立原道造草稿詩篇 (僕の口ぐせによると……)
[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。それに拠れば、『原記は表題代りに☆印を置く。』とし、『第一、二詩は後出「鉛筆のマドリガル」の第二詩の初稿。』とある。この「鉛筆のマドリガル」は、七コマ後のここから、視認出来る。]
(僕の口ぐせによると……)
僕の口ぐせによると
僕はいつでも困つてゐた
そんな筈はないんだが
☆
からつぽな帽子を机の上にのせて
僕はしばらくぼんやりしてゐる
窓はすばらしい天氣だつたが
もし僕がそこへ出て行つたなら
あの靑空は
出かける仕度をしたまゝ遠慮して
机の上に頰杖をついてゐる
どうして僕はだめなんだらうと
☆
木の葉が散つて來るのを見ると
それからあまりお天氣がよすぎると
だめな雨が靴の穴からしみ込むと
だから 僕は困つてばかりゐた
[やぶちゃん注:最終聯の四行は、全体が連続した意味を成すに至っておらず、前の部分とのジョイントもあまり良くない。思うに、「木の葉が散つて來るのを見ると」、「それからあまりお天氣がよすぎると」、「だめな雨が靴の穴からしみ込むと」の三行は、並置された候補三種である可能性が高いように感ずる。しかし、どれを採っても、今一つ、この聯内でのジョイント自身も上手くなく、冒頭から読んでいて、読者の殆んどは、この最終聯で澱(よど)みを感じないでは、いられない。寧ろ、最終行の頭の「だから 」を除去して読むと、そうした停滞感は、遙かに除去され、全体の詩としての完成度は上がるように私には思われる。]
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