[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。]
(もう見えない⋯⋯)
もう見えない もう見えない
風のやうに その人は
足を掌を 顏を持たない
小さな籠で町がかくしてしまつたのだ
宿なしを――誰も知らない屋根裏に
だがどうしよう 馬車のやうに
くらい窓で食べられない 藁なんか
その人の空腹の魂にいはせるだらう
おれだけ何も待つてゐないのだと
窓のやうな縞のある旗をふるのだと
もう見えない どうしよう
もう見えない どうしよう
くらいからだ 町があつた 人がゐた
それつきり 小さな籠がかくして行つた
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