河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その13) 【図版6】
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページ。画像は、底本の国立国会図書館デジタルコレクションの「印刷」で高解像度のものをダウンロードし、例によって、精密に汚損を清拭した。詳しい図版処理の仕儀は「(その8) 【図版1】」の冒頭注を参照されたい。図は、右上と中央→左上→最下段右→同左の順とする。]
【図版6】
■「めかひ」
「外面」
[やぶちゃん注:以下、同一個体の側面と考えてよいものが、ページ中央にあるので、ここに合わせる。]
「めかひ」
[やぶちゃん注:メカイアワビ。]
■「くろかひ」
「肉着內面《にくちやくないめん》」
[やぶちゃん注:クロアワビ。]
■「とこぶし」
「相摸國《さがみのくに》産」
[やぶちゃん注:以下は、真下に上下二段で書かれているが、読み方は、まず、上から下で、次いで、右から左への順で、さらに、ひらがなの崩し字があるため、一見、読み難いので、注意されたい。なお、既に述べた通り、本書では、中国の国名「淸・清」は、総て「しん」ではなく、「せい」とルビされている。今まで、それは現代から見て、違和感が大きいので、敢えて読みを附していないとするとしてきたが、ここは、それに則り、「せい」と読んでおくので、注意されたい。]
「此《この》ものハ、
清《せい》向《むけ》薄片《うすへん》を、
するに、よろし。」
[やぶちゃん注:異なった二個体の表を左右に配置。孰れも下が螺頂で、上が頭部。通気孔(アワビ同様、呼吸の他に排泄・生殖でも重要な器官である)の数が異なっている。右個体は、私に明確に認知出来るものが、八個で、左個体は、十個と読んだ。これは、同種の呼吸孔の数の、六~八個から十個、と一致する(この個数は諸記載でブレがあるが、成体個体で最も少ないものと最も多いものを採った)。図を描いた人もそれを示すために、かく、二個体を描いたと確認させる。
これは、図像の形状からも、ミミガイ科アワビ属基亜種フクトコブシ(福床臥)亜種トコブシ Haliotis diversicolor aquatilis(或いは、ミミガイ科トコブシ属(或いはミミガイ属 Haliotis )基亜種フクトコブシ亜種トコブシ Sulculus diversicolor supertexta )で間違いない。
「薄片」「(その10)」を見よ。以上の河原田氏の高評価から、やはり、そこで私が図について判断したことは、誤りでなかったと思う。]
■「みみかひ」
「琉球慶良間(けらま)島産」
[やぶちゃん注:同前で注意されたい。]
「此《この》みみかひハ、
清国《せいこく》向《むけ》の、
薄片鮑《うすへんあはび》に
製するに、よろし。」
[やぶちゃん注:アワビ属ミミガイ(耳貝) Haliotis asinina である。左右に二図だが、恐らくは、同一個体の裏(右)と表(左)の図であろう。何故なら、呼吸孔が、孰れも、はっきりと、十二、数えられ、しかも貝殻の形も、完全に一致するからである。なお、「(その5)」の最後の注で解説を引用したが、吉良図鑑も奥谷先生も、貫通孔数を5~7個としているが、これは完全に貫通している呼吸孔の数であって、古い孔は、順次、閉じて、実際には繋がっていないのである。而して、十二あっても、おかしくないのである。実際、所持する荒俣宏氏の「世界大博物図鑑別巻2 水生無脊椎動物」の103ページにある、クノールの「貝類図譜」(ドイツの版画家にして化石の収集家であったゲオルク・ヴォルフガンク・クノール Georg Wolfgang Knorr :一七〇五年~一七六一年:作の` Verlustging der Oogen en van den Geest & c. ’(1764年から1775年の作)からの図)のミミガイの呼吸孔は十三を数えるからである。
而して、かなり手古摺ったが、“Internet archive”の彼の“G. W. Knorrs Verlustiging der oogen en van den geest ; of Verzameling van allerley bekende hoorens en schulpen, die in haar eigen kleuren afgebeeld zyn”(書名は「目と心の喜び、或いは、それぞれの色で描かれた、よく知られたあらゆる種類の角と貝殻のコレクション」)の、ここの右丁の中央の「1」で見つけた。ご覧あれ! というか、画像を拡大して取り込んだものを、以下に示しておく。美しいですぞ!!!
なお、屋久島・奄美大島・沖縄で、ミミガイの生体を観察したことはあるが、私自身、食したことは、ない。そこで、調べたところ、沖縄雑貨「うりずん」さんのブログ「グロテスクな見かけによらず美味しいミミガイ」に写真二枚入りで、以下のようにあった(改行の一部を詰めさせて貰った)。
《引用開始》
昨日、久しぶりに海に行ってきたのですが、そこで珍しい貝を見つけました。ミミガイです。ミミガイといっても、なかなかピンと来ないかもしれませんが、ミミガイ科の代表選手はアワビです。トコブシも仲間です。
ミミガイは、貝足の部分がアワビのように美味しいです。薄くスライスにして刺身にします。ただアワビよりも固いです。でも、バター炒めにすれば、柔らかくなりとても美味しい貝です。滅多に取れません。
見た目はこのようにグロテスク。これでは食べれる貝には見えないでしょう。アメフラシの様にも見えます。でも味は抜群。アワビが捕れない沖縄では、このミミガイが美味しいですね。
《引用終了》
食って見たくなった!♡!
「慶良間(けらま)島」「慶良間島」という島は存在しない。「慶良間諸島」である。詳しくは、ウィキの「慶良間諸島」を見られたい。]
« 河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その12) 【図版5】 | トップページ | 河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(四)乾鮑の說(その14) 【図版7】 »



