[やぶちゃん注:底本は初回を見られたい。本篇はここから、底本の注記はここから視認出来る。]
だめな男
太陽が或る日、目をさましたら、地球になつてゐた。地球は月になつてゐた。それも細い三日月に。あゝ、なんといふへまをしたことだらう。世の中の人たちは皆困り、町の辻々に集まつて心配さうな顏をした。女・子供などはもう泣き叫んでゐたのである。
そのとき、ひとりの男が或るバルコンでパイプをくはへながら、
「三日月といふものは、夕方の風や女の子の靴などとおなじにたいへんよいものだ。」と、呟いた。
人たちは非常におこり、そののんきな奴を殺してしまつた。するとのんきな奴の死骸は蝙蝠傘のやうなものにかはつた。
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