立原道造草稿詩篇 一日
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここで、底本の注記はここから視認出来る。それにある同全集の「第六卷 雜纂」のここを元に、初期形を示した。]
【初期形】
一 日
①
空氣にふれてゐる僕の顏、僕の掌の面積 一日の僕の仕事⋯⋯
③
千の後悔が、手をおいた。はげしい疲勞が僕を切る。僕を支へる僕の形。僕を立ち去る僕の形。
【改稿】
一 日
i
空氣に觸れてゐる僕の顏 僕の掌の面積 一日の僕の仕事
ii
望遠鏡をあてて 僕がゐる
望遠鏡をあてて 僕は苦しい
iii
脱いだ着物はきたなかつた
脫いだ着物は僕を眞似る 風のやうに見えない空氣と摑みあふ風のやうに
iv
聞きなれた聲が何か言つてゐる 千の後悔 僕の不幸はけれど小さい
[やぶちゃん注:初期形の「③」はママ。]

