阿部正信編揖「駿國雜志」(内/怪奇談)正規表現版・オリジナル注附 「卷之二十四下」「御城內犬の奇」
[やぶちゃん注:底本はここ。段落を成形し、句読点・記号を補塡した。なお、太字部分は、底本では、総て、欠字で、『△』になっているのだが、別底本の「近世民間異聞怪談集成」では、しっかり表示されているので、それを採用した。但し、この欠字、どうも、内容から、風紀上、よろしくないと判断して、本底本の出版社の編者が、政府を憚って、わざと伏字にした可能性が高いように思われる。他で欠字を『△』としたものが、無いからである。]
「御城內犬の奇《ごじやうない の き》」 安倍郡《あべのこほり》府中御城に有り。「駿府雜談」云《いはく》、
『今は昔、駿府御城內に、犬、數多《あまた》、あり。東西《とうざい》に分れて、能く黨《たう》を結《むす》び、東の犬、西に往《ゆ》く時は、忽《たちまち》、是を喰殺《くひころ》す。西の犬、東に來《きた》る時は、亦、然《しか》り。其《その》强き事、譬《たとふ》るに、物《もの》、なし。人には、よく馴《なれ》たり。
居人《すむひと》、代《かは》れ共《ども》、年來《そしごろ》、飼《かひ》たるが如し。夜中《よなか》、人を、吠へ[やぶちゃん注:ママ。]ず。
「牝牡《めすをす》、交合するに、婬穴《いんけつ》に、陽根《やうこん》止《とどむ》る事、なし。故《ゆゑ》に、其《その》とつぐを、見る者、なし。」
と、通詞《つうじ》淸右衞門と云《いふ》者、語りし也。云云。」。
猛犬、黨を結ぶ事、累年、互《たがひ》に、威《い》を逞《たくまし》ふす、と、いへども、人を害せず。「奇。」と云《いふ》べし。
[やぶちゃん注:実話性が高い、しかも、他に類を見ない動物怪奇談と言える。
「通詞」幕府附きの阿蘭陀通詞。]
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