立原道造草稿詩篇 手紙
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここ、底本の注記はここから視認出来る。そこに、『昭和9年8月19日付・杉浦明平宛書簡に第三聯を一行書きで紹介している。』とあった。「第五卷 書翰」の当該箇所を見ると(ここの左下段最終行から)、一行内の字間が存在しておらず、「通り」が「とほり」と平仮名表記になっており、最後を六点リーダになっているので、これは、初稿(部分)である可能性が高いと判断し、【書簡より】として、そのまま前に掲げた。]
【書簡より】
*** <手紙> 秋袖口につめたい風がじやれ このさびしい追分け道で每日山羊が啼いてゐます 每日人がとほります 古びた次の村にまで⋯⋯
【草稿】
手紙
僕は 地球をあこがれてゐた
だのにそれが村外れの木ばかり照らす
いちばん不幸な太陽でした
おまへを待つて部屋にゐたから
これでそれでもさうなのでせうか
秋 袖口につめたい風がじやれ
このさびしい追分け道で
每日 山羊が啼いてゐます
每日 人が通ります 古びた次の村にまで

