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2026/01/25

立原道造草稿詩篇 チユーリツプは

[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここで、底本の注記はここから視認出来る。そこに、『*第一、第二詩はそれぞれノート中に初稿(ほぼ同文)を持つが、第二詩が、左面第二行目より起句されえいるので、一連の組詩と見做した。』とあり、さらに、『*第一詩は⑴ノートの中の下書き、⑵本稿、⑶詩集『日曜日』跋文の順に変化する。因みに本稿では詩集に採用の印らしく、緑色鉛筆の丸印がある。「彼」を「彼女」に修正。』とあった。同全集の「第六卷 雜纂」のここを元に、初期形を示した。

 当初、ノートの初稿の「彼」は自身のことかも知れないと考えたが、二行目は改稿と同じく「僕」を用いていることから、編者の誤字とする変更を受け入れることとした。

 なお、詩集『日曜日』は、既にブログで2016年6月13日に「日曜日 (全)   立原道造」として電子化注してあるので、そこから、跋文相当の箇所を転写して示しておいた。

 

【初期形[やぶちゃん注:ノートの順列のままで示した。]】

 

  成 長

 

僕の部屋よ お前は誰より

いちばん僕を愛してゐる

けれどこの窓を入つて來られるのは北風だけだ。

 

     ◇

 

僕の年齡は僕をひきとめない

夜になると僕はお前のランプにさようならする

 

     ◇

 

僕の手は僕の形をしてゐなけれいけない

いつも

僕の部屋へ入つて來られるのは 北風だけだ

 

  •  

 

チユーリツプは咲いたが、彼女は笑つてゐない、

風俗のおかしさ、花笑ひと僕は紙に書く

 

 

【改稿】

 

  チユーリツプは

 

チユーリツプは咲いたが彼女は笑つてゐない⋯⋯

風俗のおかしみ ⦅花笑ふ⦆と僕は紙に書きつける

 

   ☆

 

けちん坊の海と格鬪せよ

これは僕の受け取つた命令だ

 

   ☆

 

僕の手は僕の形をしてゐなければいけない いつも!

 

 

【詩集『日曜日』の最後に配された「跋⋯⋯」の詩形】

 

  跋(ばつ)⋯⋯

 

      チユウリツプは咲いたが

      彼女は笑つてゐない

      風俗のをかしみ

      《花笑ふ》と

      僕は紙に書きつける

             ⋯⋯畢(をはり)

 

[やぶちゃん注:本来、詩集『日曜日』のそれは、字配とポイント落ちがあるが、今回は、字下げのみを施しておいた。]

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