河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(五)鱶鰭の說(その17) / 鱶鰭の說~(図版12)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページ。この図版の鱶鰭は一図に縦の白いスレが入っており、甚だ、気になったため、違和感が生じないように考えて、線状の白をランダムに黒塗りした。この図版は優れもので、
ネズミザメ目ネズミザメ科アオザメ属アオザメ Isurus oxyrinchus
を例に挙げて、各鱶鰭の等級を、ヴィジュアルに判り易く、子細にビシッと解説している。これを本文で文章に拠って示したとすると、恐らく私は、永久にそれを理解し得なかったと断言出来るのである。逆に、この図のキャプションを判り易く電子化するのは、なかなか大変であった。]
【図版12】
■「あをふか」
[やぶちゃん注:まず、図の上方にアオザメの全体が描かれあり、それぞれの鰭に「鱶鰭」としての等級号がキャプションされている。ここでは、漫然に各「號」を時計回りや同逆回りに列挙しても、判り難い。そこで、以下、等級を降順に示し、その「ひれ」が、どの部位であるかを説明してゆくこととした。]
「壹號《いちがう》」
「壹號」
[やぶちゃん注:これは、二箇所にあるので注意が必要。
一つは、サメの腹部の中央の下の「腹びれ」(二対)を指示している。但し、図の関係上、反対側(右手)のそれは、描かれていない。
一方、サメの腹部の後部の下の「尾びれ」の根から後方に下がっている「尾びれ」の部分のみを指示している。]
「二號《にがう》」
「貳號《にがう》」
[やぶちゃん注:これも、二箇所にあるので注意が必要。
一つは、サメの頭部の終わりの直後に下がっている「胸びれ」(二対)を指示している。但し、図の関係上、反対側(右手)のそれは、描かれていない。
一方、差別化して呉れている「貳號」のそれは、サメの背部頭部の少し後ろにある正統の「背びれ」を指示している。]
「三號」
「三號」
[やぶちゃん注:これは、二箇所にあるので注意が必要。一つは、腹の最も後部の下に一つだけある「尻びれ」を指示している。
一方、サメの背部の「尾びれ」の前方ある「背びれ」の後ろにある「第二背びれ」を指示している。]
「四號」
[やぶちゃん注:これは、尾鰭の内、前の「壹號」相当の後方から分岐して上部に伸びている「尾びれ」部分を指示している。
私には、どの「ひれ」が上品なのかは、よく判らないが、調べたところ、先般、紹介した「フカヒレと中華食材の専門卸 中華・高橋」公式サイト内の「フカヒレ散翅(ほぐし)ふかふか散翅」のページの「部位」が簡潔にして判りが良いと感じたので、見られたい。]
■「甲 毎尾込《まいをこ》ミ
日本産 百斤五十両」
「肉骨ヲ去ル。」
■「乙 毎尾込《まいをこみ》
百斤三十四両」
「肉骨、付《つき》。」
「此《この》甲・乙二鰭ハ、精粗《せいそ》を示
すも、此《これ》にて甲圖ハ、肉付《にくつき》
を、切棄《きりすて》たるも、此《この》乙圖ハ
肉付を着《つ》けたるも、此《これ》なり。
必《かなら》ず、肉付を切棄《きりすつ》るを、「よ
ろし」とす。」
[やぶちゃん注:図中央の二つの「鱶鰭」製品「甲」「乙」二図のキャプション。最後の解説は、図のやや左上方に附した、二図の解説文。この「甲」「乙」は単に図に附したものではなく、製品の良し悪し(無論、「甲」が上)の等級を示していることは、解説文から明らかである。なお、この二図の形状と、「毎尾込」という謂いから、この図は最高級の「壹號」相当である「腹びれ」の図であり、それに同一の「壹號」である「尻びれ」を、それに合わせて「込み」で、最上級商品として売ったことを意味していよう。
さればこそ、この「両」というのは、清国の当時の通貨単位である。「銀錠」と呼ばれる銀の塊の質量を測り、それに基づいて貨幣としての価値を決定したところの、「銀両」=「テール」と呼ばれるものである。「百斤」は六十キログラムであるから、肉・骨を除去した「甲」は、「乙」一・四七倍の値段である。
以下、最下段の文字表。]
■「鱶鰭」
「毎尾分にて、
『拾斤』と見る
内譯《うちわけ》。」
「第 一 号 貳 斤 毎斤、代、四匁五分。」
「第 二 号 五 斤 仝《どう》 三 匁。」
「第 三 号 壹 斤 仝 二 匁。」
「第 四 号 貳 斤 仝 壹匁五分。」
「合《あはせて》、每《まい》百斤、代、二十九両。」
「伹《ただし》、毎尾分《まいをぶん》ハ、
銀、毎尾分ハ、銀貳両九匁ノ割《わり》。」
[やぶちゃん注:事実上の清が支払った金額が、当時や現在に換算して幾らに相当するかは、悪いが、知りたいあなたが、調べて戴きたい。そこまで、オンブニダッコはする気は、ない。悪しからず。]
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