立原道造草稿詩篇 旅行
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここ、底本の注記はここから視認出来る。決定稿「日曜日」中の「旅行」部分は、私の「日曜日 (全) 立原道造」から引いた。]
旅行
この小さな驛で 鐵道の栅のまはりに夕方がゐる 着いて僕はたそがれるだらう
……路の上にしづかな煙のにほひ 僕の一步がそれをつきやぶる 森が見える 畑に人がゐる
この村では鴉が鳴いてゐる
やがて僕は僕を平な固い黑い寢床の上に眠らせるだらう 洋燈の明りに すぎた今日を思ひながら
僕の一步が僕を疲れさす!
【「日曜日」決定稿(部分)】
旅行
この小さな驛で 鐵道の栅のまはりに
夕方がゐる 着いて僕はたそがれる
だらう
……路の上にしづかな煙のにほひ
僕の一步がそれをつきやぶる 森が見
える 畑に人がゐる
この村では鴉(からす)が鳴いてゐる
やがて僕は疲れた僕を固い平な黑い寢
床に眠らせるだらう 洋燈(ランプ)の明りに
すぎた今日を思ひながら
[やぶちゃん注:草稿の「洋燈」は、以下の決定稿のルビ附加から考えて、当初から、「ランプ」と読んでいると考えてよいだろう。また、【決定稿】の方は、字配は底本に従った。「洋燈」の「ランプ」はルビであるので、本来の下インデントは同じである。]

