立原道造草稿詩篇 絕望が僕を摑んだ
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。そこに、『テキストは題名の位置(第二行目)に☆印を置いている。』とあるが、原稿を見ないと、『第二行目』の意味が採れない。或いは題名は二行に分けて書かれているということか。不親切である。]
絕望が僕を摑んだ
絕望が僕を摑んだ……四つの壁、四つの入口、四つの窓。僕は無暗に書いた、手さぐりで。僕の書いた字はすぐに讀めなくなる。僕はあはてだす。
――善と惡。惡と善。
僕の行つた惡と僕の怠つた善!
風はとほいが、嘗つてあつたやうに、歌はたのしくない。砂の上の文字。心は小さい、風はとほい。
これから先僕はうたふかうたはぬかどちらかにすぎないだらう!
過去が僕をたじろかせるだけなのだ。
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