立原道造草稿詩篇 (計算ちがひが⋯⋯)
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここで、底本の注記はここで視認出来る。注記には『抹消は第三行全文。原文「眞夏の景色⋯⋯往來⋯⋯空」(行頭は天ツキ)』とある。「天ツキ」とは、校正記号で、「頭揃え」を意味する。則ち、『字下げを「トル」』(=天ツキ)際に使う記号「┣」である(本文では赤ではないと推定した)。抹消部を再現して電子化する。]
(計算ちがひが⋯⋯)
計算ちがひが苦くする
空氣が一ぱいつまつてしまふ
┣眞夏の景色⋯⋯來⋯⋯空
古い手紙
埃まみれの心臟
やがて僕は 失ふだらう
[やぶちゃん注:「注記」に、『作品の排列に当たって、詩型の特徴に撚り、𝙸・II・IIIの三グループに大別した。』とあり、以下、底本は、このグループ順で並んでいる。その『〔A・𝙸グループ〕はフォルマリスムの実験的傾向を持つ作品群で、詩群内の序列もその傾向の著しいものから排列し、「お時計の中には」の傾向に続くものとして第一群とした。制作時は作品の季節感に拠り、昭和7年7月頃と想定する。』とあった。「フォルマリスム 」は 「ロシア・フォルマリズム」で(ロシア語:Русский формализм /英語:Russian formalizm)で、小学館「日本国語大辞典」に拠れば、『一九一〇年代から二〇年代末にかけて、ロシアの文学研究者や言語研究者によって推進された文学・芸術運動。文学作品の自律性を強調し、言語表現の方法と構造の面からの作品解明を目指した。構造主義や文化記号論の先駆と目される。』とある。
「苦くする」は「くるしくする」であろう。]

