河原田盛美著「淸國輸出日本水產圖說」正規表現版・オリジナル電子化注上卷(五)鱶鰭の說(その15) / 鱶鰭の說~(図版10)
[やぶちゃん注:底本・凡例その他は、第一始動の記事、及び、「(一)鰑の說(その2)」の前注の太字部分を参照されたい。今回はここの右ページ。この図版(これ以降は、「図版12」を除き、総てが、鱶鰭の製品用に切り取ったものである)の鱶鰭は幾つかの図に縦・横の白いスレが入っており、甚だ、気になったため、違和感が生じないように考えて、線状の白をランダムに黒塗りした。なお、このページの鱶鰭四個体は、総て、一頭のサメから切り出したものである。]
【図版10】
■「やじふか」 「上等品。」
「一名、そこふか。」
「一尺四寸。」
「尾鰭一枚。」
[やぶちゃん注:「やじふか」「そこふか」これは、何度も出ている、
軟骨魚綱メジロザメ(目白鮫)目メジロザメ科メジロザメ属メジロザメ(別名ヤジブカ:こちらを正式和名とする記載もあるが、「BISMaL」が『メジロザメ/ヤジブカ』とするのに従った。後者の由来は、調べた限りでは、「親父鱶(おやじぶか)」の縮約のようである) Carcharhinus plumbeus
である。但し、「そこふか」という異名は、ネット上にも、国立国会図書館デジタルコレクションでも確認出来なかった。しかし、メジロザメは、基本的に海底附近で生活しており、「底鱶」(推定)という異名は、自然ではある。
「一尺四寸」四十二・四センチメートル。これは、メジロザメの尾鰭の長い上部の、その上方部のスケールである。]
■「尾鰭の切らざるもの。」
「壹尺六寸。」
「壹尺三寸五分」
[やぶちゃん注:前者が、右の上方の縁(へり)の長さで、後者が左の下方の縁の長さということになるが、両者の長さが、センチメートル換算で七センチ六ミリしか違わないというのは、メジロザメの尾鰭の形状から、尾鰭を切っていないそのままのものと言っていることから、これは、絶対にあり得ないのである。メジロザメの尾鰭は前の図で見た通り、遙かにずっと長いのである! 不審である。当初、尻鰭の誤りかと思ったが、形状が違い過ぎる。識者の御教授を乞うものである。]
■「背鰭一枚。」
「六寸五分。」
「九寸五分。」
[やぶちゃん注:数値は、前者は、体部に接続していた箇所の切り取った部分のスケールで、右下方にひっくり返って斜めに下から書かれてある。後者は図の上方で、この部分が背鰭の前方部である。スケールは左から右に書かれてある。]
■「胸鰭。」
「二枚の一。」
「六寸。」
「壹尺壹寸五分。」
[やぶちゃん注:下方の腹部からかなり乱暴に切り出したその傷の様子と、鰭の後方(図では右手に当たる)の鰭の薄くなっている感じから見て、恐らく、左の胸鰭を引っ繰り返して描いたものと推定する。数値は、前者が、腹部に着いていた部分の長さで、後者は胸鰭の前方部の長さである。]
■「肥前國《ひぜんのくに》
東松浦郡《ひがしまつうらのこほり》
呼子《よぶこ》産。」
[やぶちゃん注:これは、本図版の左部分の罫線(底本画像では、ご覧の通り、「のど」の部分が真っ黒になって罫線が消えて存在しない)の右に沿って、上下に一行で書かれてある。則ち、前の前の「背鰭一枚」の図の左端にある。
「肥前國東松浦郡呼子」現在の佐賀県唐津市呼子町。]
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