河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その12) 【図版5】
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページ。画像は、底本の国立国会図書館デジタルコレクションの「印刷」で高解像度のものをダウンロードし、例によって、精密に汚損を清拭した。詳しい図版処理の仕儀は「(その8) 【図版1】」の冒頭注を参照されたい。なお、ここからは、製品アワビではなく、貝殻の図で(図の描き手がもとの上手い方に戻っているのが嬉しい!)、名称がしっかり表示されてあり(但し、異名表記が多い)、種同定は、至って、容易である。]
【図版5】
■「石决明」
「またかひ」
「安房國《あはのくに》産」
「內面」
[やぶちゃん注:「またかひ」はマダカアワビの異名の一つである。「眼高貝」「またかがひ」の縮約。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページの「地方名・市場名」に、『アカ アワビ エビスガイ ケー ケーズケー コウダカ シロクチ ナガメラ マタカ マタガイ マタゲ メダカ』が挙げられてある。また、正式漢字名「眼高鮑」の「由来・語源」に就いて、同ページには、『眼は貝殻の孔で、これが煙突状に高いため』とある。因みに、附記されて、『アワビの語源にはいろいろ説がある。』とされ、以下の説が列挙されてある。
《引用開始》
■ 「あわぬみ(不合肉)」の意味で貝殻と身が合わないため。
■ 「あはすみ(合肉)」の意味で貝殻と身がぴたりと合うので。
■ 「あひ(合間)」の転化したもの。
■ 「あは(合)で「ひかる(ひかる)」の意味でふたがないことをいう。
■ 「あは(合)[やぶちゃん注:鍵括弧閉じる脱落はママ。]で「ひらく(開)」の意味でふたがないことをいう。
■ 「いはふ(岩触)」の転化。
■ 「いははひみ(岩這身)」で岩をはっているの意味。
《引用終了》
因みに、以上は小学館「日本国語大辞典」の「あわび」の語源説を元にされたと思われるが、同辞書には、さらに、『⑺肉の味がアハアハシクて、乾して種々の用途に用いられたためか〔和訓栞〕』、『⑻アマフカ(甘深)食の反〔名語記〕』、『⑼不逢陀の義〔桑家漢語抄〕』とある(但し、⑼の意味は、私には意味がよく判らぬ。「陀」には「崩れる」や「岸」の意があるから、『岩の「岸」に吸着して落ちて「崩れる」ことがない』の意か。識者の御教授を乞うものである)。]
■「くろかひ」 「內面」
「安房國産」
「外面」
「くろかひ」
「側面」
[やぶちゃん注:種名が二箇所にあり、以上の方向からの三図からなる。言うまでもないが、漁師や業者はクロアワビを「クロ」と呼ぶ。同じく「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページの「地方名・市場名」から引く。『オガイアワビ【雄貝】オガイ オトコ オトコアワビ オンガイ』。この最後は『備考』『メガイアワビを雌に見立てて』の謂い。『アオガイ アオッケ アオビ アオンギャー アワビ オンタ クロ クロクチ クロッカイ クロッケ クロンボ ケー ケーズケー デボウ ムクロ モクロ』とある。]
■「またかひ」
「外面」
「またかひ」
「側面」
[やぶちゃん注:同じく種名が二箇所で出る。マダカアワビ。]
■「めかひ」
「內面」
[やぶちゃん注:「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」のメガイアワビのページの「地方名・市場名」が多数、示されてある。中でも興味深いものをピック・アップしておく(採集地と参考書が付随しているが、それはリンク元で確認されたい。『ケー』・『アカ』・『アカガイ』・『メンゲ』・『アカッカイ アカッケ アカッケイ』・『ケーズケー』・『オンナ』・『メケ メケー メゲー』・『メイラ』・『メン』・『オナゴアワビ』・『メンカイ メンガイ』・『アオビ』・『アオンギャー』・『ゴキガイ』・『ビワガイ』。]
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