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2026/02/03

河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(五)鱶鰭の說(その12) / 鱶鰭の說~(図版7)

[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページ。この図版(これ以降は、「図版12」を除き、総てが、鱶鰭の製品用に切り取ったものである)の鱶鰭は幾つかの図に縦の白いスレが入っており、甚だ、気になったため、違和感が生じないように考えて、線状の白をランダムに黒塗りした。

 

【図版7】

 

Fuka7

 

■「よしさめ四枚一揃《よんまいひとそろへ》」

 「よしざめ。五枚の一脊鰭《いちせびれ》。」

      「一尺二寸。」

[やぶちゃん注:これは、★標題の四枚全てではなく、この背鰭一枚一図のみである。それ以外の以下の図は、ちょっと見難いもので、一纏めの同個体から採った五枚物の「セット物」の図が、右下一枚と、中央に二枚であるので、注意されたい。なお、「よしさめ」と「よしざめ」の表記の混淆はママである。されば、これは、「よしさめ」「よしざめ」から「葦鮫」で、漢字で「葦切鮫」と書く、鱶鰭の高級品としても知られる、

メジロザメ目メジロザメ科ヨシキリザメ属ヨシキリザメ Prionace glauca

であるとしてよかろう。

 

■「よしさめ。五枚の一《ひとつ》。」

   「長崎の名「いちやう」。尾鰭。」

 「よしさめ。五枚の一。」

   「胸鰭。二《ふたつ》の一。」

   「八寸。」

[やぶちゃん注:右下の図の右側にあるキャプションと、中央上方の図の右手のキャプション。ここは、恐らく左の胸鰭であり、鰭のカーブした前方部のスケールである。因みに、スケールは、いちいち換算すると、面倒なので、自分で計算されたい。一尺はセンチメートルで三十・三、一寸は同三・〇三、一分(ぶ)は同〇・三である。]

   「四寸。」

[やぶちゃん注:同前の図の下方の図。同前図の体部に接続していた切り口の箇所(右側)のスケール。]

「よしざめ。五枚の一。」

   「胸鰭。二の一。」

   「八寸二分。」

[やぶちゃん注:胸鰭(表面の漢字から、恐らく右胸のそれ)の前部のスケール。次は、中央下のキャプションで、図はその上にある。]

 「よしさめ五枚ハ、長﨑廣業商會支店

  より、十六年、水産博覽會種出品なり。

  但《ただし》、一枚を欠く。」

[やぶちゃん注:ということは、ここの図は三枚しかないので、残る現存した一枚は図には出していないということにある。どうも、このページの図は、ちょっと正確に理解するのに、思いの外、時間が掛かってしまった。

 さて、問題は、種である。河原田氏が、ここに並べる以上、同じく、

メジロザメ目メジロザメ科ヨシキリザメ属ヨシキリザメ Prionace glauca

であろうと思ったが、一応、調べてみる必要があると考え、国立国会図書館デジタルコレクションで「よしざめ」で検索したところ、孫福正編「鄕土の生物方言調査」(昭和八(一九三三)年宇治山田市敎育會刊)のここに『よしざめ』の項があり、『あぶらざめ』の方言とし、『北日本にのみ產す』とあった。これは、

ツノザメ目ツノザメ科ツノザメ属アブラツノザメ Squalus suckleyi

であるのだが、この種が、鱶鰭の高級品として扱われるというのは、ちょっと私にはクエスチョンであった。アブラツノザメの鱶鰭は、よく知られた種としてのブランドである。私は、断然、前と同じくヨシキリザメに比定するものである。

 

■「尾長鰭二枚」

 「十六年、水産博覽會、筑前福岡

  伊﨑浦《いざきうら》、村田治六、出品。」

[やぶちゃん注:左の二つの図。以上は左中央部に解説されたもの。]

   「脊鰭。」

[やぶちゃん注:これは右の胸鰭である。]

   「胸鰭。」

   「壹尺三寸。」

   「六寸。」

[やぶちゃん注:スケールは前者が胸鰭の前部の長さ。こちらは同前で右胸鰭ということになろう。

「筑前福岡伊﨑浦」これは、現在の福岡市中央区伊崎、及び、その東にある西公園に相当する。現在は干拓により、海浜ではないが、「ひなたGIS」の戦前の地図を見ると、しっかりと「伊崎浦」となっている。

 さて、「尾長」であるが、これは、

ネズミザメ目オナガザメ科オナガザメ属マオナガ(真尾長/オナガザメ) Alopias vulpinus

である。BISMaLの同種の和名は、マオナガのみである。現行では、同種の胸鰭は鱶鰭として加工されているが、前鰭以外に、背鰭も出るものの、それも使用出来ようから、問題なし、と私は認識する。]

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