河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注中卷(五)鱶鰭の說(その16) / 鱶鰭の說~(図版11)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの左ページ。この図版(これ以降は、「図版12」を除き、総てが、鱶鰭の製品用に切り取ったものである)の鱶鰭は幾つかの図に縦・横の白いスレが入っており、甚だ、気になったため、違和感が生じないように考えて、線状の白をランダムに黒塗りした。特に下方に配された竹籠には、致命的な橫白線が入っていたので、自然に見えるように、かなり気を使って補正した。恐らく、原版と比較しない限りは、気づかれないであろうと存ずる。なお、ここは、「いてう」なるサメの鰭の四図と、それらから裁断した製品二種の加工品を入れた竹籠が下方に描かれてある。なお、今回は、左右上下の二重罫線を、総て、かットした。罫線があると、その内外の汚損を清拭うのに、倍近い時間が掛かるからであった。残りも、同様に処理することとする。]
【図版11】
■「いてう」「尾鰭。」
「對島國《つしまのくに》産。」
「百六十目。壹斤《いつきん》、
價《あたひ》五十五錢。」
「長《ながさ》、壹尺壹寸。」
「八寸。」
[やぶちゃん注:最後の「八寸」は尾鰭の下の短い方の下方の先端までの長さを指す。
この「いてう」については、既に、「鱶鰭の說(その1)」の「いつちやう」の私の注で考証してある。そこでは、
ネズミザメ目ネズミザメ科ホホ(ホオ)ジロザメ属ホホ(ホオ)ジロザメ Carcharodon carcharias
と、
メジロザメ目メジロザメ科イタチザメ属イタチザメ Galeocerdo cuvier
を挙げておいたが、鱶鰭の高級品となると、圧倒的に後者であることが、ウィキの「イタチザメ」の記載で明確に記されてあるので、決まりであり、対馬産であることも、分布から問題ない。
「百六十目」「目」は「匁(もんめ)」に同じであるから、六百グラムである。
「壹斤」同じく六百グラム。]
■「仝《どう》 胸鰭、二《ふたつ》ノ一《ひとつ》。
「裏。」
「全形、七寸。」
「四寸五分。」
[やぶちゃん注:敢えて、「全形」と頭に附けているのが、気になる。今までのものでは、鰭の前方の曲線にスケールのみが記されてあったからである。私が考えたのは、この場合は、附け根の切り口から、鰭の先端までの直線でスケールを示しているのではあるまいか、という気がした。しかし、左の中央にある、同一個体の反対の胸鰭の図には、前方の曲線の中央に、ただ「七寸」とある。されば、この「全形」には拘る必要は、ない、ように感じられた。]
■「仝。
背鰭。」
「淡黑色《たんこくしよく》
の者。」
[やぶちゃん注:この左部分の背部の断面がよく判るように描いてある。今までの図ではなかった立体的に捉えることが出来る描き方で、よい。特に、背鰭を支えている細かな軟骨群が綺麗に周回していることが判るのである。]
■「仝。
胸鰭 二ノ一。」
「表。」
「七寸。」
■「きんひれ」
「ぎんひれ」
[やぶちゃん注:これは、「金鰭」「銀鰭」で、「フカヒレと中華食材の専門卸 中華・高橋」公式サイト内の「フカヒレ散翅(ほぐし)ふかふか散翅」のページの画像と解説で納得出来た。そこに「広東式散翅」とあり、『金糸と金糸の間のゼラチン質を丁寧に取り除いていますので、すっきりとした料理に最適です。』とあり、「上海式散翅」には、『金糸と金糸の間のゼラチン質を適度に残しているので白湯などを使った濃厚な料理に最適です。』とあって、まさに前者が「金鰭」で、後者が「銀鰭」であると思う。]
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