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2026/02/27

立原道造草稿詩篇 物尺の歌

[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。「物尺」は「ものさし」と読む。一般には漢字熟語では(辞書に於いては)、「物差」「物指」が普通である。老婆心乍ら、「糎」は「センチ」。「洋燈」は「ランプ」と読んでいよう。「慌しく」は「あわただしく」。]

 

  物尺の歌

 

暮れかゝる室內に測るのであつた

机は七五糎 洋燈は四〇糎 花は三糎

もう目盛は蒼い夕闇の色にかくれてゐた。

だのに慌しく 呟きながら讀むのであつた

ペン軸は二〇糎 本箱は九糎 窓は一六三糎

はてしない數字の群がりを このにせの大きさを

物尺の冷えた膚にしつかり指で抑へてゐた

(物尺は暗がりで星形の棒となるのであつた)

椅子は九一糎 僕は五糎

いつまでも いつまでも 三二糎

 

[やぶちゃん注:この詩、妙に……孤独に……好きだ…………。]

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