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2026/01/07

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(五)鱶鰭の說(その6) / 鱶鰭の說~(図版1)

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページから。以下、全部で十三枚の図版がある。例によって、汚損はかなり拘って清拭した。しかし、以下の第1図版は、捕獲後のサメの個体図であり、本体の黒い部分の中にある白点は、ほぼスレであるとは考えられるものの、では、塗り潰していいかというと、大いに、疑問を感じた。魚体の膨らみを表わすために、電燈や太陽光等で光っている感じを出して、立体感を示そうとしているとも採れなくはないからである。されば、その塗り潰しは、一切、やめた。また、三番目の個体のように、腹部の白い箇所に生じている黑色の斜線は、無論、印刷上のスレであるのだが、描いた人物が、そこにやはり膨らみのニュアンスを示すために、黒い点を添えていることは明らかであるからして、この斜線をすべて白くすることは、激しく躊躇せざるを得なかったから、やはり手を加えていない。]

 

【図版1】

Fka1

 

■「尾長《をなが》ぶか」

 「一名、をなかさめ。」

[やぶちゃん注:二行目は、原図では、「一名」が、右手にあり、「をなかさめ」と判じた部分が左側にある。当初、「一名を、なかさめ」だろうかと思ったものの、種同定の過程で、以上に読み変えた。而して、この二番めの表記は「をながさめ」の濁点落ちと考えた。そもそも、この極めて特異的に尾が上方にすっくと突き出るもので、生物学上はサメ全般に普通に見られる尾鰭の上葉部が長くなっていて、それを「異尾」と呼ぶが、この形状は、取り分け、他のサメ類とは、群を抜いて突き上がっており、明らかに、

ネズミザメ上目ネズミザメ目オナガザメ科オナガザメ属 Thresher(同科は一属のみで、三種を含む)

であると断定出来る。ウィキの「オナガザメ」に拠れば、『オナガザメ属では上葉の伸長がとりわけ著しく、胴体とほぼ同じ長さかそれ以上になる。尾の付け根の筋肉が発達しており、マグロやカジキ、サバなどを切り裂いたり気絶したところで食す』とある通りのハデさを示しているである。同属三種は以下で、総て本邦に分布する(世界分布は当該ウィキを見よ)。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の各種のページを示す。

ニタリAlopias pelagicus (「似たり」で、「由来・語源」に『オナガザメ(真オナガ)に似ているから』とある)

ハチワレAlopias superciliosus(「鉢割れ」で、「由来・語源」に『頭部に筋状のくぼみがあるため』)

マオナガAlopias vulpinus (「真尾長」で、「由来・語源」に『模式標本のオナガザメであるためだと思われる。それで「真」をつけた。「尾長鮫」は神奈川県三崎での呼び名からで、見た目通り』とある。

以上の「ハチワレ」のリンク先は、尾が見えないので、まず、学名で「グーグル画像検索」をリンクしておくが、比較し易いように、同様に、ニタリのそれも、マオナガのそれも示しておこう。……この三種、かなり似てはいる……しかし……よく見ると、マオナガのは前の二種に比べると、頭部がスマートな鋭角ではなく、下顎から腹部にかけてが、相対的に太くなっているのが判る。本図でも、そこがまさにそうなっている。決定打は、別名「をなかさめ」であった。「マオナガ」の「地方名・市場名」に、『ヲナガ オナガ』とあって、採集『場所』を『福島県小名浜、東京、神奈川県三崎、富山県新湊・四方・生地、三重県・和歌山県紀州、高知』とし『参考『紀州魚譜』(宇井縫蔵)』とするのである。されば、これは「マオナガ」で間違いないと考えるものである。

 

■「けんさめ」

 「大隅「けんのくり」」

[やぶちゃん注:以下、図の左側のキャプション。]

 「大なるものなるもの、三、四尺。

  色、黑く、口、小さく、歯、細く、

  耳、あり。此《この》ふか、害を

  なさす[やぶちゃん注:ママ。「ず」。]。

  従来、膽《きも》、疳《かん》・目病《めのやまひ》に用ふ。」

[やぶちゃん注:これは、全体のスマートさと、特に吻から頭部に至る箇所が、これまた、スラりとして長いことから、ツノザメ目ツノザメ科ツノザメ属 Squalus と踏んだ。さらに検討するに、

トガリツノザメ(尖角鮫)Squalus japonicus

であろう。「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページを見よ。他に、

ヒレタカツノザメ(鰭高角鮫)Squalus formosus (同前の同種のページは、ここ

フトツノザメ(太角鮫)Squalus mitsukurii(同前の同種のページは、ここ

がいるが、全体のフォルムを比較すると、今一である。なお、民間処方らしき記載があるが、確認出来なかった。]

 

■「しろふか」「しろさめ」

[やぶちゃん注:名から、

メジロザメ目ドチザメ科ホシザメ属シロザメ Mustelus griseus

と思ったものの、全体にふくぶくしくて、ちょっと迷った。しかし、漁獲後、時間が経って、不腐敗が起こっている個体なのかも知れない。]

 

■「しゆもく」

 「西國にて、ねんぶつふかといふ。

  土佐にて、かせふかといふ。

  長《ながさ》、一𠀋餘《よ》に至る。」

[やぶちゃん注:傍線は画像では、右附き。さて、私の「かせふか」に疑問を抱く方がいると思う。『「かせふく」にしか見えない』と。しかし、下手な崩し字では、「か」の字の崩しが、「く」に見えることは、往々にあるのである(私は図書館司書資格を所持するが、「資料特論」の講義で、散々、地下文書判読で悩まされた)。信じられない方は、「人文学オープンデータ共同利用センター」の『「か」(U+304B) 日本古典籍くずし字データセット』の、そうさなぁ、『源氏物語 (485)』(「源氏物語」の例は二つあるので、その数字ものを見よ)の例えば、上から二段目の二つ目などで、右払いの時計回りの曲げが緩いものは、明らかに「く」のように見えることがお判りであろう。これは写本者によるもので、微かでも、よく見ると、時計回りは微かに見えるが、これが地下文書では、ただの「く」二しか見えないものが、しばしば見られるのである。河原田氏は、草書の達人でも何でもないから、こう書くことは、幾らもあろうと思うのである。しかも、ここは「かせふく」では意味不明だが、「かせふか」なら、バッチ・グーなのである。

 これは、百パーセント、

ネズミザメ上目メジロザメ目シュモクザメ科シュモクザメ属シロシュモクザメ Sphyrna zygaena

である。生体では、腹部は白いが、この図は鰭の様子から、斜め左上方から背部を描いたものと推察される。サイト“Mexican Fish”の“Smooth Hammerhead“、”Smooth Hammerhead, Sphyrna zygaenaの最初の画像を見られたい。概ね、一致を見ることが納得されるであろう。而して、「ぼうずコンニャクの市場魚類図鑑」の同種のページを見て戴きたい。まず、その「代表的な呼び名」に★『シュモクザメ』とあり、「地方名・市場名」には、ズバり、★『ネンブツブカ』があり、「場所」は★『鹿児島』とある。他に、★『ネンブツ』があり、「場所」は★『玄海、佐賀、熊本県天草』とあって、以上は、本キャプションに『西國』と一致する。他に『ネンブツザメ』があり、「場所」は『茨城県大津』とあった。次に、問題の『カセフカ』であるが、やはり、「地方名・市場名」には、ズバり、★『カセブカ』が挙がっており、「場所」は『和歌山県白崎、大阪、広島県、山口県下関』とある最後に、★『高知県』とあるのだから、誰も文句は言うまいよ。]

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