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2025/12/17

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その13) 【図版6】

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページ。画像は、底本の国立国会図書館デジタルコレクションの「印刷」で高解像度のものをダウンロードし、例によって、精密に汚損を清拭した。詳しい図版処理の仕儀は「(その8) 【図版1】」の冒頭注を参照されたい。図は、右上と中央→左上→最下段右→同左の順とする。]

 

【図版6】

 

Awabi6_20251217135701

 

■「めかひ」

  「外面」

[やぶちゃん注:以下、同一個体の側面と考えてよいものが、ページ中央にあるので、ここに合わせる。]

 「めかひ」

[やぶちゃん注:メカイアワビ。]

 

■「くろかひ」

  「肉着內面《にくちやくないめん》」

[やぶちゃん注:クロアワビ。]

 

■「とこぶし」

 「相摸國《さがみのくに》産」

[やぶちゃん注:以下は、真下に上下二段で書かれているが、読み方は、まず、上から下で、次いで、右から左への順で、さらに、ひらがなの崩し字があるため、一見、読み難いので、注意されたい。なお、既に述べた通り、本書では、中国の国名「淸・清」は、総て「しん」ではなく、「せい」とルビされている。今まで、それは現代から見て、違和感が大きいので、敢えて読みを附していないとするとしてきたが、ここは、それに則り、「せい」と読んでおくので、注意されたい。

 

 「此《この》ものハ、

  清《せい》向《むけ》薄片《うすへん》を、

  するに、よろし。」

[やぶちゃん注:異なった二個体の表を左右に配置。孰れも下が螺頂で、上が頭部。通気孔(アワビ同様、呼吸の他に排泄・生殖でも重要な器官である)の数が異なっている。右個体は、私に明確に認知出来るものが、八個で、左個体は、十個と読んだ。これは、同種の呼吸孔の数の、六~八個から十個、と一致する(この個数は諸記載でブレがあるが、成体個体で最も少ないものと最も多いものを採った)。図を描いた人もそれを示すために、かく、二個体を描いたと確認させる。

これは、図像の形状からも、ミミガイ科アワビ属基亜種フクトコブシ(福床臥)亜種トコブシ Haliotis diversicolor aquatilis(或いは、ミミガイ科トコブシ属(或いはミミガイ属 Haliotis )基亜種フクトコブシ亜種トコブシ Sulculus diversicolor supertexta )で間違いない。

「薄片」「(その10)」を見よ。以上の河原田氏の高評価から、やはり、そこで私が図について判断したことは、誤りでなかったと思う。

 

■「みみかひ」

 「琉球慶良間(けらま)島産」

[やぶちゃん注:同前で注意されたい。]

 「此《この》みみかひハ、

  清国《せいこく》向《むけ》の、

  薄片鮑《うすへんあはび》に

  製するに、よろし。」

[やぶちゃん注:アワビ属ミミガイ(耳貝) Haliotis asinina である。左右に二図だが、恐らくは、同一個体の裏(右)と表(左)の図であろう。何故なら、呼吸孔が、孰れも、はっきりと、十二、数えられ、しかも貝殻の形も、完全に一致するからである。なお、「(その5)」の最後の注で解説を引用したが、吉良図鑑も奥谷先生も、貫通孔数を57個としているが、これは完全に貫通している呼吸孔の数であって、古い孔は、順次、閉じて、実際には繋がっていないのである。而して、十二あっても、おかしくないのである。実際、所持する荒俣宏氏の「世界大博物図鑑別巻2 水生無脊椎動物」の103ページにある、クノールの「貝類図譜」(ドイツの版画家にして化石の収集家であったゲオルク・ヴォルフガンク・クノール Georg Wolfgang Knorr :一七〇五年~一七六一年:作の`  Verlustging der Oogen en van den Geest & c.1764年から1775年の作)からの図)のミミガイの呼吸孔は十三を数えるからである。

 而して、かなり手古摺ったが、“Internet archive”の彼の“G. W. Knorrs Verlustiging der oogen en van den geest ; of Verzameling van allerley bekende hoorens en schulpen, die in haar eigen kleuren afgebeeld zyn”(書名は「目と心の喜び、或いは、それぞれの色で描かれた、よく知られたあらゆる種類の角と貝殻のコレクション」)の、ここの右丁の中央の「1」で見つけた。ご覧あれ! というか、画像を拡大して取り込んだものを、以下に示しておく。美しいですぞ!!!

 

Mimigai

 

 なお、屋久島・奄美大島・沖縄で、ミミガイの生体を観察したことはあるが、私自身、食したことは、ない。そこで、調べたところ、沖縄雑貨「うりずん」さんのブログ「グロテスクな見かけによらず美味しいミミガイ」に写真二枚入りで、以下のようにあった(改行の一部を詰めさせて貰った)。

   《引用開始》

昨日、久しぶりに海に行ってきたのですが、そこで珍しい貝を見つけました。ミミガイです。ミミガイといっても、なかなかピンと来ないかもしれませんが、ミミガイ科の代表選手はアワビです。トコブシも仲間です。

 

ミミガイは、貝足の部分がアワビのように美味しいです。薄くスライスにして刺身にします。ただアワビよりも固いです。でも、バター炒めにすれば、柔らかくなりとても美味しい貝です。滅多に取れません。

 

見た目はこのようにグロテスク。これでは食べれる貝には見えないでしょう。アメフラシの様にも見えます。でも味は抜群。アワビが捕れない沖縄では、このミミガイが美味しいですね。

   《引用終了》

食って見たくなった!♡!

「慶良間(けらま)島」「慶良間島」という島は存在しない。「慶良間諸島」である。詳しくは、ウィキの「慶良間諸島」を見られたい。

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