果関係の否定できない肺動脈性肺高血圧症が発現した症例が複数存在することが判明したことから、厚生労働省が関係学会等に対して注意喚起を行いました』(以下略)とあった。例示された基原植物は、シソ目キツネノマゴ科イセハナビ属リュウキュウアイ Strobilanthes cusia と、アブラナ目アブラナ科タイセイ属ホソバタイセイ Isatis tinctoria である。
「犀⻆」私の「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 犀(さい) (サイ)」を見られたいが、私は、少なくとも、そちらの引用で『時珍が言っているような薬としての特別な効用が』サイ類の角に『あるとは私には思われない』と否定見解を添えている。しかし、「豊橋市の漢方薬局 桃華堂」(「とうかどう」と読む)の「生薬辞典」の「犀角(さいかく)」には、『世界には5種類のサイが現生しており、その中でもインドサイ、ジャワサイ、スマトラサイ、クロサイの角が犀角として使用されていました。インドサイ・ジャワサイの角を烏犀角(うさいかく)、クロサイ・スマトラサイの角を水犀角(すいさいかく)と呼んでいます。特に烏犀角の方が良品とされています』。『生息域の開発と、犀角を目当てにした密猟により、現在5種類のサイすべてが絶滅の危機に瀕しています。ワシントン条約により国際取引は禁止されており、犀角を新たに手に入れることはほぼ不可能になっています。そのため、犀角はかなりの高額で取引され骨董品としての価値も上昇傾向にあり、角1本で数十万の値がつくと言われています』。『角質の一種であり、成分の大半はケラチン』(Keratin(ドイツ語)は、硫黄を含んだ蛋白質で、毛髪・爪・角・羽毛などの主成分。当該ウィキによれば、『細胞骨格を構成するタンパク質の一つ』で、『細胞骨格には太い方から順に、微小管、中間径フィラメント、アクチンフィラメントと3種類あるが、このうち、上皮細胞の中間径フィラメントを構成するタンパク質がケラチンである。』とある)『からできています。現在では水牛や牛の角を代用する場合も多くなっているようです。ただし、水牛角の場合は犀角の10倍ほどの量を使わないと同等の効果を発揮できないと言われています』。『火熱が血に及んで』、『出血や発熱するものを治療する清熱涼血薬(せいねつりょうけつやく)に分類され、同じような効能を持つ生薬に生地黄(しょうじおう)・牡丹皮(ぼたんぴ)・赤芍(せきしゃく)があります』。『解熱の働きがあり、出血・熱感・充血・発疹が出る症状を改善するために用います。特に小児の麻疹の特効薬として使用されていました』(☜過去形に注意)。『熱入営血による夜間の高熱・意識障害・うわごとなどに用いられます。代表的な漢方薬に、黄連(おうれん)と一緒に配合された清営湯(せいえいとう)があります』。『熱入営血』(血液内に熱が籠った状態を指す)『・血熱妄行』(熱感とともに出血傾向が現れる状態を指す)『による皮下出血・吐血・鼻出血などに用いられます。代表的な漢方薬に、生地黄と一緒に配合された犀角地黄湯(さいかくじおうとう)があります』。『犀角と石膏は清熱の要薬ですが、犀角は血分実熱を、石膏は気分実熱を清解するので、外感熱病で気血両燔』(火勢が盛んな様態)『のときに併用すると効果が著しく発揮できます』。『熱入営血ではない場合には、安易に用いない方がよいです』。『妊婦には慎重に用います。』とあった。孰れにせよ、「ワシントン条約」によって保護されている絶滅の危機に瀕しているサイ類の角を用いることは止めねばならない。
「茵陳」「藥品(1)」で既出既注。再掲すると、ネット検索では、「茵陳蒿」(いんちんこう)で掛かる。「大峰堂薬品工業株式会社」公式サイトの「生薬辞典」の「茵蔯蒿(いんちんこう)」では、基原をキク亜綱キク目キク科ヨモギ属カワラヨモギ(河原蓬・河原艾)Artemisia capillaris 『の頭花。地上部を乾燥させてから花穂と茎を分離させる』とし、「主な薬効」に『消炎、利胆、解熱、利尿作用』とある。
「茜根」「藥品(8) 忌鐵」で既出既注。長いので、そちらを見られたい。
「柴胡」複数回既出既注。セリ目セリ科ミシマサイコ(三島柴胡)属(或いはホタルサイコ属)ミシマサイコ Bupleurum stenophyllum の根。解熱・鎮痛作用があり、多くの著名な漢方方剤に配合されている。ウィキの「ミシマサイコ」によれば、『和名は、静岡県の三島市付近の柴胡が生薬の産地として優れていたことに由来する(現在の産地は、宮崎県、鹿児島県、中国、韓国など)。』とある。
「木香」これは、問題のある薬名である。「藥品(1)」の注の中で、私は『解明出来るかどうかは判らぬが、後の「卷第九十三」に出る「木香」で考証してみることを約束しておく。』と、特異的にペンディングしたので、そちらを覗いて下され。
「羚羊⻆」基原は、
哺乳綱ウシ目反芻亜目ウシ科ヤギ亜科サイガ属サイガ (別にサイガレイヨウ・ロシアサイガの和名異名があるようだ)Saiga tataricano の角
である。当該ウィキによれば、『亜種モンゴルサイガを独立種とする説もある』とし、学名を、
モンゴルサイガ Saiga tatarica mongolica
を掲げ、『現生種は中央アジアの草原地帯を中心に分布しているが、同属の更新世や前期完新世における分布は現代よりも広く、ブリテン諸島を含むヨーロッパからカムチャッカ半島や日本列島』『や北米大陸北部にも達しており、ヨーロッパでは後期更新世時代の洞窟壁画にもサイガが描かれている』とある。「生態」と「人間との関係」の項は引用しないが、狭義のサイガは近危急種、モンゴルサイガは絶滅危惧種であり、必ず読まれたい。「原薬局」の「商品紹介」の「羚羊角って何?!」を引用しておく。後半部の引用は、一部を後に分離してして示した。
《引用開始》
レイヨウカクは、サイガレイヨウというウシ科の動物の角です。見た目は鹿で動きは軽快そうですが、鈍重なイメージのウシ科というのが意外です。
カザフスタンやモンゴルに住み、オスだけに角がありますが、直接頭蓋骨から生えているので、鹿のように生え変わることはありません。
その角は粉末にして古くから中国で生薬原料として使われており、鎮静作用や解熱作用があります。誰がどのようなきっかけでレイヨウの角に効能があると発見したのか、まさに中国医薬4千年の長い歴史の賜物です。
同じような効能にサイカク(クロサイ、インドサイの角)がありましたが、1980年のワシントン条約で使用禁止となったため、その代替えとしてレイヨウカクが広く使われるようになりました。当社も以前はサイカクを使用しており、レイヨウカクに変更した経緯があります。ちなみに、サイの角は骨ではなく、体毛が固まって変化したものなので、繊維質で粉末にするのは大変でした。
そのサイガレイヨウカクも絶滅が危惧され、代替も検討されていますが、一部養殖されたレイヨウカクも流通しています。
レイヨウカクを使用した医薬品は、宇津救命丸、救心の他、配置薬に多く見られます。
《引用終了》
疾患有効性については、『高熱による痙攣に対応』とし、漢方生剤の『別名』として『羚羊尖』とあり、『解熱・鎮痙・鎮静作用があります。感冒やインフルエンザの解熱薬や抗炎症薬として使用されます』。『※1973年にワシントンで採択されたことから単にワシントン条約とも言う。 生薬の中では、麝香、熊胆、虎骨、犀角、羚羊角、石斛などが国際取引禁止となっている』とある。なお、「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 麢羊(かもしか・にく)・山驢 (カモシカ・ヨツヅノレイヨウ)」では、良安は、「かもしか」の訓を添え、本邦固有種であるニホンカモシカ Capricornis crispus を「羚羊」の漢名を使っているように見えるので、注意が必要である。実際、『「續南方隨筆」正規表現版オリジナル注附 「南方雜記」パート タウボシは唐乾飯也』(私の電子化注)で、熊楠は、『物の諸部分や諸效用の中に就て、一を採つて、其物の名とした例は、羚羊《れいよう》を褥(にく)、綿羊を羅紗綿(らしやめん)、玳瑁龜(たいまいがめ)を鼈甲(べつかう)、その他、多々有るべく、「姓氏錄《しやうじろく》」や「古語拾遺」に、秦(はだ)氏の祖が獻じた絹帛(きぬ)が、軟らかで、肌膚(はだ)を溫煖(あたた)めたにめでゝ、仁德帝が、彼に「波多公(はだのきみ)」の姓を賜ひ、其より、「秦(しん)」を「ハダ」と訓《よ》むと出《で》るを、本居宣長は、
『若し、此等の義ならば、「溫か」・「軟《やはら》か」の言《いひ》を取つてこそ、名づくべけれ、「肌」と云ふ言を取るべき樣、なし。』
と難じた。』と述べており、これは、明らかにニホンカモシカを指しているのである。
「雲母」先行する「藥品(5) 相反」で既出既注。
「芒消」「朴消」先行する「藥品(6) 相畏」の私の「朴消」の注を見られたい。なお、「芒消」の表記に就いては、良安の誤字ではないことは、渡辺武氏の論文「芒消と朴消」(一九五六年発行『日本東洋醫學』所収・PDF)で、語られてある。
「滑石」「藥品(1)」で既出既注であるが、再掲すると、珪酸塩鉱物の一種で、フィロケイ酸塩鉱物(Phyllosilicates)に分類される鉱物、或いは、この鉱物を主成分とする岩石の名称。世界的には「タルク(talc:英語)」のほか、「ステアタイト」(Steatite:凍石)・「ソープストーン」(Soapstone:石鹸石)・「フレンチ・チョーク」(French chalk)・「ラバ」(Lava:原義は「溶岩」。本鉱石は変成岩である)とも呼ばれる。Mg3Si4O10(OH)2。水酸化マグネシウムとケイ酸塩からなる鉱物で、粘土鉱物の一種(当該ウィキ他に拠った)。利尿・清熱・消炎作用を持ち、むくみ・排尿困難・膀胱炎・夏の口渇・下痢・皮膚の湿疹などに用いられる。
「雄黃」「藥品(9) 忌銅」で既出既注。
「菊花」「藥品(1)」で既出既注であるが、再掲すると、漢方薬品メーカー「つむら」の公式サイト「Kampo View」の「菊花」に拠れば、「基原」で、キク目キク科『シマカンギク』(島寒菊) Chrysanthemum indicum 『Linné 又はキク』 Chrysanthemum morifolium 『Ramatuelle(Compositae)の頭花』とし、「薬能」には、『眼疾患を治す。目のカスミを取り去り、洗眼にも用いる。(一本堂薬選)』とある。
「禹餘粮」一応、小学館「日本国語大辞典」には、『日本や中国に見られる岩石の一種。小さい石が酸化鉄と結合したもの。中に空所があって粘土を含む。ハッタイ石、岩壺など多くの呼び名がある。』とあるが、これは、そんな一言では述べられ代物である。私の記事を古い順に示すと、
『小野蘭山述「重訂本草啓蒙」巻之六「石之四」中の「禹餘粮」・「太一餘粮」・「石中黃子」』
『「續南方隨筆」正規表現版オリジナル注附 鷲石考(2) / 「第二篇 禹餘糧等について」』
『「續南方隨筆」正規表現版オリジナル注附 鷲石考(4) / 「附錄」の「○鷲石に關する一說」』
である。総て読まれるには、相応の御覚悟が必要である。念のため。
「川芎」私の「譚 海 卷之十五 諸病妙藥聞書(13)」から、全部を引用する。
*
既出既注。底本の竹内利美氏の後注に、『センキュウ。セリ科の草木。その根茎が頭痛などの薬剤になる。薬用として栽培された』とある。当該ウィキによれば、『中国北部原産で秋に白い花をつけるセリ科の多年草センキュウCnidium officinaleの根茎を、通例、湯通しして乾燥したもので』、『本来は芎窮(きゅうきゅう)と呼ばれていたが、四川省のものが優良品であったため、この名称になったという。日本では主に北海道で栽培される。断面が淡黄色または黄褐色で、刺激性のある辛みと、セロリに似た強いにおいがある。主要成分としてリグスチリドなどがあげられる』。『現在の分析では鎮痙剤・鎮痛剤・鎮静剤としての効能が認められ、貧血や月経不順、冷え性、生理痛、頭痛などに処方されて』おり、『漢方では』「当帰芍薬散」に『配合され』、『婦人病』、所謂「血の道」の『薬として』、『よく用いられる』とあった。
*
「藍葉」基原は、タデ目タデ科イヌタデ属アイ Persicaria tinctoria の葉。但し、実は「藍実(らんじつ)」として別な漢方名を持つ。「日本フードアナリスト協会」公式サイト内の「藍を食す」によれば、『藍は、薬草として珍重された歴史は古く、書物にも記述が数多くあります。たとえば、『本草和名』(918 年)には、解熱剤として藍実を紹介。『原色牧野和漢薬草図鑑』(北隆館発刊)には、「生藍の葉、乾燥葉、種子の生および煎じ液が、消炎、解毒、止血、虫さされ、痔、扁桃腺円、喉頭炎に効果あり」と記されています。また、すくもを生で食べるとフグ中毒に効果があるといわれ、江戸時代、藍の商人が長州を訪ね、ひと握りのすくもと交換にふぐ料理をごちそうになったというエピソードも残こります。』とあり、『●葉 [⽣薬名:藍葉(らんよう)]』の項には、『藍の葉は、ちぎったところから根を生やすほど生命力が旺盛』とし、『生葉の絞り汁』は『やけど、口内炎、唇荒れ、腫れ物、毒⾍の刺し傷、肋膜炎、月経不順、便秘に効果がある』とあり、『葉の煎じ液』は『解熱、解毒、痔、⿂やキノコの中毒に効果がある』とあって、『生葉、干葉』は、『冷え症の人がお腹の上に置いて寝ると効果がある。また、頭の上に置いて眠ると安眠効果がある』とする。因みに、『実 [⽣薬名:藍実(らんじつ)]』には、『生葉の絞り汁』として、『解熱、解毒、魚やキノコの中毒、精力衰退、腹痛に効果がある。また、煮出したお茶は、滋養強壮に効果がある』と記す。以下、『藍の食べ方』には、『藍は、葉も実も食用として親しまれていた身近な薬草です。藍の、食あたり防止や解毒作用といった薬効をごく自然に食生活に役立てていました』として、昔の食べ方が列記されてあるので、見られたい。
「乳香」先行する「卷第八十二 木部 香木類 乳香」を見られたい。
「甘松」一属一種のマツムシソウ目スイカズラ科 Nardostachys 属 Nardostachys jatamansi で、香りがよく、味も甘いもので、薫香・香水・漢方薬にも用いられることが記されてはある。「維基百科」の「甘松」を見られたい。そこには、『根と根茎は、香料や香水の原料として利用されるほか、薬としても用いられる。温熱作用と甘味があり、気の調整や鎮痛作用がある。主に胸腹部の膨満感や痛みなどの症状に用いられる』とあった。
「桂心」「卷第八十二 木部 香木類 肉桂」中の中項目「桂心」を見られたい。
「丁子」「卷第八十二 木部 香木類 丁子」を見られたい。
「鍾乳石」既注だが、再掲する。「地層科学研究所」公式サイト内の「地層と健康いろいろ(前編)」に、「鍾乳床(しょうにゅうしょう)」とし、『正倉院に現存する』とあり、『鍾乳石の破片であり、鉱物としては方解石(CaCO3)』(=炭酸カルシウム)『です。用途は止渇薬、利尿薬などです』とある。食酢のような弱酸の薄い溶液でも、表面を溶かすことが出来る。
「白檀」基原は、双子葉植物綱ビャクダン目ビャクダン科ビャクダン属ビャクダン Santalum album の木質心材を乾燥したもの。「ナガエ薬局」公式サイト内のこちらに、『【臨床応用】』『生薬分類は、行気薬。中薬の効能は理気調中、散寒止痛。寒凝気滞による胸部や腹部の疼痛および胃寒による疼痛、清水を嘔吐に使用する。』とあった。
「藿香」「藥品(1)」で既注だが、一部を再掲すると、シソ目シソ科ミズトラノオ(水虎の尾)属パチョリ(英語:patchouli)Pogostemon cablin の地上部を基原とするもの。「日本薬学会」公式サイト内の「薬学コラム」の「生薬の花」の「パチョリ」「 Pogostemon cablin (Blanco) Benth. (シソ科)」に拠れば、『漢方医学や中医学では,パチョリの地上部を生薬藿香(カッコウ)として使用し,解熱・鎮吐・健胃作用を目的に藿香正気散(かっこうしょうきさん)や香砂平胃散(こうしゃへいいさん),香砂六君子湯(こうしゃりっくんしとう)などの処方に配合しています。成分としてはパチョリアルコールやメチルチャビコール,シンナムアルデヒド,オイゲノール等を含みます。藿香の基原植物として,パチョリ以外にシソ科のカワミドリ( Agastache rugosa (Fisch. et C.A.Mey.) Kuntze )が使用されることがあります。カワミドリに由来するものを土藿香,川藿香と呼ぶのに対し,パチョリに由来するものは広藿香と呼びますが,これは東南アジアから導入されたパチョリが中国の広州で栽培されてきたためです。中国の本草書や植物誌の藿香に関する記述の中にはパチョリについて記載したものとカワミドリについて記載したものが両方存在し,古くから基原植物が混乱していたようです。一般に市場に流通するものの多くはパチョリに由来する広藿香であり,第十八改正日本薬局方でも基原植物は Pogostemon cablin の1種のみとなっています』とある。因みに、「維基百科」のパチョリは「廣藿香」となっている。
「牛黃」牛の体内結石、及び、悪性・良性の腫瘍や変性物質等である。私の「和漢三才圖會卷第三十七 畜類 牛黃(ごわう・うしのたま) (ウシの結石など)」の私の注を参照されたい。
「薄荷」シソ目シソ科ハッカ属 Mentha の類。種は多い。当該ウィキ「ミント」を見られたい。
「紫草」読みは多くの記載を見るに、「紫草」で「むらさき」と訓じているので、それを採用した。基原は、シソ目ムラサキ科ムラサキ属ムラサキ Lithospermum erythrorhizon の根。当該ウィキによれば(注記号はカットした)、『和名ムラサキの語源は、本種が群れて咲くことから「群ら咲き」であるとする説が一般的であるが、図鑑等には紫色の根が由来と説明するものもある』。『日本の北海道・本州・四国・九州に分布し、比較的冷たい山地の草原に自生する』(とあるが、「維基百科」の同種のページには、『日本・韓国・中国本土、特に遼寧省・山西省・湖南省・甘粛省・山東省・湖北省・広西チワン族自治区・四川省・陝西省・貴州省・江西省・河北省・河南省に分布する』とあり、この本邦の記事はマズい)『野生では自生地の環境悪化によって、自生のものは非常に少なく、絶滅危惧種になっている。しばしば、栽培もされている。半日陰の排水のよい土地を好む』。『多年生の草本。根は太く、乾燥すると暗紫色になる。茎は直立し、草丈は30 - 80センチメートル』『ほどになり、上部は枝分かれする。葉とともに、斜め上向きに粗毛が多い。葉は互生し、葉柄は無く、葉身は披針形で先端と基部は細くなっており』、『葉縁は全縁で、やや平行するように少数の葉脈がある』。『花期は初夏から夏にかけて(6 - 8月)、茎先の葉腋についた葉状の苞葉の間に、5弁の小さな白い花が咲く。果実は灰白色で、4分果からなる』。『近縁のセイヨウムラサキ』( Lithospermum officinale )『は繁殖力が強く、茎は枝分かれして花が小さいことで、ムラサキとは異なる』とある。以下、『生薬』の項。『乾燥した根は暗紫色で、紫根(しこん)と称される生薬である。この生薬は日本薬局方に収録されており、抗炎症作用、創傷治癒の促進作用、殺菌作用などがあり、紫雲膏などの漢方方剤に外用薬として配合される。主要成分はナフトキノン誘導体のシコニン(shikonin) 、アセチルシコニン、イソブチルシコニンなどであり、最近では、日本でも抗炎症薬として、口内炎・舌炎の治療に使用される。民間療法では、解熱、解毒、利尿、肉芽の発生を促すため皮膚病、やけど、痔に、1日量3 - 5グラムを水400 ccで半量になるまで煎じ、3回に分けて服用する用法が知られている』とある。
「沈香」先行する「卷第八十二 木部 香木類 沈香」を参照されたい。
「薫陸香」先行する「卷第八十二 木部 香木類 薰陸香」を参照されたい。
「白芷」セリ目セリ科シシウド属ヨロイグサ(漢名:ビャクシ) Angelica dahurica の根。当該ウィキ(漢名「ビャクシ」を標題としている)によれば、『薬効成分はフロクマリン誘導体及び精油。消炎・鎮痛・排膿・肉芽形成作用がある。皮膚の痒みをとる。日本薬局方にも記載』。『血管拡張と消炎の作用から、肌を潤しむくみを取るとして、古来中国の宮廷の女性達により美容用とされていた。また鎮痛、鎮静の効果のため、五積散などの漢方処方に配合される』とある。なお、『中国産は』、『その変種のカラビャクシの根』とあった。そちらの学名は、Angelica dahurica var. pai-chi である。
「胡椒」先行する「卷第八十九 味果類 胡椒」を参照されたい。
「麝香」私の「和漢三才圖會卷第三十八 獸類 麝(じやかう) (ジャコウジカ)」を参照されたい。
「檳榔」「卷第八十八 夷果類 檳榔子」を参照されたい。]
« 河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その2) | トップページ | 和漢三才圖會卷第九十二之本 草類 藥品(11) 製法毋輕忽 »

